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Game19 パサー
全米高校選手権までのわずか2週間程度の間にラッセンは、秀太にマスターして欲しい事があった。それはパサーとして、かきまわせるだけかきまわして、敵のディフェンスを崩そうと言うものであった。秀太の得点能力やペネトレイトからのアウトサイドショット等はラッセンの望む基準にある。しかし、試合での秀太を見ていると、独り善がりなプレーが多い。特に仲間とのコミュニケーションが取れていないと言う訳では無いが、1on1にこだわり過ぎている様に見えるし、実際にはそうだった。
1on1もオフェンスの選択肢に過ぎない。つまりパサーとしてパスを供給する事を覚えなければバスケットボールプレイヤーとして大成する事など夢のまた夢であった。秀太もようやくその意味が分かって来た。元来センスは抜群の秀太が味方にパスを回す事位造作の無い事であった。そして、あっという間に時は流れて12月初旬を迎えた。秀太が初めて迎える全米高校選手権バスケットボール大会の開幕である。




