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13月の解放区  作者: まつかく
4章 ある証明
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4-1 支配のセオリー

食堂の不穏な静寂を破ったのは、奴隷長ことユキエだった。頬を真っ赤に腫らしてはいるが毅然とした態度で命令する。


「並びなさい。壁際に。半村さまから言われたように」


この命令は、ほとんど憂理に向けられたものだ。壁際から離れているのは憂理だけで、他の者は『整然』とは言い難くも一応壁際にいる。

遼に四季にアツシ。よくよく見ればアツシのそばにはタカユキもいた。タカユキのトラブルに対しての嗅覚は、サメが血の臭いをかぎ分ける能力の如しじゃないか。


「嫌だ、って言ったら?」


そんなワザとらしい反抗の態度に、ユキエはジトっとした切れ長の目で憂理を見つめた。


「そうね。見せしめにちょうどいいわ。反抗すればどうなるか……」


売り言葉に買い言葉。もちろん憂理は安売りするつもりはない。


「待ってくれよ。エイミを医務室に連れて行くのはOKだよな? 冷やさないと腫れが引かない」


「駄目よ。冷やす必要なんて無い」


同じように顔を腫らしたユキエが言うと、いやが上にも説得力が感じられる。それが痩せ我慢と言われるモノならば、そんなものにエイミを付き合わせる必要もないのだが――。


「わかったよ……。でも今は気絶したみたいだし、ここに寝かしとくのはいいよな?」


ユキエはまた湿りっけのある視線で二人を見つめ、やがてアゴだけで壁を指した。OKということらしい。憂理が立ち上がり、壁際に並ぶ者たちの列に加わると、ユキエは床に転がっていた棍棒を拾い上げた。


「ジンロクくん。コレを」


入り口近くで呆然としていたジンロクは、訝しげな表情でユキエの所まで移動し、武器を受け取った。


「これで……なにを?」


「叩くの。コイツらを」


ジンロクは棒を見て、憂理たちを見て、もう一度棒を見た。「これで叩くっていうのか」


「そう」


ユキエの口から食料の盗難、半村の命令、それらの食堂であった《《不祥事》》が端的に説明されている間、他の奴隷たちは棒をスイングしてみたり、床を叩いてみたり、自らの頼るべき武器の具合を確かめていた。


「ねぇユーリ。夜のうちに脱走しよう」


囁いたのは遼だ。目で奴隷たちの動きを確かめながら提案してくる。なにか、とんでもない事になっているような気がする――などと眼鏡の少年は言う。

脱走すべきであることは憂理だって理解していたし、すぐにでもそうしたい。しかし憂理にはアイデアがなかった。


「脱走たって、どうやって?」


いまは監視下にあり、こうして囁き合うのが精一杯ではないか。


「うまく出し抜いて……さ。ジンロクなら見逃してくれるかも知れない」


それに関しては憂理も否定しない。もとよりジンロクは話せばわかる奴で、憂理たちの知り得た施設の事情も説明している。

本人の思想うんぬんでなく、幼い弟妹のために半村に従っているジンロクなら、憂理たちを逃がしてくれるかも知れない。警察さえ来てしまえば、こんな茶番に付き合う必要はないのだから。


「壁に向きなさい!」


ジンロクへの説明を終えたユキエが、奴隷たちへ向かって強い口調で言った。さながら受刑者のように憂理や奴隷たちは、ひとり、またひとりと壁へと顔を向けた。

目の前にはベージュに塗られたコンクリートの壁だ。こんなものは2秒で見飽きてしまう。


これを朝まで――10時間……3万6000秒。考えただけで気が滅入ってしまう。いま1秒経った。『人間電卓』と評される四季でなくとも解る。この1秒を3万倍……。


「30センチだと言われたでしょう。ちゃんと指示通りにしなさい」


ユキエにうながされ、それぞれが壁への位置を微調整するも、定規やメジャーがあるわけでもなし、正確かどうかはわからない。


もちろん、壁に向いて30秒で憂理はうんざりだ。こんなこと、あと1秒もしていられない。なにより、壁に顔をつきあわせていたのでは、看守である奴隷たちの動きがまるで分からない。


