117話 魔王城
それから1週間リアはニケ村でゆっくりと過ごし、キルスの町へと帰っていった。
キルスについてすぐに宿屋に戻り、自室に魔法陣を描いた。これでアンチデューンに用があるときや実家に帰りたい時などすぐに行くことができる。試しに魔王城へ向けて発動させたがうまく作動したので一安心だ。
そしてリーンのもとへ向かう。世界各国からしても『勇者』がどこにいるのかは重要なためどこにいるのかはリーンもしくは国王に報告しなければならない。勝手にゼリア皇国に行ってしまったがそれは何も言わなければバレることはない。
「リーンさん、リアです。ただいま戻りました。」
「おかえりなさい、リア。少し話したいから入ってちょうだい。」
そういわれたので部屋に入る。
「おかえりなさい。アランは大丈夫そうだった?呪いは解いたみたいだけど。」
「はい。戦えるくらいには回復してると思いますよ。」
「それならよかった。それで本題に入るのだけれどあなたに依頼が入ってるのよ。」
「依頼ですか?」
少し嫌な予感がした。わざわざリアに依頼ということはAランク冒険者では歯が立たないということだ。
「えぇ。なんでも魔王城の監視を担当しているゼリア皇国の兵士からの報告らしいのだけれど、なんでも魔王城に侵入した悪魔がいるらしいのよ。それも2体。」
嫌な予感は当たっていたようだ。そんなリアのことは気にせずリーンが続ける。
「その兵士たちは買収してあなたが出入りしても報告しないように言いつけてあったし、悪魔って言ってるからあなたではないと思うのだけれど何か知ってる?」
「はい。それわたしの配下になった悪魔です。片方は裏切りが判明したので殺しましたがもう片方は今でも魔王城にいると思いますよ。」
「そうなのね、ではどうしましょう。その悪魔の調査と討伐を依頼されているのよね。」
「それなら私が魔王城に行ってやった風に出てきます。そして今後は私が定期的に調査するから監視をしなくていいと言いましょう。調査の結果を世界中に毎回告知してあげれば文句も出ないでしょう。」
「それは名案ね。ではその方向で王と掛け合ってみるわ。あなたはとりあえず一度魔王城に向かってちょうだい。」
「分かりました。すぐに行ってきます。」
そういってリアは部屋から出てそこで誰も見ていないことを確認すると転移魔法を発動させ魔王城の前へ向かった。
城に入ると一室から気配を感じた。アンチデューンだろう。彼女がいる限りはよほど強い魔物でもない限り入ってくることはないはずなのでしばらく来なくとも問題はないが、今回は他国へのアピールでもあるので仕方がない。
中にいてもすることがないのでとりあえずアンチデューンのもとへ向かう。
部屋の扉をノックするが返事がない。まぁいいかと思い扉を開けた。
そこには微動だにせずベッドの上で眠っているアンチデューンの姿があった。