151話 スサノオ
「少しは冷静に戦ったらどうです?私には傷一つ付けれていませんよ。」
「そんなことは分かってる!しかし俺の最大の攻撃手段がこれなんだから仕方がないだろ!お前はいったい何者だっていうんだ。以前倒したはずの魔王の城に急に現れやがって。」
「私ですか?私は異世界の勇者であり、魔王です。この世界ではこんな見た目になってしまっていますが、本来は普通の少女の姿をしています。この世界にはあなたを殺してスキルを得るためにやってきたので逃げられるとは思わないでください。」
「いったい何を言っているのかさっぱりだがあいにく俺はそんなに素直に死んでやるつもりはねぇよ!」
そういいながらまた切りかかってきた。それをよけずに受ける。というより詠唱に集中していて気が付かない。私はとある魔法の詠唱をしていた。これは【基軸世界】以外の世界を創った【創造神】たちとのいらぬ争いを起こさないようにするためのものである。【基軸世界】の【創造神】は無詠唱でも完璧に扱っていたが、私は今回が初めてなので感覚をつかむために詠唱をしている。そして数十回切り付けられたころに私の準備は完了した。
詠唱の終わりと同時に魔法が発動する。しかしこの魔法に名前はなく、詠唱の完了と同時に自動的に発動する。そしてその発動を確認した私は一つの魔法開発を始めた。それは魔法の制限を突破した最強の魔法。その分デメリットも大きい。しかし、私の場合それは〈創造神の指輪〉で無効化している。
私が使える想像魔法というのは何でも思い通りに魔法が使えるというわけではない。世界の均衡を崩さない範囲で作ることができるということなのであまり強力なものをポンポン創り出すことは出来ない。しかし、今作ろうとしている魔法は全世界の理に反し、全ての世界において均衡が崩れてしまうほどの最強の魔法である。その効果はシンプルでああるしわかりやすいものだが、それを実現するには自らの魔力を複雑に操作しなければならない。昔はこれを簡単な魔法で行うことで想像魔法を習得できたが、今は複雑な魔法をこのスキルの恩恵なく創造してみせる!
これは私が思い描いた想像。それを形にするだけなのだがとても簡単ではない。いうなれば決められた形になるように何本もの細い糸を絡ませていくようなものだ。まだ解く方は簡単だが逆を意図して行うのはなかなか難しい。
それでもスサノオの攻撃を無視しながらひたすらに魔力を練り上げること1時間。スサノオはその間ずっと切りかかて来ていた。
これで終わらせてあげようと思い今作り出した最強の魔法を発動させる。
「自由想像魔法【体内時間停止】」
そう唱えると同時に私の体から心臓の鼓動が消えた。