「リョー。俺、もう限界だ。自分でもよく頑張ったと思う」


「それは、さすがに早すぎるよ」


隣が遼であったのは幸いか。脱走するにしても都合が良い。


「こんなんじゃ、監視の目を盗むタイミングもわからね」


「それは確かに。振り向くのもアウトかな?」


「やってみるか」


憂理はとりあえず頭の角度を変えた。斜めに45度ほど顔を動かし、遼の方を見てみた。眼鏡の少年は命令通り真っ直ぐに壁を見つめており、どうにもマヌケな有様だ。


「ここまではセーフ……だよな?」


「うん、たぶん」


憂理が横を見ていると、ずらっと並んだ顔の一つが動いた。憂理からみて8人ほど向こうの顔――あれはアツシじゃないか。どうやらあの少年も、憂理と同じように『セーフライン』を探っているらしい。


憂理と目が合うと、アツシはニカッと笑い、小さく手を振ってきた。どうにも緊張感に欠ける奴だと思う。

その緊張感や警戒感の欠如は、半村の不在に起因するに違いない。事実、憂理だって半村がこの場に居ない事により、緊張の糸が緩いんでいる。

『殺されることはない』という安心感が、緊張を和らげているのだろう。


「そこ! 動いてる!」


ユキエが怒鳴り、同時にアツシの身体がビクッと反応した。イタズラを見咎みとがめられたかのように、アツシは何食わぬ顔をしてゆっくりと壁へ向き直った。憂理も素早く定位置に頭を戻す。


「カネダくん、やって!」


続くユキエの指示に、背後で慌ただしく誰かが動いた。


――やべっ。


憂理は目を閉じて、聴覚に神経を集中する。誰かが小走りに走って――椅子を押しのけて――。立ち止まって……。

そして重い打撃音。

だが痛みはない。これは自分じゃない。憂理が目を開き、少しだけ角度をつけてアツシの方を見やると、アツシが床に崩れ落ちていた。

あれがアウト……か。


「ほら、立て! もう一発いるか!?」


カネダの恫喝に、表情を苦く崩したアツシが渋々立ち上がった。背中を一撃やられたらしく、その立ち姿は痛々しい。


「1時間延長だわ。マツオカくん。アンタのせいで1時間延長だわ。もう皆に迷惑をかけないで」


ユキエの言葉が嫌みったらしい。しかし、自分の行動が全員の不利益に繋がることがわかると、憂理とて迂闊うかつなことはできない。下手をすると、足腰の限界――年金受給の始まる年まで延長戦が続くかも知れない。あるいは老後も。


「下らないことしないで。アナタたちが要らない抵抗をするたびに私たちも監視時間が増えるのよ」


ユキエの言葉に反応したのは、受刑者ではなく、看守のほうだ。


「マジかよ!」


これはカネダの声だ。ありえねぇ、だのクソだの汚い言葉を次々に生み出す。


「だって半村さまに言われたでしょう? 『お前らが罰を与えろ』って」


「無理だって! 夜通しずっと起きてるなんて、なんか俺たちも罰を受けてるみたいじゃねぇか」


「嫌?」


「嫌だね!」


「じゃあ、壁際に並びなさい」


ユキエは冷たく言い放った。壁際を棍棒で指し、さらに続ける。


「アナタはもう半村さまの部下じゃない。こっち側じゃなく、そっち側の人間……。さぁ、壁際に並びなさい。早く!」


これは手厳しいことだ。奴隷長の見解では、命令不服従は反逆とみなされるらしい。この処遇しょぐうにはカネダも面食らったらしく、しばらくの沈黙ののち勢いを無くした声で応えた。


