Game9 ラッセンの言葉の意味
秀太がアメリカ・ボストンにやって来て一月が経とうとしていた。ハードな練習にも慣れ、体力もつき、グロッキーにリバースする事も無くなって来ていた。そんな折、秀太が初めてラッセンヘッドコーチと、会話をする事になる。
ラッセンはまるで秀太を舐める様に分析している様であった。それは秀太もヒシヒシと感じていた。ラッセンは開口一番に唐突にこんな事を言ってきた。
「お前をスタメンで使うつもりはこれっぽっちも無い。」
秀太はショックだった。英会話にも慣れラッセンの言葉の意味が分かっていただけに、それだけショックも増した。バスケットボール選手にとって、スタメンで使われないと言われる事は、裁判で死刑判決を受ける様なものである。
ラッセンは続けた。
「良いか、秀太?お前の実力が足りないからスタメンで使わない訳では無い。寧ろ逆だ。お前の類稀なる才能を活かして”SIXman“としての才能を開花させて貰いたい。」
何だか妙に嬉しかった。日本ではSIXmanなんて唯のベンチプレーヤーに過ぎないと考えていた為、何を言われてもチヤホヤされても、ちっとも嬉しく無かった。でも今は違う。ラッセンは秀太の実力を認めた上での言葉だと分かったからであった。