5.指先にこもる熱気は
古今東西、ワルい奴らは「地下に潜る」というイメージがある。
実際には「大物」ほど高いところにいたりするのだが、地下秘密基地には、言葉に出来ない魅力がある。
機甲巨人科実習準備室の地下倉庫には、建物の構造としてはどこにも繋がりようがない扉がひっそりとある。
その先には通路があり、その通路の先のエレベータに乗って下ること数十秒。
エレベータの自動ドアが開いた先には、巨大な空間が広がっていた。
機 甲 巨 人の組み立て工場兼格納庫。
全長十メートルの鋼鉄の巨人のパーツが、巨大なクレーンやアームによって、今正に組み立てられている。
奥には、既に組み立て済みの機体が、検査機によって最終チェックを受けている。
「うわぁぁぁ・・・」
圧倒的な鋼鉄の重量感に瞳を綺羅綺羅と輝かせるジェットは、アンモナイト教授に向き直り一言。
「最高です」
悪人面の教授はニヤリと口を歪めて笑う。
新造魔神『轟雷音』の起動実験を終えたジェットたちは、教授の紹介でそのまま『秘密基地』へと招かれた。
「わかるかジェット君」
「はい。地下秘密基地と巨大ロボットと天才科学者は漢の浪漫です」
狂人扱いされた教授は、上機嫌に頷く。
尤も、正確に言えばここは「地下」ではない。
エレベータに乗って「下って」いるように感じたのは、重力調整による演出である。
実際にこの巨大な空間は、収納などに使用されるのと同じ亜空間である。
手のこんだ演出の理由は、単なるモチベーションの為だろう。
しかしジェットは、それがわかった上で興奮しているのだ。
まぁ、ロマンとやらが理解できない女装陣は、呆れるばかりだが。
ジェットと二人で独特の世界を作っている教授は、そんなこと気にもとめずに突っ走る。
「ジェット君、君にはセンスがある。先程生成された『合体魔神』は見事だった。が、君の終着点はあの程度では無いのだろう?」
渾身の魔神生成を「あの程度」扱いされたターコイズは少し剥れたが、ジェットは大きく嬉しそうに応える。
「もちろんです。僕の目標は伝説の『絶凶邪神』を超える『超絶魔神』です」
たとえば、『轟雷音』は『獣型→合体→人型』の一つの完成形だが、各々の機械獅子の性能は殆ど変わらない。
どうせ分離するならば「空中戦」「高機動陸上戦」「陸上砲撃戦」「海上輸送/砲撃戦」「水中戦」などの各種の戦闘に対応した機動兵器が合体すれば、運用範囲が格段に広がる。
そう語ると、教授は満足そうに頷く。
「そうじゃろそうじゃろ。圧倒的なパワーと様々な環境での機動力。『機 甲 巨 人』を超える『魔導巨神』とは、そうでなくては」
ほぼ再生品とはいえ、文献にしか現れない『魔神』に、生まれて初めて出会った齢三百歳の教授は、「生きてて良かった」と思いつつ、その圧倒的な迫力に心酔していた。
「偉大なる遺産『魔神』。しかし現代に生きる我らは、先代の遺産を受け継ぎつつも、発展させねばならぬ」
「『魔神』は文明の頂点。簡易に超えられるほど甘くない」
対抗意識か、先程の称賛をひるがえし、ターコイズが両腕を組んで、ふんすっ、と、教授を下から睨み上げる。
「ふむ、『魔人』のターコイズ君か。然り、然り。我らは独自で『魔神』を造るに至る技術を持たぬ。が、一度技術を得たならば、それを進める力が無いとも思わぬ」
「根拠は?」
「この『機甲巨人』だっ!」
両手を広げ、たった今も駆動する自動機械が組み上げつつある「新型の機甲巨人」を、見上げる。
「我らは確かに拙いっ! しかし『魔神』に憧れ、『魔神』を造った技師の意志は、受け継がれておるっ! 継承とは発展なりっ! 意志の継承とはさらなる発展の意志の継承なりっ!」
ターコイズは、冷ややかに、しかしどこか試すように語る。
「ワタシは『魔人』ターコイズ。全ての魔神を滅ぼした『絶 凶 邪 神ダイマオー』の操縦者にして『人造天使』」
びしっ、と教授の鼻先を指差す。
「ワタシの使命は、大戦争を巻き起こした魔神の破壊。あなたが造る魔神が戦争を呼ぶなら、ワタシはためらわず破壊する」
「ああ、是非そうしてくれ」
教授は顔に似合わぬ哀しい目でターコイズを見る。
「儂は『対巨大混沌兵器』としての運用しか考えておらぬ。そして『機甲巨人』は、幸か不幸か性能の限界で戦争兵器とはなり得ぬ。しかしこれから強力な『魔神』が世に出れば、良からぬ考えを持つ者も出てくるじゃろう。いや、邪な意図を持つ者は既に現れておる。奴らの手に渡り、戦争を道具となるくらいなら、破壊してくれ」
