7.いつかまた会いましょう
触手に何度もその身を打たれて鎧は壊れ全身ボロボロだったが、彼はついに果実の足前までたどり着いた。
「ほんとどうしようもない馬鹿ね、アンタ」
「今、助けに……!」
「アンタ一人じゃ敵わないよ、コイツには」
彼は抱えていた槍で貫こうとするが、果実の強固な表面は刃を弾き、間髪入れずに触手の追撃が彼を襲う。
あっという間に彼は大量の出血や今までの疲労で動けなくなってしまった。
「ほら、言わんこっちゃ無い……」
「それでも!私は!貴女を助けたい……!」
それでも彼は力を振り絞り魔物に立ち向かっていく。
(馬鹿だなぁ。ほんと、馬鹿……私、そんな無茶するほど価値のある人間じゃないのに……そんな傷ついてまで頑張る意味ないのに……)
そうしている間にも闇はエミィの体を蝕んでいた。視界は暗くなりもう半分ほどしか見えない。もはや呼吸するのも精一杯だった。
もう諦めようと言おうと口を開くと、彼がその場にどっと音を立てて倒れた。
「はあ、はあっ、もはや……これまでか……」
「ずいぶんしぶといね、アンタ。もう出る血も無くなってすっからかんに干からびてるのに」
「この身が動かなくなるまで!……けほっ、ご、ご一緒、いたします!」
「ゾンビみたい。まだ着いてくるんだ」
「生まれ変わっても……私は貴女を……守る……!」
「来世は会わないかもよ?また人間になるなんて保証無いし」
「た、確かに」
彼は瞳を閉じた。
もう何かを見るという気力も残ってなかった。最期が近いのだろう。
「まぁでも次、また会ったら……側に居てもいいよ?」
「ほ、本当ですか!ありがとうございます!ありがとうございます!」
もうほとんど見えていない目を見開き、地べたを腕で押し無理矢理こちらの方を向く。
「あんまりそんな動くとそろそろ逝くよ?」
「なんのこれしき!今のお言葉の方がはるかに嬉し……げほっ!」
「だから言ったじゃん……」
これが彼らの最後の言葉だった。
触手に捕まり、果実に飲み込まれた彼は彼女と共に闇に沈んでいった。
こうして、世界は闇に飲まれていった。
これが終わりの始まり。




