136話 【リアの世界】
翌日目を覚まし部屋の外へ出ると、アンチデューンが駆け寄ってきた。
「リア様、お戻りになられたならお声をかけてくださいよ。朝起きて気配を感じて背筋が凍りましたよ。」
「ごめんね、アンチデューン。あなたたちもう眠ってたから起こすのも悪いかなと思って。」
「それはありがたいですが、寝てても声をかけてください。」
「次からは気を付けるね。私は少し部屋ですることがあるから自由にしてていいからね。3時間後にカインと一緒に私のいる部屋まで来てくれる?」
「はい。かしこまりました。」
そういってアンチデューンが去っていく。私も部屋に入って昨日の続きを確認することにした。
昨日は『魔王種』まで確認できたから、その後だ。生物解説のページはこれくらいで他に気になるものはなかった。そしてメニューの3つ目のアイコンをタップすると、地図が現れた。
【リアの世界】の全貌なのだろう。全124の国家からなるこの世界は大きく3つに分かれていた。
1つは人間や亜人が暮らす【人間区】。このエリアにはモンスタや魔獣こそ発生すれど、魔族などが姿を現すことはない。ここを自治しているのは主に人間であり、亜人は奴隷として扱われることもある。獣人区とは交流がある。世界の約5割がこのエリア。
2つ目は主に獣人が暮らす【獣人区】。ここは人間区と大差はないが、亜人は奴隷として扱われない。人間も受け入れており、自治をしているのは獣人である。人間区と交流がある。世界の約2割がこのエリア。
3つ目は主に魔族や魔人などが暮らしている【魔区】である。ここは『魔王族』が統治している。しかし、下の者から搾取するなどすることはなく、逆に自身の財産や力を使ってでも民を幸せにしようとする国王の鑑のような統治がされている。しかし、『魔王族』同氏は決して仲が良いわけではなく、お互いの領地を取り合って戦争をしていることもある。
唯一の『魔王種』であるトリアは解析能力を使っても擬態した種族と区別することができないのでどこにいるのかがわからない。
そして世界の中にわずかだけ存在する空間。【創造神の間】。
リアがそう名付け、世界を創りだすときに作っておいた不可侵の空間。そこにはリア以外の者が干渉できないように特殊な結界が張られている。
今回はこの空間がしっかり機能しているかを見たかったのである。見てみるときちんと機能しており、誰一人として中に存在していない。
ここにこの世界最強の存在である『樹木魔王』トリアを呼び出す。
それと同時に100階層からなるダンジョンを作り出し、その中を魔力で満たす。
これによってトリアもさらなる進化を遂げるだろう。それだけでなく、ダンジョン内に強力な魔物が大量に発生する。私からすれば大したことないものだが、量が多すぎる上に倒してもまた湧いてくるので戦闘がなかなか終わらない。そんな世界最恐のダンジョンを作り出し、10層ごとに私が過去に戦って苦戦した人物(ブレイズ以外)のコピーを配置し、100層にトリアを配置する。そして、私以外の侵入を拒むように設定する。何かしらの方法で結界を超えてきた人がいたとしてもこれで無駄な死人を出さずに済むだろう。この中に入れば私も魔力を浴び続けることになるから、それによってより強くなれるはず。
そんなこんなでいろいろしていたらあっという間に3時間が立ち、部屋のドアがノックされた。




