11話 リアの誕生日
冒険者について簡単に要約するとこうだ。
人々の安全を脅かすモンスターを討伐したり、商人の護衛、ダンジョンに潜ったりなど、一般的なアニメや漫画に出てくるものと認識はほとんど変わらない。この世界では、冒険者にそれぞれS,A,B,C,D,E,F,Gのランクがつけられる。それぞれのランクに応じて受けることができる依頼は異なり、リアの初戦闘であるゴブリン4体討伐は単独ならばBランク相当だと言える。
冒険者になる際にそれぞれが職業を選択する。例えばウィザードのような魔法使い職から、騎士や剣士といった近接戦闘が得意な職業その両方の特性を併せ持つ魔法剣士などほかにも様々な系統がある。基本的にはその人のステータスをもとに天職が表示されるシステムになっているのでそれにする人がほとんどだそうだ。
最後にランクを上げるには一定以上の依頼をこなして、昇格試験というものをクリアしなければならない。冒険者になる際にランクを決めるための試験が行われるそうだが、よほどのことがない限り、D,E,F,Gランクのいずれかからスタートするそうだ。昇格試験をクリアすると1つ上のランクに進める。リリスとアランのいたパーティはAランクだったらしい。
とまぁこんな感じだ。じつはこの内容は1週間もかからずに覚えられたのだが、その後に母から教わった生きていくうえで最低限必要なこと、料理洗濯掃除、そしてお金の計算。家事関係については、リリスの手伝いをすることがあったのである程度できたが、お金の計算が難しかった。まずこの世界のお金には、銅貨、銀貨、金貨、魔導金貨の4つがあり、銅貨16枚で銀貨1枚、銀貨23枚で金貨1枚、金貨324枚で魔導金貨1枚とかいうわけのわからない計算だからかなり苦労した。
そんな勉強をがんばって1か月と少し、ついにリアの11歳の誕生日が訪れた。家族みんなでリリスの作った豪華な食事を囲み誕生日パーティが行われた。みんなで楽しく他愛のない話をしながら食卓を囲んだ。
「突然だけど、リア、これをあげる。ママからの誕生日プレゼントよ。」
そういってリリスから手渡されたのは、一般的にはワンドとよばれるベルトにさせるくらいの大きさの杖である。普通の魔法使いはロッドと呼ばれる大きな杖を扱うのだが、リアは剣による接近戦をすることも多いだろうというリリスの粋な計らいだ。
しかもこのワンドにはすべての属性の魔法の威力を上昇させる貴重な魔石が埋め込まれていた。これにリアの魔力を合わせるととてつもない威力の魔法が使えるだろう。
「こっちは俺からだ。大事に使えよ。」
次にアランから渡されたのは、ショートソード、俗に言う片手剣である。こちらもロングソード、俗に言う両手剣ではないのは、リアの体格に合わせているのと、魔法との併用を前提としているからだろう。
こちらのショートソードも特別なもので、魔法がかけられた武器である。その効果で、たとえ折れたとしてもすぐに再生し、剣を抜くときに好きな属性を付与でき、切れ味はこの世界屈指のものである。
「この装備は私たちが現役冒険者だった時に使っていたものよ」
そうリリスが補足する。
(大事にしよう。)
リリスはそう誓ったのだった。
これでニケ村編完結となります。
12話からはキルス編になります。これまで以上に波乱万丈なリアの人生を温かく見守ってあげてください。




