118話 進化の眠り
悪魔なのに膨大な魔力を持つリアが近づいても警戒する様子がないのを不思議に思い鑑定魔法で状態を確認した。すると、
アンチデューン アークデーモン 243歳
スキル{分身}{道連れ}
状態 進化の眠り
リアは聞いたことがないがおそらくそのままの意味だろう。
進化の眠り……。それはありとあらゆる種族に共通して起こる上位種への進化の際に起こる休眠状態の事である。この状態の際は強力な結界が自動的に発動するため、本人の身に危険はないが意識はなく動くことができない。そして、魔力が消耗している状態で進化が始まってしまうと進化に必要な魔力が足りず、衰弱死してしまうことがある。
リアが見たところ魔力は足りそうだが、万が一足りなかった時のためにリアの魔力を多めに分け与えておく。
これがのちに大変な事態を引き起こしてしまうことになるのだが、この時それを知る者はいない。
進化の眠りにかかる期間がどれくらいなのかわからないので、とりあえず適当に探索してほかのモンスターがいないことを確認し、アンチデューンに危険が及ばないよう結界を張ることにした。
「結界魔法{特定結界}」
この結界は、結界を張る際に指定した存在には影響を及ぼすことがなく、それ以外の存在は内からも外からも影響を及ぼせない。絶対的な結界の一種である。その分消費魔力が膨大で人間が発動させようとすると数百人規模の儀式魔法として発動させる必要がある。
この結界があれば、【創造神】でもない限り中に入ることはできないだろう。
とりあえず依頼は達成したということを伝えに魔王上の外へ出た。そこには数人の兵士がいてリアを待っていた。
「リア様、中にいたという悪魔はどうなさいましたか?」
「とりあえず倒して魔界に帰らせましたよ。そして私以外の存在が出入りできないような結界を張ったので以後警備は必要ありません。念のため私が時々様子をうかがいに来ますので安心してください。そちらの上層部には我が国の国王様を通じてお伝えしますが、念のためあなたたちからもお伝えいただけるとありがたいです。」
「かしこまりました。それでは失礼いたします。」
そういって兵士たちは去っていった。嘘ではあるがこうでもしないとリアにとって都合が悪くなるので仕方がないだろう。
とりあえずこの件が終わったことをリーンに報告しなければならないのでキルスへと戻ることにした。
 




