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女性不審になった俺に彼女ができるまで  作者: 無機物になりたい有機物
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嫌なことがあっても逃げずにやれば上手くいく

「よし。 行くか。」


今日もまた1日が始まる。なんてことのないただの1日だ。遅刻寸前に教室に入りいつも通り1番前の席に座る。



「今日も遅いな、優。」


話しかけてくるのは後ろの席の友達中島 友だ。


「そうか? いつもより25秒早く着いてるぞ。」

とふざけて言うと、


「25秒かよあと5分ぐらい早くこいよ!」


と返してくる。そんな会話をしながらホームルームを終えて1限が始まる前にしっかり本を読む。

本といっても読む本は基本ラノベしか読まない。さらに、俺の場合は本にブックカバーを巻かないからラノベが丸見えだ。そんな読み方をしてると、やっぱり誰も話しかけてこない。

俺としては好都合だ。断じてボッチが悲しいから言っているわけではない。

でもたまに話しかけてくる奴らがいる。それは、クラスの陽キャ共がからかいに来るのだ。そんなクラスでも底辺な俺に毎日話しかけてくる中島は、相当物好きなんだと思う。


 

 そしていつも通り6限が終わり俺は部活に向かう。ここまで会話をした人は中島と授業の時唯一喋った隣の席の青木だけだ。


「こんちゃー。先生いますかー?」


そう言いながら俺は部活の扉を開ける。俺はサイエンス部に入っている何をするかと聞かれると答えづらいが正直先生と雑談するぐらいしかやることがない。たまに理科の実験をするぐらいだ。


「おぉ。きたか。」

と鈴木先生が出てきてくれた。


「どもっす。相変わらず人いませんね。」


「そうだな。なんてったってこの部活はお前を入れて8人しかいないんだからな!」


「それは自慢できることじゃねぇ。」


「それはそうとして今日はどんな話を聞かせてくれるんだ?」

こうして先生との雑談が始まりあっと言う間に1時間が経っていた。


「そろそろ俺帰ります。先生話聞いてくれてありがとうございました。」


「おう。気をつけて帰れよ。」



そして部室を出てから下駄箱に向かい靴を手に取って履こうとした時隣の列の下駄箱から声が聞こえてきた。


「最近彼氏がさ浮気してるっぽいんだよねー。まじ最悪。」


「ほんとに!?そんなクズだったら別れちゃえば?」


と2人の女子の会話が聞こえてくる。正直どうでもいい。だから気にせず靴を履いて出ようとした時、鉢合わせてしまった、そして目があってしまった。


怖い。そんな感情が俺の中を包み込んだ。何にも考えられなくなった。


「ごめんなさい!」


咄嗟に出た言葉だった。そのまま走って逃げるように下校する。そしてしばらく歩いてたら落ち着いてきた。


「もうそろそろ家だ。気分転換に撮り溜めたアニメを見よう。」


そんな独り言を言ってると、後ろから


「ねぇ、これ落としたよ。」

そんな声が聞こえてきた。咄嗟に振り返り後ろを見ると下駄箱ではちあった子の1人がいた。その子の手には俺のお気に入りのアニメキャラのラバーストラップが握られていた。また何も考えられなくなった。


「ねぇ?聞いてる?」


「………。」


「おーい」


「………。」


「ねぇ!聞いてるの!」

大きい声を出されてはっとした。


「あ、あり、がとう。」


そのままラバーストラップを渡されお礼を言う。


「どういたしまして。てかさっき下駄箱で話聞いてたよね?」

唐突に聞かれた。

「あ、その、ごめんなさい。」


「別にに怒ってないからいいよ。私渡瀬美香よろしく。」


「僕、は佐藤優で、す。」


「そう。じゃあ私帰るから。」


「は、い。」


そんな簡単な挨拶をしたあと家に帰った。怖かった。あの時足がとても震えていた。今は震えていないがやっぱり女性と話すと緊張と恐怖がある。


「くっそ。なんで震えるんだよ。昔はなんでことなかったのに。ちくしょう。」


男と会話する時はなんてことないのに、女の子と話す時はいつも何も考えられなくなる。


「あれ以来ずっとこうなる。くそ。」


そのあと撮り溜めたアニメを見ずに夕ご飯を食べ風呂に入り今日はいつもよりも早い時間に寝た。


明日にならないことを願いながら。


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