119話 デーモンクイーン
キルスに戻りリーンの元へ行くと、王への伝達を済ませたところだった。以前にリアが通信用の水晶を作って渡していたので以前と比べて伝達がとても早くなった。
リアも終わらせたことを伝え、宿屋に戻った。
自室に入ったリアは、魔法陣を発動させ転移の魔法陣を発動させる。行き先はもちろん魔王城だ。アンチデューンが心配だし、何か異変がないか調査もしなければならない。
魔王城に転移したリアは、アンチデューンに動きがなさそうなのを確認すると城の中をくまなく探索した。
特に異変もなく、これと言ったものも見つからなかったので一安心である。
そしてアンチデューンの部屋に行って先ほどよりも詳しく鑑定をする。1時間ほど経過してようやく詳細を掴むことができた。
アンチデューン
状態{進化の眠り}
入眠:昨日
覚醒予測日程:6日後
覚醒後デーモンロードへと進化。その後、{魔王の加護}を受け、再度1ヶ月間の{進化の眠り}につく。その後デーモンクイーンへと超進化。
以上だ。まず驚きなのが進化は1週間で終わるということ。しかし、そこからさらに1ヶ月間の眠りにつき、上位種族へと進化する。それもリア自身の加護によるものらしい。
デーモンロードは以前戦ったサリスと同じ種族である。種族固有の能力で魔法は無効、物理攻撃もほとんど効果がなく、禁呪以外ではダメージを与えられない。
それのさらに上位種族であるデーモンクイーンはどのような存在なのか。
デーモンクイーン
種族固有スキル
{不死の結界}魔法攻撃と物理攻撃を全て弾く結界。禁呪のみ貫通可能。
個体により固有スキルを取得することがあり、その個体の年齢や主従契約をしている場合は、そのものの強さに応じて獲得スキルの強さが変化する。
物理・魔法共に戦闘能力に長けており自身には攻撃が効かないこともあり、どの世界にいても最強格の存在となることができる。唯一、魔物のスキルを封じることができる『魔王』を主人として崇める。ただしデーモンクイーン自身が魔王として君臨する世界も存在している。
おおよそこんなところだろう。勇者の頃のリアでは、どれだけ上手く立ち回っても互角に戦えるかわからないほどの強さだ。
今のリアは『魔王』であるためスキルを封殺し、好きな魔法や武器で戦うことができるだろうが、この世界に魔王がいなければ彼女が魔王となるだろう。
リアは自身がそれほどやばい存在を作り出せることを初めて自覚した。それと同時に配下に加えるなどと気軽に言うと世界の均衡が崩れてしまうとも思った。
しかし、それでも強者を配下にし続けようと誓う。世界の均衡を崩すくらいのことはしないと、彼女の望みである【創造神】を殺すことは叶うはずがないのだから。
 