ターコイズは瞑目し、おもむろに口を開く。
「教授、アナタに協力して製作する『魔神』には、ワタシの意志で破壊できる装置を組み込む。それがワタシの条件」
アンモナイト教授と、なぜかジェットも、かっ!と目を見開く。
「た、ターコイズ君。そ、それはもしかして『自爆装置』か?」
「そう。イヤならば……」
がしぃっ! と教授はターコイズの両手を掴んだ。
「ぜ、是非っ! 是非組込んでくれっ!」
「ターコ、君は最高だよっ!」
「えっ? えっ?」
うろたえるターコイズに、それまで黙って聞いていたパールは、ため息をつきながら頭を振る。
「ターコ、厨二病にとって、『自爆装置』はご褒美よ」
「意味不明?」
「理解しなくてもいいわ。そういうモノなの」
既に自爆の規模や形式について熱く語り合う老人と少年を見つつ、「オトコってバカよね」と苦笑するパール。
女装子には、わかりません。
§
午後。
服を買いに連れ立って出かけたクリノクロア(秘密基地の外で待っていた)、パール、ターコイズと別れたジェットは、重機学部棟の一階の廊下を歩いていた。
教授に勧められたある同好会を見学しに行くためだ。
入学式終了後に勧誘のチラシを受け取っていて、そのうち見に行くつもりではあったが、教授の推薦もあり、早速行くことにしたのだ。
『第三工作室』と書かれた部屋の扉を開けると、いきなり中から歓声が溢れてきた。
中を見ると、工作室の真ん中に人だかりが。
「勝者、トパーズっ!」
「やった―――――っ!」
天に拳を突き上げてガッツポーズを取る少年を、ジェットは見知っていた。
同じ機甲巨人科志望の残り二人のうちの一人、トパーズという少年だ。
「元気な男の子」という表現がぴったりな、日に焼けた褐色肌の少年。
少年にしては長髪で、よくよく見てみると顔全体は繊細な作りだが、くっきりとした眉、豪快な笑顔とあいまって、大人しいジェットより、よほど男の子っぽい。
「あれが……矮神闘技場か」
人だかりの中央には、並べられた机の上に設置された二メートル四方の闘技場があり、その上に、体長三十センチほどの甲冑型の人形が置かれている。
『闘 神 同 好 会』……アンモナイト教授が勧めたのは、『霊 動 人 形』を操作してリング上で闘う競技『闘 神』の同好会である。
活動内容は、『闘神』で使用される専用の『霊動人形』である『矮神』の製作、調整と、操神者の育成。
『霊動人形』の原理は、基本的にジェットが甲冑人形を動かした方法と同じだが、高度な『生霊憑依』ではなく、『命霊兜』という補助器具を使用して『幽体離脱(星 気 体 放 射』を行い、操作する。
『霊動人形(矮神)』は『命霊兜』とセットであり、たとえ白魔法の基本技術を知らなくても『闘神』を行えるようになっている。
ふと見ると、操作中に腰掛ける椅子から立ち上がった敗者らしき姿に見覚えがあった。
「ブレッシア?」
「! ジェット、か」
ポニテのサムライ男の娘ブレッシアは、気まずそうにうつむく。
部屋の中は男性率が高いためか、マイカはいないようだ。
よく見ると倒れた『矮神』は、木刀らしき武器を持っている。
「見苦しいところを見せたな。式人形の操作には多少自信があったのだが、完膚無きまでに叩きのめされたよ」
「相手の子、そんなに強いの?」
「ああ。少なくとも身共では動きすら追えぬ。このような様では、『魔神』操縦など夢のまた……」
「武士が弱音吐いてどーすんの?」
「……そうだな。届かねば鍛え直す、だな」
「然り然り」
ブレッシアが顔を上げて笑みを浮かべると、その顔の前に「にゅっ」と別の顔が現れた。
「ブレッシアの友達? 君もヤる?」
トパーズは、屈託のない笑顔を浮かべながらジェットを見た。
途端、得体の知れない悪寒が、ジェットの背筋を襲う。
(これは・・・)
「同じ機甲巨人科のジェットだよ。ブレッシアとは知り合いだし寮友だから、仇討ちといこうかな」
何食わぬ顔で挑戦するジェットに、はぅっ、と嬉しそうに笑うトパーズ。
「ブレッシアは強敵だったけど、君はどう?」
「少し経験があるよ」
「わぁっ、楽しみだなっ!」
飛び跳ねるように、向かいのシートに戻ると、命霊兜を装着した。
「やるのなら気をつけろ。ヤツのスピードは尋常じゃない」
「OK」
