121話 蘇生
翌日リアは冒険者ギルドへと向かった。中に入って、目的の人物を探しに行ったがいなかった。それでリーンに聞いてみることにした。
奥の部屋へと向かうと受付嬢とすれ違った。何やらリーンに報告をしてきたようだった。
「リーンさん、リアです。今よろしいですか?」
「リア!?ちょうどこっちからも用事があったところなのよ!入ってちょうだい。」
そう言われたので中に入った。かなり慌てていた様子なので先にリーンの要件を聞くことにする。
「私への用事ってなんでしょうか?私の方は急ぎではないので先にどうぞ。」
「そう、それはありがとう。単刀直入にいうわ。あなたって蘇生の魔法は使える?」
「蘇生・・・・・・ですか。使えないこともないですけど、死体の損傷具合によります。」
「そう・・よね。それじゃあきてもらえる。」
そう言ってリーンは部屋を出て歩き出した。お互いに何も言わないまま5分ほど歩くとそこには教会があった。神聖な力を帯びた場所ではあるが、今のリアはほとんど人間とは変わらないので影響を受けることはない。
「ここよ。少し待っててちょうだい。」
そう言ってリーンが中へ入り、中で何か話しているようだった。そしてしばらくして外に出てきた。
「中に入ってちょうだい。蘇生してもらいたい人がいるの。」
「はい。」
中に入ったリアは霊安室のようなところに通される。そこには4つの棺が並んでいた。リーンがそれを順に開けていく。リアはその全員を知っていた。一度一緒にダンジョンに潜ったこともある、そしてリアが探していた、自分の全てを話そうと思えた人物とその仲間たちの遺体がそこにはあった。
「彼らなら大丈夫だろうと未開拓のダンジョンの周辺調査をしてもらっていたの。そしたら急に反応が消えてしまって、急いで次の部隊を反応が消えた場所に送ったら彼らの遺体があったそうよ。」
冒険者カードの所持者がどこにいるか冒険者ギルドで確認できるので、死亡したことやどこで死亡したのかなども確認できるのだ。
それはともかく、そこにあった遺体はAランク冒険者パーティ『獅子の牙』の4人の遺体だった。
そのリーダーであるカインを探していたリアは、泣きそうなのを必死で堪えながら遺体を鑑定する。
先程、損傷具合によると言ったがそれだけではなく、そこに魂が残存しているかが重要になる。魂さえ残っていれば蘇生が出来るが、この世界では死亡から80時間が経過すると、魂が肉体を離れ世界に霧散して行ってしまう。
鑑定の結果残念ながらカイン以外の3人はすでに魂がそこになかった。魂と明確には分からないが、カインだけはそれらしいものがなんとなく分かった。
カインだけは他の3人よりも長く生き残っていたようでまだ魂がそこにあった。しかし、他の3人の魂がないということは間も無くカインの魂も霧散して行ってしまうということだ。
蘇生には死体を鑑定してそれに見合った効果を付与する必要がある。しかし、おそらくそれをしている暇はない。それに遺体の損傷が激しいので蘇生自体にも時間がかかってしまう。
カインだけは生き返らせたいと願うリアは最終手段に出ることにした。




