108話 治療
リアは家のドアをノックした。しかし返事はない。
鍵はかかっていないようだったのでそっと扉を開ける。そこには人の姿がなく、奥の部屋から啜り泣く声が聞こえた。
リアは音を立てないようにそちらへ向かうとそこは父の自室であった。
中を覗くと、ベッドの上で上半身裸に大量の包帯を巻かれて横たわるアランとベッドの横で涙を流すリリスがいた。
おそらく戦闘で大きな怪我をして帰ってきたのだろうと思い、鑑定魔法で鑑定してみると、驚きの状態が表示された。
状態異常{衰弱の呪い}{回復不能の呪い}{解呪不能の呪い}{失血}
3つの呪いに加え、出血によって血が足りていない。リアは慌てて駆け寄る。
「お父さん!」
するとリリスがこちらを見て驚いたようは顔で
「リア・・・・・・?」
そう呟いた。リアはすぐにスキル{魔神}を発動させる。
「すぐ助けてあげるからね。」
そう言うと、スキルの使用に集中した。
このスキルは他者が発動させた発動済みの魔法にも効果を及ぼせるのでこれはら呪いを解けるあずである。
スキルを発動させた状態で、父の体に触れる。そこから{解呪不能の呪い}の魔力を探し出す。
父の体に大きな魔力の塊が頭、心臓、腹部の3つあり、その中でも心臓の位置にある魔力が{解呪不能の呪い}の魔力のようだ。
この呪いにかかるとあらゆる呪いの解呪ができなくなってしまう。今のアランにとってはこれが一番致命的とも言える。
魔力を見つけると今度はこれを解いていく。今回の呪いは全て別々にかかっているので一つづつ解呪できるので簡単だ。例えるなら絡まった糸を解くようなものだ。1本と3本ではほどきやすさに大きな違いがある。
リアは5分ほどで全ての呪いを解呪することに成功した。
しかし、傷は大きく血も足りていないので危険な状態には変わりがない。
傷が深すぎる上にかなり時間が経っているので効くかどうかわからないがまずは最も効果が大きいであろう魔法を発動する。
「創造魔法【時間逆行】」
リアがそう唱えるとアランの体が光に包まれ、瞬く間に傷が塞がり、肌の血色も良くなった。
光が消えると同時にアランが目を覚ました。
「あれ、俺アークデーモンにやられたはずじゃ」
後ろにいたリリスが号泣しながらアランに抱きついた。
「よかった。本当に良かった。どうやったのかはわからないけどリアが助けてくれたのよ。」
「そうか、リアが。ありがとな。あんな状態の俺を救ってくれて。」
「当然のことだよ。お父さんにはまだまだ長生きしてほしいしね。」
リアがそう言ってウインクをすると、皆が温かい笑いに包まれた。
やっぱり私はこの空間が一番好きだとリアは改めて実感したのだった。