「わかった。……最後までやる」


さすがに壁との睨めっこは嫌だと言う事らしい。そこにジンロクの無骨な質問が続いた。


「座ってもいいか?」


すぐに返答はない。短くとも5秒ほどの間が置かれ、やがてユキエの返答が聞こえる。


「いいわ」


椅子が引かれる音、棍棒が床に触れる音。それらが憂理の後方を賑わした。


――ダルい。

ベージュの壁を見つめたままでは、時間が過ぎた気がしない。こういう時こそ妄想などをして時間を潰すべきなのだろうが、直立したまま妄想の世界に逃げ込めるほど想像力にたくましくはない。やはり寝る前にベッドの中でなければ。


かくして10分は経過しただろうか。見える位置に時計はなく、経過時間さえ把握できない。これは苦行なんてものじゃない。テレビアニメだってCMの挿入されるタイミングで時間感覚が得られるのだ。

こうなってくると、気絶しているであろうエイミが、憂理には羨ましくさえ思えた。

――そういえば。


「リョー。お前、腕時計してたよな?」


「うん」


これは手柄だ。無機質に秒を刻む機械が、いまはテレビよりも愛おしい。


「どれくらい経った? 1時間か? 2時間は言い過ぎか?」


「5分」


やはりテレビのほうが好きだと憂理は思う。時計は無情すぎる。


「朝までもたない」


「うん」


「なんとかしないとな」


脱走するにしても、とりあえず看守たちをどうにかせねばならない。憂理の背後、10メートルほどのところに看守たちがおり、今も監視されているのだ。囁き声が届かない距離であるのが不幸中の幸いか。


「ねぇユーリ」


「ん」


「勝てるんじゃない?」


「勝てる?」


「僕ら壁に並ばされている人は20人近い。向こうは……たった4人」


単純計算、看守1人を5人がかりで襲える。それも半村に『ひょろい』と評されるような奴らだ。棍棒のような武器を持ったところで、5対1の多勢に無勢は覆せないのではないか。


