事故
いきつけのバーガーショップでコーヒーとサンドイッチをテイクアウトする。
車を発進させて、急カーブに差しかかったところで、対向車線からレンタカーが幅寄せして来た。
咄嗟にハンドルを左に切って避けようとすると、タイヤがスリップして言うことを聞かなくなった。
制御不能となった車は、歩道に乗り上げると、そのまま突っ走って、勢い、歩道を走り出した。
奥から下ってくる歩行者がこちらを見て怯えている。
(まずい!!!!!)
僕は、慌てて、ハンドルを右に切って、車道に戻ろうとしたのだが・・・・・
制御不能となった車は、そのまま車道を横断して、反対側のガードレールに向かって激突した。
瞬間、エアバッグが飛び出し、車内は煙と火薬の匂いで充満した。
僕の頭の中は真っ白になった。
車の外におそるおそる出てみると、レンタカーに乗っていた観光客のカップルが駆け寄ってきた。
「大丈夫ですか?」
「お怪我はありませんか?」
気が動転して呆然としていた僕の口からは、しばらく言葉が出てこなかった。
見かねたカップルが警察を呼んでくれて、駆け付けた警察官が事故処理をしてくれた。
気づくと、僕のズボンは、右太もものところが溶けてしまって、そこに穴が開いて、穴からむき出しになった僕の皮膚は、無残にも、真っ赤に腫れあがっていた。
救急車も駆けつけて、救急隊員がエアバックの火薬で火傷したのだろうと説明してくれた。
僕は、救急車に乗せられて、病院へと向かった。
鳴り響くサイレンの音に頭がおかしくなりそうだった。
僕の車は、ガードレールにめり込んで、動かなくなっていた。
制御不能となった車は、こうでもしないと止まらなかった。