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家族ごっこ

作者: 津雲つづら

思いつきで書きました。手直し等は一切おこなっておりませんのでご安心を←

 家族とはなんだろうか。


 単なる血の繋がり? それとも、共に過ごした時間の長い者同士のこと? または……一番身近にいる他人?


 俺にとっては最後の項目が一番しっくりくる。


 血の繋がりを意識しないことはない。だが、どうしても彼らを……両親を家族とは呼びたくなかった。



 大学に通うため下宿している俺は、冬休みの間に実家に帰省した。


 居心地の良さを求めてではない。世話になっている人間への、感謝のつもりで顔を見せに行くだけだ。


 電車を乗り継ぎ、駅から実家まで歩く。見慣れた景色の中に、チラホラと俺に知らない風景が混ざる。時代の移ろいと時間の経過を感じた。


 家に着くと、少し老けた母が「ああ、おかえり」といつものように出迎える。小中高のころと何ら変わらない出迎え。変わっているとしたら、受け手側の俺の感じ方だろう。


 抑圧され、言われるがまま行動してきた日々が蘇る。俺は母親の態度が嫌いだった。自分に出来なかったことを子供に強要し、見栄と自己満足で出来た糸を使う操り人形とする。気に食わない、だが飛び出そうにも俺に行くアテなどなかったのだ。


 適当に一言二言話し、出掛けようとしたところでスマホが振動する。通知を見てみると、父から食事の誘いだった。


 会うのは億劫だが、顔を見せないわけにはいかない。いちおう相手は「父親」なのだ。息子という立場がある以上、誘いを断る理由などない。それにタダで美味いものが食えるなら、それは俺にとって利益のあるものだ。


 父に関しては特に何も言うことがない。彼はひたすら仕事に打ち込んでいた人だった。実の子供に対してあまり興味がないようだった。だから俺も彼――父への興味関心はない。あるとすればやはり血の繋がりと、ちょっとした利害の一致だった。



 父に夕飯をごちそうになり、それから数日滞在して下宿先に戻ってきた。


 得たものや失ったものなどない。通過儀礼だった。そこに意味はなく、理由や意義、信念もない。

 背もたれがぐらつく椅子に座り、家族について、そして自分について考える。人間関係は家族でさえも煩わしいと思う。父や母のようにはなりたくないと思いつつ、実はすでに自分がそうなっているのではないかと危惧する。俺の罪とそれに対する罰を受け入れる。それから――



ピンポーン



 部屋のチャイムが鳴る。誰だろうと思ってドアを開けると、近くに住む仲の良い友達が、これまた近くにあるスーパーの袋に菓子類を詰めて立っていた。


「よお。帰ってきたみたいだし暇だから遊びに来た」


 何気ない言葉と自然に浮かべたいたずらっぽい笑み。それを見ると、なんとも言えない穏やかで優しい感情とともに言葉が漏れた。


「おかえりなさい、貴方」


「は? お前と家族とか嫌だわ。つかキモい」

 

 互いに重なる笑い声と、互いを茶化し合う会話。

 

 平凡な人生のくだらないワンシーン。だが実家では味わえなかったぬくもりが、そこにあった気がした。


FIN


部活で「冬休みに起きたイベントで1ページ小説を書こう」となりまして……特にこれといってめぼしいイベントなどなかったので実家に帰った時のことを事実脚色まぜこぜで書きました。何が本当で何がつくりものなのかは皆さんの判断におまかせします。それはそうと、教育ママと無関心パパっていうのはどこの世界にも必ずいるものですね。それが原因で子供が歪んでしまう例もあると思います。何事も程々が一番なのかもしれません。

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