158話 大罪の悪魔
『悪魔の巣窟』にいたのは6柱の『デーモンロード』、すなわちこの世界の支配者たちだ。全員性別が女性だったのは少し意外だったが、どれが誰なのかを聞き出した方がいいかもしれない。
その中の一柱が私の姿を見て声を挙げた。
「この空間に入ってくるとはどういう要件だ?というよりどうやって入ってきた。」
かなり怒っているような声色だった。モデルのような体系のこの悪魔はおそらく7つの大罪の中でも憤怒をつかさどる悪魔であるサタンだろう。するとそれに対してほかの悪魔も声を挙げた。
「まぁ、サタン。弱い者いじめをしてはいけないよ。デーモンなどという下等生物に対してはそれなりの接し方があるでしょうよ。」
何となく見下されている気がする。見た目は落ち着いた大人の女性といったところだろうか。彼女の態度から考えるに彼女は傲慢をつかさどる悪魔であるルシファーか。とりあえず見下されているのは気に食わないし反論だけしておこう。
「私はデーモンではなく『デーモンロード』ですよ。異世界から来たイレギュラーな存在ではありますが。」
「つまり貴様を食えば異世界の力が手に入るということか。」
私の発言に対して大きな反応を見せた悪魔がいた。容姿は太っているとかそういう次元ではなく球体のような見た目をしていて顔がどこにあるのかもわからないほどだ。食うとか言ってたしおそらくは暴食をつかさどる悪魔、ベルゼブブだろう。そこにもう一柱食いついてくる。
「それは良いね。君が獲得したスキルを僕が奪い取れば彼女のスキルを僕のものにすることができるってことだね。」
自分本位なこの僕っ子は幼い見た目をしているがとんでもないことを言っている。強欲をつかさどる悪魔、マモンだろう。
あと、怠惰と嫉妬がいるはずだが、怠惰をつかさどるベルフェゴールと思われる悪魔は寝ていた。ほかの悪魔たちが騒ぎ立てている中でも当たり前のように寝ている。
そして嫉妬をつかさどる悪魔であるリヴァイアサンと思われる悪魔は部屋の奥の方でうずくまりながらこっちを見ている。私に対してか他の悪魔たちにに対してかは分からないが激しく嫉妬しているようだ。
いったん悪魔たちが何も言わなくなったので私の方から用件を伝える。
「先ほど聞かれたのでお答えいたします。私がここを訪れたのはあなた方全員を殺すためです。あなた方に恨みがあるわけではありませんが私には成し遂げなければならないことがあるのでその糧となっていただきます。」
サタンが相当怒っているのが分かる。しかしその怒りの波動はその数秒後に失われる。それだけでなくこの場に存在する7つの大罪のうち6つそれらがすべて失われる。
私の発動させた禁呪によって。