ブレッシアに代わってシートについたジェットは、命霊兜を受け取り、被った。
§
競技用『闘 神』のベーシックセットは、初心者向けであるためか、『矮神』とのアクセスは思っていたよりスムーズに行えた。
『矮神』のバイザー越しに見ると、リンクの外郭には円蓋型の障壁が張られていて、リングアウトによる観客への被害を防いでいるとともに、一切の音声も遮断されている。
そのリング内に、レフリーである同好会会長のアナウンスが聞こえる。
『ルールを簡単に説明しておこう。武器及び素手によるダメージで、相手を行動停止させるか、あるいは場外へ押し出せば勝ちだ』
会長はリングに入る前に、「機動歩兵科のバソールト」と名乗った。
体が資本の機動歩兵科らしく、小柄なジェットからすると見上げるような巨漢マッチョだが、ブレッシアと闘う前のトパーズに、コテンパンにやられたらしい。
しかし豪快な性格なのか「今年の新入生は筋が良い」と、ご機嫌だ。
ジェットは矮神の操作を確かめながら、会長に尋ねる。
「魔法は?」
『その基本機体では、魔法伝達システムが無いので無理だ』
「使ったら反則?」
『そんなことはない。しかし矮神に憑依している状態では魔法は使えない』
ジェットの体感では、甲冑人形を操るよりよほど余裕があるので、特に呪文詠唱に支障はなさそうだ。
しかし初お目見えの今回は、とりあえず使わないことにした。
『君は術士専門か?』
「そうではありませんが、〈秘術師〉ですから、興味はあります」
『そうか。ならば後で魔法戦用に調整された上級機体も試してみるといい』
「ありがとうございます」
『とりあえずこの試合で使用する武器を選びたまえ』
ジェットはちらっとウェポンラックに目をやり、首を横に振った。
「徒手空拳で」
『格 闘 技経験者かね?』
「多少は。武器も使えますけど、機体に慣れるまでは素手の方が動けると思います」
『そうか。準備ができたら言い給え』
「いつでもどうぞ」
対するトパーズは、手甲鈎を両手に装備している。
両者、開始位置の円の中に入り、構える。
『始めっ!』
開始の合図と共に、トパーズ機が真正面から突っ込んできた。
(速いな)
そして、鉤爪で先制攻撃。
ジェットはギリギリまで引き寄せて、少し強めにバックステップして避ける。
案の定、爪はアウトレンジまで伸び、ジェット機の鼻先を掠めた。
トパーズは、自分の攻撃が回避されたのが意外だったのか、すぐに後退して距離を置いた。
(やはり、攻撃範囲の誤認を誘う攻撃か。慣れて無いと引っかかるかもなぁ)
小型とはいえ武器を持った相手と素手で闘う場合、当然ながら相手より至近距離に入る必要がある。
そのため相手の攻撃距離を推測するのが常識だが、手甲鈎のような手に嵌める武器は、身体の動きと姿勢、腕の伸ばし方などによって、容易にフェイントがかけられる。
ジェットが〈忍者〉の技能持ちで、なぜか忍具に造形の深いオブシダンと戦闘練習を行っていなければ、容易く引っかかっただろう。
(まぁ、種が明かされてしまえば簡単なことだけどね)
トパーズが体勢を整えて次の攻撃に移る前に、ジェットはトパーズの近くまで素早く踏み込んだ。
仙道から発し、忍法に受け継がれた『縮地』と呼ばれる歩法である。
慌てて突き出された鉤爪の先をかいくぐり、伸ばされた手を担ぐ。
そのまま背負いあげて、リングに叩きつける。
柔道着を使わずに使える数少ない柔道の大技『一本背負い』。
トパーズ機はバウンドした後、停止した。
『勝負ありっ!』
強制的にジェットの意識が矮神から本体に引き戻される。
「勝者、ジェット」
ブレッシア戦と異なり、しんっ、と静まり返ったギャラリーに、ジェットは無言で人差し指を立て、まっすぐに天を指す。
とたん、堰を切ったように歓声が上がる。
ふと正面の席を見ると、座っていた筈のトパーズの姿が見えない。
ぞくり、と背筋が冷える。
「ジェット―――――っ。ぶべっ」
死角から抱きついてきたトパーズを思わず両手でブロックしたら、顔面を腕で受け止める形となり跳ね飛ばしてしまう。
「ひ、ひどいよぉ」
「ごめん。なんか怖気を感じて」
トパーズに対する警戒感が、ジェットの身体を無意識に動かしていた。
そうと気づかないトパーズは、気を取り直して手を差し出す。
ジェットが握手すると、トパーズはにっこり笑って言った。
「ジェット、君は相当強いね。ボク、結構自信があったんだけど」
