102話 新たなスキルと{賭博}の進化
宿屋に帰ったリアは再び冒険者カードを取り出す。まずはスキルが大きく変わっている。
スキル{賭博}は大きく変わらないみたいだが内容が一部変わっている。
スキル{創造神}と{鑑定}が失われ、代わりにスキル{魔神}と{魔王}を獲得している。それぞれの効果は以下のとおりだ。
スキル{魔神}
自身の使用可能な魔法を自在に操ることができるようになる。魔法の軌道や付与する効果や、発動済みの魔法にも影響を及ぼすことができる。
このスキルを獲得したものは神格を得る。
スキル{魔王}
その世界の創造神から魔王に足り得る力を持つと判断されたものに与えられるスキル。
このスキルを持つものは他の存在からの呪縛を受けることがない。
魔物を統率できるようになり、その名の通り、魔物の王となる。
このスキルを持つものはそのものが存在する世界ではない、別の世界に渡ることが可能となる。
と言った具合だ。
スキル{創造神}ほど強くはないが、どちらも最強の存在に与えられるスキルのようだ。
スキル{魔神}そして称号『魔神』を得たことにより、リアは神格を帯び、名実共に神になった。
『勇者』兼『魔王』兼『魔神』という人間界にいてはならないほどに危険な存在が誕生したのだった。
リア自身も自分が危険な存在であることは理解していた。しかし、それと同時にこれではまだ足りないとも感じていた。【創造神】を殺すにはこの程度の力では足りないのだ。
しかし、当初の目標であった【創造神】の呪縛からの解放は実現したのでよしとする。そしてスキル{賭博}の効果を確認する。
スキル{賭博}
規定量の魔力を使用することで下記の中のいずれかの効果を発揮する。メリット系統の効果とデメリット系統の効果に分けられており、すべての効果は同じ確率で出る。ただし、運気を上昇させるアイテムや魔法の効果によってメリット系統の効果が出る確率を上昇させられる
メリット系統
状態異常回復&体力全回復
魔力全回復
魔力量増大(5時間の間魔力量が1000倍になる)
即死(対象に選んだ生物を即死させる。耐性等によって防ぐこともできる)
創造(あらゆるものを作ることができるようになる。作る際には頭の中で思い浮かべたものを具現化するため、より詳細に思い浮かべると効果が高くなる。)
金(金貨が1枚出てくる)
デメリット系統
スキル使用不可(3時間の間自分の保有するスキルすべてが使用不可になる)
魔法使用不可(3時間の間一切の魔法の使用ができなくなる)
エナジードレイン(体力の9割が失われる。発動から1時間は回復不能)
マジックドレイン(魔力の9割が失われる。発動から1時間は回復不能)
身体能力制限(24時間の間身体能力に関係するステータスが半減する)
と言った具合なのだが、デメリット効果はアイテムで打ち消してるのでどうでもいい。問題はメリット系統に新たに追加された2つだ。
まず、このスキルがあれば死ぬことは絶対にない。[創造]で食べ物や水を出し、[金]で稼ぐことで贅沢な暮らしもできるだろう。
そして何よりも気になるのは[創造]のあらゆるものを作ることができるという点だ。もしそれが本当なら前世の記憶から兵器を生み出すことも可能である。
かなり危険な代物ではあるが有効活用できそうなので、ものは試しと、一度使ってみることにした。
1回目[マジックドレイン]
2回目[身体能力制限]
3回目[金]
3回使ってようやくメリット系統の効果が出たのだが、その瞬間足元に金属が落ちる音がした。そこを見ると本当に金貨が1枚落ちている。この世界では金貨の価値はとても高い。そのためリアは普段は収納魔法にしまって、必要な時以外出さないようにしている。
そんなことはどうでもいいので、引き続きスキル{賭博}を使用する。
4回目[創造]
[創造]が出て、楽しみでテンションが上がってきたりあの前に半透明のディスプレイが現れた。そこには
「創造したいものを思い浮かべてください。思い浮かべたらこの画面に触れてください。」
と書かれていた。
リアはとりあえず、ペットボトル入りの水を思い浮かべて、ディスプレイに触れた。
もちろんこの世界にペットボトルなんてものはないので、これがもしできたらこの力は本当になんでも作れる証明になるだろう。
ディスプレイに触れてから20秒経った瞬間、ディスプレイの表示されていた空間からペットボトル入りの水が床に落下した。
この世界にない物質まで作ることができるまさにチートと言える能力を手にしてリアはまだこの時は満足だった。




