100話 秘密の話
キルスについたリアは冒険者ギルドを訪れた。いつもの如く受付に言ってリーンの部屋に通された。部屋に入るとリーンが
「リアじゃない久しぶりね。アランとリリスは変わらなかった?」
「はい、変わりない様子で安心はしましたし、私も少し自分を取り戻せた気はしますが、連絡をとっていたなら教えて欲しかったのですが。」
少し怒ったようにいうリア。それに対して
「ごめんなさい。隠すつもりはなかったのだけれどいうのをすっかり忘れちゃってたのよ。」
悪びれながらもそういうリーンに対し、リアは真面目な表情を浮かべて、
「リーンさんに重要な話があります。これは他に漏らさないでください。今から話すことを今知っているのは国王メルギス様と私だけです。」
「他言無用の話ね。わかりました。ギルドマスターとして要件を伺いましょう。」
リーンも真面目な表情で話を聞く姿勢をとった。
「まず一つ謝らなければならないのですが、国王様にギルドマスターの許可もなく会いにいきました。それも2回。」
「それはダメなことだけど、まぁ今は置いときましょう。それで?」
「はい。1度目は国と私の間で取り交わされた条約の内容の変更をお願いしにいきました。メルギス様も理解を示してくださり、条約の「魔王との戦闘の禁止」という部分だけ消すことに同意してくださいました。これが昨日の夕方、魔王の配下の殲滅の知らせが世界中に広まったくらいの時間の話です。」
「その話は私も聞いているわ。条約の話を聞いた時点でなんとなく予想はついてるけど、そのあとは?」
「おそらく想像通りだとは思いますけど、魔王城へ向かい、魔王を倒してきました。そして国王に報告をしてきていまここにいます。」
「やってしまったのね。」
そう言ってしばらく考え込んだ後にリーンはこう言った。
「私から聞きたいことは一つだけよ。魔王を倒した勇者が魔王になるというのはあなたも知っているわよね?魔王を倒したあとあなたはどうなの?」
「それについてなのですが、先代の魔王と戦闘中に話した時に、魔王を倒したのち、人々から畏怖の対象として忌み嫌われ、それに耐えられなくなって魔族になる禁術を使用したとのことです。」
「なるほど、つまりその魔法を使わない限り魔王になることはないってことね。
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ちょっと待って先代の魔王ってどういうこと?次の魔王がいるってこと?」
「はい。私が魔王を倒しに行った目的は、魔族の力を身に宿してより強くなるためです。そして私は魔族になるその魔法を改良し、自身に魔族としての力を宿し、種族『人間』から種族『魔王』になりました。」
「そう、魔王になってしまったのね。見た目もそのままだけどこれからは人間として過ごすの?私はどちらでもいいわよ。ここにいるってことはメルギス様も同じ判断をしたってことよね?」
「はい。しばらくはこの街とニケ村を行ったり来たりしながら過ごすつもりです。」
「わかったわ。とりあえず魔王討伐について公表するかはメルギス様が決定されるでしょうから保留ね。これ以上何もない?なければ帰ってもいいし、しばらくここにいてもいいけど」
「一度宿に帰ります。また用事があったらきますね。」
「わかったわ。」
そうしてリアはリーンに報告を終えて宿屋に帰って行ったのだった。
その日は10年分の疲れが蓄積していたので泥のように眠ったのだった。




