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前奏
街灯も疎らな通り
人気の無い商店街
転がる様に抜ける
血筋の所為なのか
受け継がれて来た
未知の能力がある
「なぁ、俺外れたらダメ?」
如何にも傭兵といった装いの若い男が、不安げに菫色の瞳を揺らす。
「馬鹿野郎! 何でオレ等に話が来たのか解んねーのか? 能力持ちだからだろうがっ! お前は感応力、俺は千里眼」
拳を振り上げつつ怒鳴っているのは、筋骨逞しい中肉中背の男。見るからに剛毛を無理矢理纏め、濃紫の瞳を嘲笑いに歪める。
「超能力があったって役に立たない事もあるだろー? 選りに選ってオカルトな依頼何て嫌だ」
「単に怖いだけじゃねーのか? 今度から、心霊関係お断りって札下げて歩けよ」