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13月の解放区  作者: まつかく
2章 獣性の解放区
18/125

2-7 地下にたつビル


――いつでもチェックアウトできます。だがアナタは決して立ち去ることはできない。


憂理はいつだかの懐メロ特集で知った曲の歌詞を思い出していた。

その曲ではこうも歌われていた。


――彼女は言った。『私たちはここの囚人、そしてここは私たちが作った』

――そして祝宴の人々は磨かれたナイフでソレを刺す。だが、決してその獣を殺すことはできない。


いまだに意味がわからない。いまどうしてこの曲を思い出したのか――も。

こんなとりとめのない事を考えたまま、仲間たちの軽口に加わらず、ただ緑の世界を進んだ。


そうしてたどり着いた『大区画』は、憂理の想像を超えていた。


図面の正しい読み方を知っていれば、横方向への広がりだけではなく、縦方向、つまりは高さまで把握できていたはずであるが、四人の少年と一人の少女に図面を読み解く知識が欠けていたところで誰が咎められるだろう。


ほとんど防火扉のような分厚い両開きのドアをくぐった先は、高所だった。

照明が点灯していない状況では『底』の深さは計り知れず、壁際を囲む通路の手すりから覗き込んでも良くはわからない。

ビル、あるいは校舎の三階程度にあたる高さであろうか。


「こんなに……広いなんて」

さすがの遼も呆気にとられ二の句が継げない様子だ。


「なんか、ロボットとかの格納庫みたいだ!」


「ちょーかっこいいじゃん!」


ケンタと翔吾は瞬発的にテンションが上がったらしく、ハイタッチしては奇声を上げる。一方でエイミは肘を抱いて肩を震わす。これはテンションが上がっているとは言い難い様子だ。


「なんか、気持ち悪くなってきたわ。なんでこんな広いスペースが必要なの……?」


「そうだな」憂理もテンションが上がるのを押さえながら、じっくりと考える。


サッカースタジアムを地下に作りたかった……ワケはなさそうだ。むろん野球場でも陸上競技場でもない。

それは暗い底から積み上がってきているコンテナを見ればわかる。

貨物列車の貨車とおぼしき大型のコンテナが、二段三段と積み重なり、さながら夜のビル街を見下ろしている風情である。それは倉庫と呼ぶより格納庫と呼ぶのが適切で、部屋と言うより区画であった。


「ロボいるんじゃねーの。巨大ロボ。なぁユーリ、ロボがよう」


「今はロボより脱走だろ。とにかく大型エレベーターを探さないと」


通路からの緑光を頼りに、憂理は図面に目を落とした。現在地からすると、目当てのエレベーターはちょうど正面にあるはずだ。

確信して図面から目を上げ格納庫の奥へ視線をやるが、そこにはただ闇が広がっている。


「真っ正面なんだけどな。コレじゃ見えないな……」


憂理たちのいる場所のすぐ側には階段がある。ジグザグに降るその階段を使えば『底』へはたどりつける。その『底』から直進すべきか。あるいは今居る外周の通路をたどり、大回りで奥を目指すべきか。


『底』に降りたとて、直進できるとは限らない。かといって、外周も途中で途切れている可能性がある。すこしでも闇から情報を得ようと目をこらす憂理の肩に、エイミが手を置いた。


