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前奏
「御待たせ致しました。此方御自由に御使い下さい」
モーニングと一緒に持ち込まれたのは、パソコン。
「何だよコレ?」
「ノート型パソコンです」
「そんな事聞いてねぇよ。こんなん持って来てどうしろってんだ」
「報告は書面にて承ります」
そう言うが早いか、マスターは戻って行った。
「完璧に嫌がらせだな」
「問題ない。アンタにはそうかも知れないけど、この方が楽で良い」
パソコンを立ち上げながら、トーストに齧り付く。
「おーおー、現代っ子だな」
「今は、使えないと話しにならない事象も多いからな。必要に迫られてってやつだよ」
「ふうん。そんなもんかね」
「そんなもんだよ」
メールソフトを呼び出し、打ち込んでいく。
「器用なもんだ」
「そりゃどうも。アンタも、やってみる?」
画面から目を上げて、伺う。
「いいや、遠慮したい」
カップ片手に拒絶された。
「だろうね」
予想を外さない返答に、返す言葉は短い。