146話 【粘体世界】
『世界の狭間』には私以外には誰もいなかった。たくさんの裂け目があり、私の真後ろに私が今までいた【リアの世界】につながる裂け目があった。あの世界はすべての世界の中でもかなり小さい世界らしく、他の世界と比べるとそれはとても顕著な差として表れていた。
そしてもともといた世界へつながる裂け目も見つけた。この世界の名前は【基軸世界】というらしい。すべての世界の始まりになった世界だそうだ。つまりこの世界からそのほかの世界も生まれたということだよね。そんな世界を作った【創造神】の力は計り知れない。
そういえばステータスの確認をしていなかった。とりあえず数十億、数百億のモンスターと戦いどれだけ成長したのだろう。
リア 創造神 13歳
スキル{賭博}、{魔神}、{魔王}、{豊穣の貢ぎ}、{時空間移動}、{次元断裂}
Lv.49
HP ∞
MP ∞
STR 20000
VIT 18000
RST 10000000
AGI 300
魔法:想像魔法、魔族魔法
称号:無詠唱魔術師、ゴブリンキラー、勇者、天災打破、魔神、魔王、創造神
レベルが上がってそれに応じてステータスが成長しただけのようだ。これ以上の成長をするためにはどうすればいいだろうか。新たなスキルを得たいところだが、そう簡単に獲得できるものでもない。
とりあえず次の世界に入ってから考えよう。
どの世界に入るか物色していたのだが、どれも【基軸世界】を創った【創造神】が創った世界ばかりだ。そんなに違いもなさそうなのでその辺にあった裂け目に入った。
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新たな世界に入って早々私は後悔した。
これまではもともと存在していた世界だったり、自分で創り出した世界だったりしたおかげで何も変化はなかったのだが、この世界に入った瞬間私の体がスライムになってその上スキル{時空間移動}が何者かによって封じられてしまったのだ。
その代わり新たにスキル{コピー}を獲得した。このスキルはこの体で触れたものに姿を変えることができるスキルだ。人に触れればこのスキルで人に擬態することもできるらしい。幸いにもAGIが10になって、種族がスライムになった以外にステータスの変化もなさそうだった。
とりあえず人型になってこの世界についての情報を集めなければならなそうなので辺りを見渡す。
スライムなので目はないはずだがなぜか見えるのだ。あたりには木しかなくどう見ても森の中にいるようだった。
仕方がないのでぽよぽよと跳ねながらとにかくまっすぐ進むことにした。しかし、AGIが低くなっているのでとにかく移動が遅い。魔法を発動しようにも魔法の名前だけは口にしないと発動できないので、口の無いスライムの体ではそれができなかった。
どれだけの時間がたっただろうか。この体には食欲も睡眠欲もなかったのでとにかく進み続けることができた。途中でトラ型の魔物に襲われたが、私の姿を見るなり逃げていった。
これはこの世界から脱出して『次元の狭間』に戻ってから気づいたなのだがこの世界の名前は【粘体世界】。その名のとおりスライムが支配する世界だった。