「使いたまえよ。トクラくん」


なんとも演技がかった言葉とともに、憂理の眼前に懐中電灯が差し出される。『脱走準備』でリュックサックに入れた品である。


「いや、無理だろ」憂理は冷めた言葉を返しながら懐中電灯を受け取り、気乗りしないまま正面奥を照らしてみた。

だが、やはり懐中電灯程度の光量では『それらしきもの』『それらしき道筋』すら照らし出すことは叶わない。

白光はむなしく闇に飲まれてゆくだけだ。


エイミが残念がり「駄目じゃん」と眉を寄せ、打開策を求める視線を遼に投げかけた。遼は肩をすくめて言う。

「当たり前のコトだけど、照明のスイッチを探すのが一番だと思うよ」


「よし」


憂理とエイミ、遼が三者三様に壁際をさぐり照明のスイッチをほとんど手探りで探す。だが、これには翔吾が苦言を呈した。


「お前らな、照明なんてつけたらパーッと明るくなって誰かに見つかるかも、だろ?」


懐中電灯があるのだから、その光を頼りに前進するべきだ、という。シンプルな意見ではある。が憂理は気が進まない。

怖い、ワケではないがなんとなく不安を禁じ得ないのだ。

何が潜むかもわからぬ闇に、たった一つの懐中電灯で……。


「ユーリ、いくぞ。ここの階段から降りて、奥まで直進するのが一番早い」


シンプルな翔吾の意見はケンタによって後押しされる。


「やっぱ翔吾さん違うな。翔吾さんさすが男だ。男は黙って実行だよ」


二人して盛り上がると、翔吾とケンタは先立って階段を降りはじめた。まぁいいか。と憂理もその後に続き、エイミや遼も文句なく従う。


どのみち、選択肢は2つしかなく、選べるほどでもないのだ。先頭をゆく翔吾が懐中電灯で足元を照らすが、やはり光量に乏しく、手すり無しでは怖くて降りれたモノではない。

翔吾は翔吾で翔吾なりに気を遣ったらしく、自分の足元より後続のメンバーの足元を積極的に照らして言う。


「気をつけろよ。ちゃんと足元みてな」


「ヤダ、この足場、アミじゃない!」


「アミというか……」遼が訂正する。「グレーチングだね」


道端のドブや側溝に蓋をする形で設置される網。これはグレーチングというのか、と自らも『アミ』と呼称していた憂理はひとつ賢くなった気分。

納得する憂理をよそに、呼称問題などまるで気にしないエイミがテンションを下げている。


「待ってよ、コレじゃ、こんなアミじゃ、下が丸見えじゃない! なんでコンクリートで作んないのよ!」


強度に問題はないのであろうが下が透けて見えると、いささかに心細さを感じる。翔吾が足元を照らせば照らすほど、グレーチングを透かして更に下が見えるのだ。

しかし、それでもやはり底は見えず、地獄までくだってゆくような錯覚をおぼえた。


高所恐怖症なのか、エイミが憂理の背中にすがって歩きにくい。

折り返しの踊場からまた踊場へ。

体感、ビルにして1フロアほどの高さを降ったところで底に光が届き、3フロアを降ったところで底面へたどり着いた。


底面は階段と違い、コンクリート造りであった。触覚に頼るまでもなく、その質感は冷ややかで、規則的に配置されているコンテナが圧倒的な存在感を放っていた。先ほどはコンテナビルを見下ろす形であったが、今度は見上げる形だ。


