129話 進化の眠りと感情
数日が経ったある日急にリア自身も体がだるくなり眠りにつく前兆だというのがわかった。カインとアンチデューンの状態を確認した後リーンにすぐに報告はしていたので今回もリーンには伝えておくことにする。
「リーンさん、話があってきました。」
「リア?えらく深刻そうだけどどうしたの?とりあえず入って。」
入室したリアはすぐに話を始める。
「時間がないので手短にカインたちと同様に私自身も進化の眠りにつくみたいです。期間はおそらく1ヶ月程度だと思うのでその間は来れません。これから魔王城に行って最強の結界を張り、2人に書き置きをして私も眠りにつきます。」
「進化したのにあなただけ眠りにつかないのはおかしいと思っていたけど眠りにつくのが2人よりも遅かっただけなのね。わかったわ。目覚めたらすぐに顔を見せてちょうだいね。」
「はい。それじゃあ失礼します。」
眠そうにそう言ったリアは部屋を出て宿屋に戻るとレイに1ヶ月の間不在であることを伝え魔法陣で魔王城に転移した。
結界の魔法はすぐに発動できるよう準備していたのでそのまま張った。
あとはカインとアンチデューンの部屋にそれぞれ書き置きをおけば安心して眠りにつけるのだがもう眠気が耐えられないほど大きくなってきている。なんとかカインの部屋まで辿り着くと書き置きを置いて部屋を出た。
アンチデューンの部屋に行く気力は残っていないと悟ったリアは空いている部屋に入り、ベッドに横になる。それと同時にリアの意識は闇に吸い込まれていったのだった。
気がつくとリアの目の前に広がっていたのは果てしない闇だった。おそらくまだ眠りから覚めていないことは分かったがここがどんな空間なのかまではわからなかった。
どこを見渡しても何もない空間のようだった。
しかし、そんな空間なのに何かを感じる。感情の起伏、激情、歓喜様々な感情を感じる。これまで自分が味わってきた感情の全てを感じる。その中に一際大きい感情があった。
憎悪だ。【創造神】に対する憎悪の感情。それはリアに制御できないほど大きなものになり、リアは飲み込まれてしまう。
憎い。【創造神】もそいつが生み出したこの世界も。全てが憎い。全てを壊し滅ぼしてしまいたい。
リアの中には激情が渦巻いてそれが止まることを知らないかのように暴走する。心から世界を憎む。なぜかは本人にもわからない。
しかしそれが自然なことであるかのように憎悪の感情に飲み込まれて行く。




