116話 アンチデューンとアラン
転移が完了すると同時にリアの部屋のドアが勢いよく開けられた。
「リア!悪魔の気配がしたがどう・・・・・・」
アランが何かを言いかけて止まった。後ろではリーンもこちらをのぞいている。
「驚かせてごめんね。でもこれから何かあって会うこともあるかもしれないからと思って。」
「突然訪問してしまい申し訳ありません。私、魔王リア様の配下、アークデーモンのアンチデューンと申します。以後お見知り置きを。」
空気が固まったように誰も話さなくなったのでリアがどうにかしようと口を開く。
「ほとんどないと思うけど今後この子に何かお使いを頼んだりするかもしれないからその時に説明するより一度会っていたほうがいいかなと思って連れてきたんだけど。」
リアがそういうとアランが口を開いた。
「そうか、俺からしたら俺に呪いをかけた悪魔と見た目が一緒だからすごく癪に触るがリアが認めた相手だ。」
アランが不貞腐れたようにそういう。アンチデューンも何か思うところがあったのか
「我が同胞がご迷惑をおかけいたしました。あやつは人間を苦しめてはそれをみて楽しむような性根の曲がったやつだったので私もリア様が倒してくださりとても嬉しく思っています。私は人間と共存していきたいと思っています。今でこそ魔法で姿を変えてはいますがいずれありのままの姿で街を歩くことができる。そんな世界を目指したいのです。」
アンチデューンがそういうと、アランは
「そうか、俺のみたところ嘘を言っている様子もないしそれがお前のありのままの心なんだろうな。お前が何か悪いことをしたわけでもないしこれからはよろしく頼むよ。」
そう言って手を差し出した。
「はいよろしくお願いいたします。」
そう言ってアンチデューンはその手を握る。
とりあえずアンチデューンは魔王城に帰らせた。彼女は相当消耗していたのでしばらく休養を取らないと消滅してしまいそうなほどだ。しかし、デーモンロードへの進化の時も近そうなので、もしかしたらその前兆なのかもしれない。
その後は両親に転移の魔法陣を設置したことを伝え、今後帰ってくるときやアンチデューンが訪問するときは基本的にそこからくることを伝えた。逆に魔力を流せば転移できることも。キルスに戻り次第宿屋の部屋に魔法陣を作るつもりなのでそこに来ることができることも含めて。
この魔法陣は登録箇所が3か所以上になると、転移時にディスプレイが表示されるようになる。そこから転移先を選ぶことで転移することができる。
そういった詳細を含むすべてを伝え終わるころには夕飯の支度が出来ていた。
それから家族そろって久々に楽しく食卓を囲むことができた。