壁際には何かの操作盤やハシゴ、タラップのようなものが置いてある。

「見て」遼が指差すと、翔吾が懐中電灯を向ける。「あそこ、クレーンがある。あれでコンテナを積み上げたみたいだね」


なるほど、と特に感慨もなく憂理が頷くと、ケンタが最寄りのコンテナに歩み寄り、コンコンとノックした。

コンクリートよりも冷ややかな鋼鉄が、ノック音を伝播して、かすかな反響を聞かせる。


「このなか、何が入れられてるんだろ?」


誰も知る者がいない以上、そのケンタの質問には誰も答えられない。むろん言外には『開けてみようよ』というニュアンスが含まれていたが。

見れば、コンテナのいくつかは扉が半開きになっており、覗きこめそうではある。


だが、脱走が先決であるという意見がまばらに上がり、そんなケンタの言外の希望は捨て置かれた。

そうして懐中電灯を持った翔吾がビルの間を歩き始めると1人また1人とその後に続く。


「すごいわ。これだけの量のコンテナ……。これは間違いなさそうね」


つまりはこれだけのコンテナを搬入できている以上、大型エレベーターの存在は確実。希望が繋がれた形だ。

エレベーターがなければ八方塞がり、お手上げといった何とも拙い計画ではあったが、心配の種はひとつ消えたと言って良さそうだ。

憂理は微かな安堵から、先人の偉業を評価した。


「サイジョーの奴……。すげぇな。エレベーターを知ってたって事は、こんなトコまで1人でウロついてたんだよな」


1人で、この大区画を。それは憂理にとって余り経験したくはない冒険である。

こうして仲間たちと共に歩いていても、心臓は激しく鼓動を繰り返し、汗がジワリと手のひらをヌメらせるのだ。

――単独で探索など、ほとんど正気の沙汰ではない。


少なくとも憂理はそんなふうに思う。

しかし、同時にサイジョーの背中を押した行動力やモチベーションは何となく理解できる気がした。知れば知るほど謎が……パズルのピースが増え、全体像の把握も困難になる。


まるで、騙絵を図柄に採用したジグソーパズルを解いているような……どこか怪しい魅力があった。


「ねぇユーリ?」ケンタが最後尾から問うて来る。「チビのサイジョーは結局脱走できたのかな?」


また誰も答えられないたぐいの質問であった。しかし、憂理はあえて答えた。


「脱走できたさ」


「どうしてわかるの?」


「どうしても」


――だって、サイジョーが脱走に失敗したなら、同じ道を行く俺たちも……。

つまりは何の根拠もない憂理の希望的観測である。


「じゃあ、僕たちも脱走できるよね」


「たぶんな」


「ふうん。じゃあユーリ、外に出たら警察に行って、それからハンバーガー食べに行こうよ」


ケンタの美点は、素直さや呑気さにあるのかも知れない。『脱出できるかどうか』の大問題を、まるごとユーリにまる投げし、そうして得られた回答を疑うことなく受け入れる。

この邪気のなさは天性のものに違いなく、憂理はその無邪気に何度となく苛立った経験があった。だがそれ以上に好感を覚えた経験は数限りない。


救いがたい楽天主義者で、究極のマイペースである。

いうなれば、ケンタが飛行機を発明したとすれば、憂理はパラシュートを発明する。遠くに雨雲が見えれば、『水をやる必要がない』などと笑顔で種を蒔くのがケンタ。

雨がやむまで種を蒔かず、小屋で眠るのが憂理だ。

ちなみに翔吾なら、種蒔きなどほっぽりだして着衣を脱ぐのではないか。『天然シャワーだ』と。


ケンタが天真爛漫ならば、翔吾は自由闊達。さしずめ今の憂理は暗中模索であろう。

先頭を歩く自由闊達が言う。


「アレか? エレベーターって」


光線が向けられた先には柵が見える。無数の菱形を並べたような蛇腹の引き格子だ。


「あった……」


歩きながらも憂理は我が目を疑ってしまう。

サッカーゴールよりも幅広の蛇腹格子は巨大な檻を連想させた。今の心境と相まってか、どこか不吉ささえ感じるのだ。

コンテナを搬入できるのであるからその巨大さは当然だと言えるのだが、いざ目前にしてみれば奇妙な圧迫感があった。


近づけば近づくほど細部が明確になり、伝聞のほとんどが正しかった事がわかる。格子の手前にシャッター状の安全扉があり、格子の向こうには車一台はゆうに収まりそうなケージ。


たしかに大型エレベーターだ。

エイミなら60人、憂理なら50人、ケンタなら30人は同時に運べそうな規模である。


「コレに乗ったら……外に出られる」


ようやくだ。七転八倒に悪戦苦闘、四苦八苦。

様々な出来事が憂理の脳裡をよぎった。

この施設にやって来た日の記憶から、痩せ女の死まで。


感慨に耽る憂理をよそに翔吾が蛇腹格子に素早く歩み寄り、右側に備え付けられていた操作盤を発見した。コンクリートの壁面に埋め込まれたそれには様々なボタンが見て取れる。


「コレで上下するみたいだな」


しかしエイミが冷静に言う。

「エレベーターなら、中にも操作盤あるでしょ? じゃないと危ないじゃん」


これは正しい。

ではケージの中へ、と機動力の高い翔吾が蛇腹格子の少し開いた隙間から中へ侵入する。憂理、遼、エイミはすんなり通れるが、ケンタには隙間が狭すぎる。

数人がかりで蛇腹格子を引っ張って、左右に少し開けるとようやくケンタも入り込めた。


全員がケージに入ると、翔吾がケージ内の操作盤へ歩み寄る。それを横目に憂理はぐるりとケージ内を見渡した。

――広い。

生活棟の一部屋、ベッドルームや教室とほとんど変わらない床面積である。


「どのボタン?」翔吾が確認するが憂理たちにわかる道理がない。


「それっぽいボタンがあるだろ?」


憂理が言うと、翔吾は肩をすくめて「わかんね」

皆が操作盤の前に集まると、全員の頭上に疑問符が浮いた。コレはたしかにわからない。普通のエレベーターであったなら、各フロアの数字や開閉のマークがあるモノであるが、この操作盤には数字は見当たらない。