「駄目かな?」


真面目クンのクセに、なかなかのパンクだ。憂理はすっかり嬉しくなった。

自分は従わされる事に慣れすぎて、男らしい反骨心を失っていたのではないか。


「よし、やる」憂理は小さく頷いた。「朝までこんなバカな事に付き合ってられねぇよな」


「みんなに伝えよう」


憂理が左、遼が右といった形で隣り合わせの者への伝言ゲームが始まった。

『反乱』に賛同する者は、咳払いをするよう伝える。全員が賛同するとは限らず、どのくらいの戦力になるか把握しておきたい。

か弱い女子が不参加を決め込むことを想定、それを差し引いても3対1の状況を作れば反乱は成功するに違いない。


咳払いが伝言の広がりとともに聞こえ始めた。

1人、2人、3人……。

4人、5人……。


最終的に13回の咳払いが確認できた。憂理と遼を足して、15人だ。

看守1人につき、受刑者3.75人。有利に事を進められるギリギリのラインだろう。

上手くバラけて多対1の状況を作ることが出来るか心配であるが、そればかりは運の要素もあろう。どのみち、数的有利は変わらないのだ。


「よし……合図と同時に襲うぞ。まず武器を奪え。奴隷1人をやっつけたら、すぐに他の応援に回れ」


隣に指示を伝達しながら、憂理はえもいわれぬ高揚感を味わっていた。戦争ごっこ、サバイバルゲーム。それよりも遥かにスリリングだ。

食堂を制圧できれば、勢いそのままに半村も倒す。全員が一丸となって寝込みを襲えば、半村だってなすすべもなかろう。

圧制、暴力の象徴が倒れれば、この混沌とした生活も終わる。


終戦のビジョンが明確になると、憂理の全身に俄然がぜん活力が湧いてきた。

どうして早くコレを思いつかなかったんだろう。肌に汗がにじみ、耳の奥にシャクシャクと心音が聞こえる。


――3。

カウントを始めながら、憂理は高ぶる心を落ち着かせていた。

――焦るなトクラ・ユーリ。感情に飲み込まれるな。自分を支配するんだ。


――2。

負ける事は考えない。俺は勝つ。オーケー、すべては順調だ。


――1。

「今だッ!」


号令をあげ、憂理は壁から振り向いた。壁を向いていた奴隷たちが一斉に咆哮をあげ、食堂内の静寂を葬り去った。


憂理だけではない、反乱に賛同した者すべてが同時に壁から看守たちの方を向いたのだ。これには看守たちも呆気にとられたとみえる。予期しない事態に目を丸くして、唇は半開きに。


振り返った15人は、みなが野生動物のような俊敏さで離れた場所にいた看守たちに駆け寄り、襲いかかった。憂理は身軽にテーブルへ飛び乗り、その上から助走をつけて椅子に座っていた看守の1人に飛びかかった。

反応が遅れたその看守は、棍棒を構えることも叶わず、ただ憂理の肉弾を全身に受けた。

椅子が倒れ、看守も憂理も床に投げ出される。


憂理は馬乗りのポジションから、素早く拳を振り下ろした。骨ばった看守少年の頬に、ありったけの力を落とす。食堂内は様々な音に満たされた。椅子が倒れ、テーブルが動き、奇声に怒声に叫声だ。花火工場で事故があっても、こうは騒がしくあるまい。


「棒を!」


2撃目を振り下ろしながら憂理が叫ぶとアツシが棍棒を拾い上げ、カネダの方へと向かった。瞬間、食堂のドアが開き、2人の男子が中をのぞき込んだ。


――見張りか!


見張りの2人は、目にした大騒動にアタフタしながらも、急ぎ食堂へと駆け込んでくる。時間が滞るようにゆっくりと流れた。1秒がその何倍にも感じられるほどゆっくりと。


カネダはフルスイングで棒を振り回し、それを首や腕に受けた者がスローで床に倒れゆく。ユキエも鬼気迫る表情で棒を振り、取り囲む反乱者の接近を許さない。

ジンロクは――。


確認する間もなく、憂理は見張りの1人によるタックルを受けた。タックルについで、上から拳が降ってきた。拳と床に挟まれ、衝撃の逃げ場がない。傷みより早く白い光が脳内を満たす。


歯を食いしばって2撃目を耐えようとした瞬間、見張りの少年は憂理の上から転がり落ちた。見れば、タカユキの足が宙で止まっている。


「危なかったね、憂理」

礼など言っている場合ではない。憂理は素早く起き上がり、ジンロクの方へ向かった。ジンロクの周囲には5人。囲まれたジンロクは、棒を振り回すでもなく、威嚇するでもなく、ただ困ったような表情をしていた。

これは夜盗に絡まれた野武士のようだ。


「ロク! 手を貸せ! 半村をやる!」


憂理が叫ぶと、ジンロクは唇を噛んだ。唐突の協力要請に仰ぐ旗を決めかねている様子だ。業を煮やした反乱者の1人が雄叫びを上げて、ジンロクに飛びかかった。

手にした棒を奪おうと、低いタックルを敢行するが、ジンロクは身をそらしてそれをかわし、反射的に背中へと肘を落とした。


「こ、コイツも敵だ!」


誰かが叫んで、誰かが飛びかかった。1人、2人、3人。さすがのジンロクも交わしきれない。肉弾の重みに倒れ、もみくちゃにされる。かくして拳の洗練が開始された。

ジンロクへの暴力は不本意だが、今は仕方がない。


見ると、カネダはアツシと棒を挟んでの緊張状態にあった。サムライの御前試合のごとく微妙な間合いを取り合っている。


「アツシ! タラタラすんな!」


今は時間が惜しい。憂理は手近の椅子を掴んで、それをカネダに投げつける。カネダはそれを上手くかわしたが、続くアツシの一撃は避けられない。上腕に棍棒がめりこみ、頼みの武器を床に落とした。


