〇〇前線、領空侵犯を許すな!
「警告、警告。
貴下ハ侵犯シテイル。
直チニ本領域カラ離脱セヨ」
「・・・」
相手側は無反応だった。
警告を無視するかのように、
逆に警告に驚いたように。
「警告、警告。
本領域カラ離脱シナイ場合、攻撃ヲ開始ス」
人間味の無い警告に対し、
相手側は攻撃を回避するように、後退した。
最新型の無人哨戒機『サクラ』。
受信した『サクラ』のデータは驚くべき内容だった。
24時間、定置監視。
領空侵犯者の動画撮影、送信。
1日レンタル、7700円(消費税込み)
もちろん無人。当然こんな大きさには人は乗れない。
「すげえな日本人の執念」
領空侵犯と警告された男は同僚の男に言った。
「ああ、俺達には分からないな。
でも、昔の人は花見の場所取りに徹夜したって言うぜ」
「今なら絶対に言えないよな。
パワハラだし、それにそんなことするなら辞めちゃうな」
二人は同時に頷く。
「だから、こんなドローンが開発されたんだ」
花見の場所取りドローン『サクラ」、来春ブームの予感。
桜前線、花見場所確保に異常なし。