ロック、シャットダウン、アラート解除、起動、確認。昇降。

各ボタンのプレートをザラッと見ただけでも普通のエレベーターとは毛色が違うことがわかる。


「素直に考えたら……」と遼。「『昇降』かな」


地下と地表を行き来するだけならフロア表示は確かに必要がない。


「オケ」


翔吾が一呼吸置いて、『昇降』ボタンを押した。しかし、何も起きない。

「違うみたい、だぜ?」


「じゃあコレじゃないか?」


憂理が『起動』のボタンを指差す。まず電源を入れないと動かないのでは、という発想であった。

翔吾が親指で『起動』ボタンを押し込むように、押す。

ボタンが奥までめり込むと、操作盤上部にあった小さなランプが赤く点灯し、さらには遙か頭上でなにやらコトリと音がした。


「当たりっぽい。次は?」


「昇降じゃないか?」


了解、と翔吾が『昇降』ボタンを押し込んだ刹那、けたたましい音が響き渡った。

ビー、ビー、ビー、と耳障りなブザーが激しく鼓膜を震わせ、壁面やケージの天井に備え付けられていたパトランプがグルグル回転しながら赤色の光をバラまきだした。


「マズい! ハズレ!」


「翔吾! 止めろ」


鳴り響くブザーの音量は大きく、内臓がやられてしまいそうな程の音圧だ。パトランプの赤色灯が世界を真っ赤に明るく染め上げ、憂理は全身に汗がにじむのを感じた。


「止まらねぇ! なんで!?」


翔吾はブザーを停止させるであろう事が濃厚な『アラート解除』ボタンを何度も何度も必死で押している。

だがブザーもパトランプも止む気配がない。


見ればケージ内だけでなく、大区画全体にアラートが連動するらしく、蛇腹格子の向こう側……大区画全体もパトランプによりほんのり明るくなっている。


「マズいって! 音がデカすぎる!」


ブザーの合間を縫って、ほとんど悲鳴のような翔吾の声。何かを遼が叫んだが、ブザーの大音量により憂理の耳には届かない。

すると、おもむろに遼が手を伸ばし、『確認』ボタンを押した。

それと同時にブザーは大空間に不快な尾を引きながら消えた。


「止まった」


しかし、パトランプはカラカラ音を立てて回転したままだ。

「びっくりしたじゃない! もう! バカ!」


エイミが翔吾に怖い顔を向けるが、いわれなき批判に翔吾は唇を歪めるばかり。

光をバラまくパトランプを止めるため、憂理は操作盤と睨めっこをしていたが、まるで見当がつかない。


だが何となく、感じる。

このパトランプは先ほどのブザーとセットであり、『警戒』を表しているのではないか。だとすれば、それは当然安全のためで、安全が確保できたと機械に認識させてやらねばならない。それには……。

憂理は翔吾の手から懐中電灯を抜き取ると、そそくさと蛇腹格子へと歩み寄り、その隙間からケージ外へと出た。


点在するパトランプにより区画全体がぼんやりと明るく、コンテナの影が大空間に明暗を作り出している。

高い影に赤い闇。まるで大火に見舞われたビル群……大都市のようにも見える。

憂理は外部の操作盤へ歩み寄り、電灯で照らした。

やはりケージ外のパネルよりボタンが多い。設定や昇降速度、点検用のボタンらしきものまで見て取れる。


「ここで止めるの?」


憂理の後についてきたエイミが首を傾げている。パトランプに照らされ髪が真っ赤だ。

「たぶんな。遼もそう思うんだろ?」


メガネを赤くした少年は「たぶんね」と返した。まず『確認』を押す。だがパトランプは止まらない。『アラート解除』も同様だ。

何度か無為に色々と試すうちに、『手動/平常運転』と書かれたツマミに目がいった。

現状で平常運転を指しているツマミを、何気なく手動へ変えてみると……パタリとパトランプは消える。スッと赤光が黒に飲まれ、大区画に闇が戻った。


「よし」


業務用という種類に属するせいか、あまりにも分かり難く融通がきかないのかも知れない。

「手動運転じゃないと、ケージ内からの操作を受け付けないのかも……ね」


遼は完全には納得できていない様子だ。それは憂理だって同じであった。


「とにかく……これでいけるかな」


ケージ内に戻ると、翔吾とケンタが床にだらしなく腰を下ろしていた。懐中電灯で照らすと猫科の少年は眩しそうに眼を細める。


「もう、オケか?」


どうだろう、と曖昧に返答して憂理は操作盤の前に立つ。


「遼。コレで『昇降』ボタンを押せばいいのかな?」


「わからないケド……やってみようよ」

しかし、『昇降』ボタンを押すと同時に再びブザーがけたたましく鳴り響いた。素早く鳴り物を止めると、再び憂理はケージ外へ出た。


――なにか手順があるのか?


外部の操作盤の前で、パトランプを止める前に腕を組んで考え込んでいると、カラカラと回るパトランプの駆動音の他に、なにか音が聞こえた。

なにか。なにか金属的な……。


何気なく操作盤から目を離し、憂理は大区画を見回した。

随所にて回転する赤と闇の黒。その一角に、なにか異質なものを感じた。

違和感。


それは色だった。赤と黒だけの世界に、緑があったのだ。


エレベーターのちょうど正面奥。つまりは憂理たちのやってきた場所。そのあたりに緑があった。


目を細めて凝視すると、通路から入り込んでくる緑色光に、小さな人影が浮かんでいるのが見えた。開かれていた扉が閉じられると、緑光は消える。

だが、その代わりとして足音が憂理の耳に届いた。


カッ、カッ、カッ、とキツめのスタッカートを聞かせる足音。それは、明らかにグレーチング階段を降って来ていた。

その人物は懐中電灯を手にしているらしく、それが時折こちらに向けられる。


近づいてきている。足早に、確実に。その『誰か』が、階段を降りきった。

コンクリートの床面に到達した瞬間が音でわかる。

音が変化したのと同時に、テンポも変わる。


カッ、カッ、カッ、それは次第にカッカッカッへと。――走り出したのだ。


「ヤバい!」憂理は姿勢を低め、小さく叫んだ。

「見つかったッ!」





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