契約
「――――ここは・・・?」
私は屋上から落ちたはずなのに、痛みを全く感じない。逆に、何故か安心出来る様な温かい雰囲気がした。
目を開けると、周りは真っ白。もしかして天国かもしれない。
あぁ・・・そうか。やっぱり私、死んだんだ。
『・・・意識が戻りましたか?』
声が聞こえた。正直言って、さっきから何の音も、姿もなかったので驚いている。
声のする方を向くと、真っ白なワンピースを着ている女性がいた。まさかと思うが、天使?
『身体は大丈夫ですか? ・・・ここは、天の入口』
「天のって・・・、やっぱり天国?」
そうです、と少し悲しそうな目をした。
でも疑問に思う事があった。入口とは・・一体どういう事? まだ死んでいないって事なのだろうか。
顔に出ていたのか、女性はコクンと頷いた。
『けど、本当なら死んでいます。確実に。だけど、貴方はまだ生きてもらわなければなりません』
「はぁ!? こっちは死ぬ気で落ちたってのに・・・。何で生きなきゃならないの?」
もう生きたって何の意味もない。親も・・・友達もいない。
そんな何もない世界で暮らす事なんて、考えただけで目眩がする。
『もう時間がありません。・・・また、会えるといいですね』
「え、ちょっと! まだ言いたい事や聞きたい事が―――」
女性に触れようとする。しかし、透けている為、それは不可能だった。
そして、私と彼女の体が薄くなっていく事に気づく。
「待ってよ! 意味が分からないんだけ・・ど」
『私は、セキハ。貴女の友達の姉です。
どうか・・・、あの子を助けてください』
私の友達・・・?もしかしてそれって―――。
しかし声にする前に、完全にその場から私達の存在は消えてしまった。




