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プロローグ

 両隣の大国の緩衝地帯であるかのような、小さな国、レルカーリア国。小さいながらも、山や川、森林に恵まれ、その国の人々は豊かな暮らしを送っていた。

 しかし、数百年と続いてきたその国の平穏は、見えない力によっていとも簡単に解体された。独立を守り、災難とは無縁の国のはずだった。しかし、数多くの国民が病に倒れ、隣国の支援もむなしく、ついには王族の血も途絶えた。

 以降、レルカーリア国は衰弱の一途をたどった。次第に国として成立することすら難しくなり、レルカーリア国は数百年もの間、血を流すことなく守り続けてきた地を、国の解体を持って手放した。

 国民は隣国へ引き取られ、レルカーリア国は解体された。

 多くの国民が、愛する地との別れを惜しんだ。この地で生まれ、育ち、繁栄してきた彼らにとって、過去の記憶を抹消させられたような喪失感を抱かせた。


 ある日、彼女は部屋に架けられていた一本の剣を手に取った。

 それは彼女が思い描いていたものよりも重く、また実用的であった。丁寧に手入れがなされた持ち手、歪みのないまっすぐな剣身。舞い上がった少しの埃でさえ、彼女の瞳には、その剣が纏うオーラのように見えた。

 彼女は、剣身に手を置く。窓から漏れた光が剣身を明るく照らし、そして明るく反射した。

 その輝きは、何にも代えがたいものだった。

 かつての独立、そして平和と繁栄を彷彿させるような、威厳がありつつも優しい輝き。

 その輝きを瞳に映し、彼女は言った。


「私はもう、どこにもいかない」


 これは、彼女が一つの大剣と共にあり続ける物語。

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