確実に反乱は成功しつつあった。食堂の戦況は数に頼った反半村側に有利で、半村派は防戦一方だ。だが、混戦にあって状況は予断を許さない。

アツシは見張りの1人から背中に蹴りを入れられ、バランスを崩して倒れる。見倒れたアツシの上半身に、振り上げられた椅子が直撃、椅子はバラバラに壊れた。


大食堂に叫びと混乱があった。暴力があった。だが次の瞬間には混沌を一掃する金切り声が上がった。

「やめろ!」


女の声。甲高く、怒りに満ちた声だった。

見れば、ユキエが棒を振り上げている。気絶したままのエイミの頭に、今にも振り下ろさんが勢いだ。


「こ、殺すぞ!」


老婆のようにしわがれて、抑制のない脅しだった。だが効果的ではあった。

あの女はやりかねない――皆がそう考えたし、実際に反乱者たちの動きは止まった。

誰もが必死ではあったが、誰かの命を犠牲にするつもりはなかった。敵である看守であっても、殴りはすれ、殺すなど考えてもいない。

喧嘩の延長線上ぐらいに考えていたのだ。


「憂理。タガが外れてるよ。彼女は」


憂理の耳元で囁く声。これはユキエと対照的に抑制のきいた声だった。タカユキは『やりかねない』と言っているのだ。皮肉にも、というべきか、状況はカガミが殺されたシーンと酷似していた。彼女は彼女の敬愛する暴君の愚行を再現するつもりか。

誰も動けなかった。

自分が動く事で、1人の女子が死ぬ。そんな重すぎる責任を負おうという物好きはいなかったし、実際にユキエならやりかねないと皆が考えた。


「カ、カネダッ! 棒を拾え!」


ユキエに命令されたカネダは、バツが悪そうに立ち上がると、ダメージを受けた上腕をさすりながら棒を拾った。


「ジ、ジンロクくんから離れろ!」


次の指示にも逆らうモノは居ない。ジンロクに暴行を加えていた3人は、不安そうに顔を見合わせて、彼から離れた。憂理に倒された看守は、見張りの1人に起こされて、悼むであろう頭を抱えている。


「う、腕をッ! 腕を縛るモノを! コ、コイツらは、き、危険だ!」


ひどく、どもっている。動揺と、怒りと、懸念がオーラと吃音きつおんとなってユキエを包み込んでいた。つくづく縛るのが好きな奴だ、と憂理が内心に鼻で笑うと、ユキエの怨念じみた視線が憂理を刺した。


「そいつだ! トクラ・ユーリ、またそいつだ! そ、そいつは危険な奴だ!」


「危険なのはお前らだろ」


「う! 腕を! 腕を上げろ!」


今のユキエはまるで、銃を所持した犯罪者に立ち向かう新米警官のごとしだ。なんだか悪党扱いされたようで気にくわないが、刺激する事もなかろうと憂理はユキエの指示に従い両手を頭に当てた。


「し、縛るモノ、縛るモノを! なるべくたくさん!」


ユキエの指示に、見張りの1人が食堂から足早に出て行った。


「目立ちすぎたね、ユーリ」


見ればタカユキがすぐそばでクスクス笑っている。なんとも腹の立つ奴だとおもう。


「うるせーよ。裏で手を引いたのはリョーだ」


「じゃあ、眼鏡君も縛られないといけないね。ドンが捕まらない限り、鉄砲玉は減らない」


「しゃッ! 喋るな!」


やることなすことユキエのシャクにさわるらしい。反乱は失敗し面倒な事にはなったが、憂理に危機感は無かった。チャンスは一度だけではない。


しかし、ユキエやカネダに与えた悪印象は計算外だった。今後、それがどういった結果に結びつくかまでは、現在の憂理の考えが及ぶところではなかった。




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