127話 世界の想像
しばらく話しているうちに1か月前に話した【創造神】についての話になった。
「そういえば、【創造神】になるとかいうやつ、何かヒントはつかめた?」
「まだです。見当もつかないので困っているんですよね。」
「初めてあなたがダンジョンに潜った時、カインたちをソリみたいなのを作って引いて行ったって言ってたけどそういう感じでできないの?」
「私のスキルで作るってことですか?確かに試したことがないですね。試してみましょうか。スキル{賭博}」
急にスキルを使うものだからリーンは驚いていたが、リアは気にせず目の前に現れたディスプレイを確認する。
[創造]
どうやら一発で引き当てられたようだ。そこに横からリーンが声をかけてくる。
「前から気になってたんだけどそれってどんなスキルなの?賭博ってあんまりいい言葉じゃないけど。」
「このスキルはいくつかの良い効果と悪い効果の中からランダムに効果が発動するものです。ただ、悪い効果はこの指輪で無効化しているので実質、好きな効果を使えるようなものですね。」
指輪をリーンに見せながらそう言うと、
「相当凄いスキルなのね。それで、その効果がここに表示されるということね。今回は[創造]。これは何かを作るものってことでいいのかしら。」
「はい。思い浮かべたものを作り出すことができます。少し集中するので静かにしておいてもらってもいいですか。」
「分かったわ。」
そういうとリアは目を閉じて想像する。自分が望む世界を。自然であふれ、人と魔物が共存できる環境が整った世界。そこに生命を誕生させる。いずれ進化して人間や魔物も生まれるだろう。この世界がどのように進むのかはこの世界の住人達次第だ。そして、時間の進みが早くなるように設定する。その速度はこの世界の約100万倍。この速度なら人類も魔物や魔族もすぐに誕生することだろう。そして空気中は魔力で満たす。これで魔法も発展していくことだろう。
他にもいろいろと付け足したい条件を好きなだけ付け足していき、それをまとめ上げる。
そして目を開くと目の前にあるディスプレイに触れた。
すると、急にディスプレイが光り始め、いろいろな色で点滅を始めた。これまではこんなことは起こらなかったのだが、いったい何なのだろう。
これまでと反応が違うところを見ると失敗ではないのだろう。リーンと二人、じっとディスプレイを見つめていた。すると急にディスプレイから1本の触手のようなものが生えてきてリアの右手首に絡みついた。それと同時にリアは脱力感に襲われた。