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 広々とした空間。ベージュを基調とした石積みの壁に、どこかの神殿かと思わせるような美しくも威厳のある4本の柱。その柱に支えられた天井に燭台上の蝋燭の火によって、荒々しく動く者達の影が写し出されている。



「5名様、ご来店ーー!」


「いらっしゃいませぇーー!!」


「かんぱぁーい!!」


「もぉー! お客様ったらぁー!」


「うぐっ!」


「ご延長ありがとうございますーー!」



 聞こえるのは接客言葉だが、その発声は怒りを込めた叫びに近い。

 そして接客とは思えない光景。

 そこはまさに戦場と化していた。


 ガラスの棒のような物を持ち、異形を突き刺しまくる者。グラスを両手にはめて殴りまくる者。煌びやかな衣装を纏った女性達が迫り来る異形なる物を次々と駆逐していく。

 そんな打ち払われていく異形の中で一際大きい異形が、ある女性に狙いを定め向かってくる。



「来たわね? 本日もご指名ありがとうございますですわ!」


「アレカグヤ様! 参戦致します!」


「ありがとう! けど私だけで充分ですわ! 貴女はあちらのお客様を対応しなさい!」


「は、はい! わかりました! アレカグヤ様もお気をつけて!」


「心配はご無用ですわ!」



 その会話が終わらぬうちに放たれる殺気と鋭い斬撃。

 アレカグヤと呼ばれた女性は、身に纏う純白のドレスをたなびかせながら、軽やかに身を交わす。



「そんなもので、私を口説き落とせると思って?」



 対峙するのは、全身赤紫色に発光し、人の形を模してはいるが、その表面は高熱により溶け出した岩のように泥ついている。まさに異形。



「けれど、連日ご指名くださったお礼に、私なりの最上のおもてなしをさせて頂きますわ!」



 アレカグヤは、その両手に持った金色に輝くボトルを逆さに持ち、両手を高々と上げ、叫ぶ。



「しっかり味わって下さいですわっ! 心酔闘技『すっごぉーい。こんな高いお酒飲んだの初めて! 私、ヨッ・チャウ・カ・モ? (*ノ▽ノ)キャ』!!」



 全身を回転させながら振り回すボトルから、金色のオーラが溢れ出す。そのオーラが激しい渦を生み出し、彼女を中心にした光輝く竜巻きが出現する。

 異形はなす術もなく全身を削りとられ消滅した。



「ふう。お客様はお帰りですわ! 次の指名はどな……」


「団体様、ご来店ーー! 3番席へお通ししろ!」



 彼女がいい終わらぬ内に、別の者の大声が部屋中に響き渡る。



「……今日も大繁盛ですわね」


「さあ、行きますわよ!」


「はい!!」



 接客を終えた女性達が、店の入り口から溢れ出す異形の団体に向かって走り出す。今宵の宴はまだ終わらない。


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