104話 お金の使い道
お金を貯めたリアが向かったのは【魔法石】という石を取り扱う店だ。
【魔法石】とは、魔力が結晶化して生まれた宝石のことで、その価値はとても高い。それぞれの石を構成する魔力の構造によってその石が発揮する効果に違いがあり、結界を張り巡らせるものから、特定の言葉を唱えることで効果を発動したり、爆発したりするものもある。基本的には使い切りのものなので貴族や大商人などの富豪以外で買う人は少ない。それを買うためにリアはこれまでお金を貯めたのだ。
店に着いたリアは店内にある様々な【魔法石】を物色する。その中でも一際目立つものがあった。それは淡い青色の光を放っており、見た目はサファイアのようだった。
そしてその効果はこれを持つものに命の危険が迫った時に自動的に効果が発動し、その効果は、1ヶ月の間その者は死なないというものである。
実質持っているだけで最低1ヶ月の命の保証がされているのである。価格は今のリアの手持ちの半額の金貨100枚である。
ここまで高額なのならばスキル{賭博}の[創造]で作って安く抑えることができないのかと試したのだが、【魔法石】はこの世界の理に関する物質であるため作ることはできなかった。しかし、加工することは可能とのことだったので、これを2つ買って、アクセサリーにでも加工しようと思っていた。幸い在庫も2つあったので店主を呼んで購入する。
店主は怪訝そうな態度で接客してきたがお金の入った袋を見いて態度を変えてきた。あまりにも若いので疑っていたのだろう。
それらを購入したリアは宿屋に戻った。
そしてまずはスキル{賭博}を発動させる。関係ないものが出たら無視をして、[創造]を発動させる。
リアが[創造]で作り出そうとしたのは質素なリングだ。それも魔法で生み出した金属でできているので、装着する人の指の大きさにフィットするようになっている。
2分くらい経つと床にリングが転がった。
それを確認するとリアは再び同じものを作るべくスキル{賭博}を発動させ、[創造]の効果を発動させる。
先ほど作ったのと同じデザインでリングを作る。またもや2分ほど経過すると床にリングが転がった。これを拾い上げると、またもやスキル{賭博}を発動させる。
最近わかったことなのだが、[創造]は作り出すだけでなく、自身が持つ物質を使用した加工にも使えるのだ。
[創造]を発動させるとリアは目の前に表示されているディスプレイにまずはリングを投げ込んだ。するとリングはディスプレイに吸い込まれた。そして
[魔法金属製リング]
と表示された。今度は【魔法石】を投げ込む。すると先ほどと同じように吸い込まれまた表示が変わる。
[魔法金属製リング]+【魔法石】
そしてリアは完成像を思い浮かべながらディスプレイに触れた。すると加工が開始され、5分ほどした後にディスプレイのあった位置に完成した指輪が落ちそうになった。
しかし、リアが落ちないように手で受け止める準備をしていたので落ちることなくリアの手の中に収まる。
完成した指輪を観察するとそれはリアの思い描いた通りの完璧な完成度だった。
1つ目の出来に満足したリアは2つ目の加工にすぐに取り掛かる。2つ目も同様の手順で作り同様のものができた。できた指輪の名前は
〈魔神の指輪〉
である。リアが所持している創造神の指輪とは対をなすアイテムである。しかし、その性能まで正反対というわけではなく、能力自体はこちらの方が強そうである。
おそらく特別な装備品の名前にはその装備品を作った存在の名前が刻まれるのだろう。
それはともかくリアは両親への贈り物の準備ができたのでとても満足し、その日は夕飯を食べ、眠りについた。




