111話 呪いの主
(カルスト、アンチデューンがどこにいるかわかる?)
(今はゼリア皇国にある洞窟のようなところで休んでいるようです。)
(詳しい場所が知りたいから一度そちらに向かうわね。)
そういうとリアはその場で転移魔法を発動させる。人目がないことは確認していたのでおそらく大丈夫だろう。
「カルスト、来たわよ。」
リアがそういうと、カルストがかなり驚いた様子で
「リア様!?あまりにも早くありませんか?こちらに来ると言ってまだ1分もたってないですよ。」
「私、転移魔法が使えるから。それは置いといて、アンチデューンとかいう悪魔を探しに行くからついてきて。あなたがいないと場所も特定できないし。」
「はい、もちろんご同行させていただきます。」
「それじゃとりあえずゼリア皇国まで転移するわね。」
「えっ!?」
カルストが驚き何か言おうとしたがそれを遮りリアは転移魔法を発動させた。
次の瞬間目の前に広がっていたのは草原だった。今回は町中ではなく草原に転移したようなので良かったが次からは透明化の魔法を使っておかないと、カルストはその場にいるだけで騒ぎになりそうなので今後は気を付けようと誓う。
横でカルストが呆然としているがそれを無視して尋ねる。
「ここはゼリア皇国王都近くの草原だけどどのあたりにいるの?」
それまで呆然としていたカルストだがしっかりと答えた。
「はい。ここから南西に10分ほど進んだところにいます。かなり近いみたいです。」
「そう、それじゃ行くよ。」
そして二人はそちらに向かって歩き始めた。その道中カルストにアンチデューンについて聞いたのだが、要約するとこうだ。
アンチデューンは分身に加え各属性最上位の魔法を使用でき、呪いの魔法は無詠唱でも使うことができる。見た目は人間の女に近く、暗いところで角を隠していたら悪魔だと分からないほどだそうだ。
そんな情報を教えてもらいながら歩き続け10分ほどで大きな洞窟にたどり着いた。
そこはかなり大きく、ダンジョンとまではいかないが、迷路のように入り組んでいるようだ。
カルストの探知によるとこの中にいることは分かるが、中のどのあたりにいるかまでは分からないらしい。
「ありがとうカルスト。先に魔王城に戻ってもいいし、私の戦闘を見たいなら一緒に来てもいいけどどうする。一緒に来る場合は中で私が許可を出さない限りはアンチューンとの戦闘は禁止するけど。」
「リア様についてもっと知りたいのでぜひご同行させてください。」
「そんじゃ中に入るけど、アンチデューンと遭遇しても戦闘等を行わないように。」
リアは改めてそう忠告するとカルストとともにその洞窟へと入って行った。