「僕は〈忍者〉持ちだから、手甲鈎の性質と対処法を知ってたんだ」
「〈忍者〉? 〈剣士〉ではないのか?」
ブレッシアが愕然とするが、首を振る。
「ううん、〈剣士〉も持ってるよ。僕の技能は〈賢者〉と〈剣士〉と〈忍者〉と〈狩人〉だから」
「わぁ、ボクも〈賢者〉と〈狩人〉持ってるよっ! 手甲鈎はどっちかというと〈狩人〉技能の動物の真似かな」
「み、身共は〈忍者〉ではなくケダモノに敗けたのか……」
「〈剣士〉は〈狩人〉じゃないから。ブレッシアが気にすべきは、人型―人型対戦でしょ?」
「そうであった」
しょげるブレッシア。
もっとも、〈狩人〉の技はほとんどが『初見殺し(獲物は確実に仕留めるため)』なので、一度技を見た〈剣士〉たるブレッシアには、おそらく二度は通用しないだろう。
「それより、二人とも機甲巨人科なんだってね。ブレッシアとは寮も一緒なんだよ」
「トパーズ。ジェットも寮友だぞ?」
ブレッシアは女装子寮である。
「え? もしかしてジェットも?」
「いや、女装はしないが聞けば特例だとか。そうだったな?」
聞き直したブレッシアは、ジェットが青くなって冷や汗をかいているのに気づく。
「ど、どうした? 同じ寮だ、いずれ顔を合わすのだから……」
ジェットの耳には、ブレッシアではなく、ジプスン舎監の言葉が頭に鳴り響いていた。
―――見た目は幼い少年で、女装子には見えない。実際服装は男女兼用のものが多い。ただ天然の男誑しで、彼に狂わされた男性は数十人にのぼる―――
「よ、よろしく」
「へぇ~。ボク、気に入っちゃったなぁ。ジェット、いろいろよろしくね」
にまぁっ、と妖艶に微笑むトパーズに、遅れ馳せながらブレッシアも背筋が寒くなった。
§
寮に戻ったパールとターコイズは、談話室に自分たち以外の五人が全て集まっているのに気づいた。
ルームメイトのジェットや、ブレッシア、マイカは既に知っていたが、残りの二人は初顔合わせだ。
一人は元気そうな少年。
ブレッシアとジェットは既に会ったトパーズだ。
もうひとりは、顔色と表情が果てしなく暗いものの、造形の美しさは隠せない少女……いや、この寮にいる以上は女装子なのだろう。
ジェットとブレッシアの顔色も、なぜか暗い。
苦笑していたマイカはパールたちに気づき、声を掛けた。
「あ、パールおじょ…パール。ターコイズも一緒なのね。ちょうど今『あとの二人』と顔合わせしてたトコなの」
「ふぅん?」
鋭い目で睨まれて、「お嬢様」と言い掛けたのを慌てて訂正するマイカ。
前回、パールに「やめて」と言われていたのを思い出したらしい。
パールは直ぐに通常に戻り、新人二人に目を向けた。
一瞬で、ジェットが青くなっている理由を察する。
(なるほど、あの子ね)
一瞬だけ、ジェットに注がれるねっとりと視線の元をすばやく確認。
何も察していない風を装い、空いている席(ジェットの隣)に、ターコイズと座るとすぐに口を開いた。
「あたくしはパール。もうご存じかもしれないけど、ジェットと同室ですのよ。それからこっちはターコイズ。事情があって、あたくしたちのもう一人のルームメイトですの」
その言葉に、主にジェットを見ていたトパーズは目を見開いてパールを見、ターコイズを見た。
今更ながら、二人に気づいたらしい。
パールの鋭い視線を受け止めて、不敵に口元を歪める。
「トパーズだよ。ジェットとブレッシアとは、さっき『闘 神』で知り合ったんだ」
「『闘神』? ああ、教授のおっしゃってたアレのことですわね」
自分たちが買い物をしていた間に、邂逅を果たしたらしいが、ジェットとブレッシアの態度を見る限り、練習試合をした以上の何かがあったとみえる。
「正直、ふたりとも強かった。ブレッシアにはなんとか勝てたけど、ジェットにはヤられちゃった。自信、粉々だよ」
そう言いながらも満更ではないトパーズの様子を見つつ、パールはもう一人を見た。
「そう。もうお一人は?」
「……アラバスター」
かすれるような声で、色白(過ぎる)少女が口を開く。
入学式からさして時間が経っていないので、他の全員がブレザーの制服のままである中、アラバスターだけは私服に着替えていた。
パーマをかけたというよりは、天然のままを放置して伸ばしたようなウェーブのかかる長い黒髪。
ともすれば不健康に見えるほど青白く透き通る肌に薄手のサマードレスを身に纏う姿は、優美ながら幽霊のようにも見える。
病的で、どこか冒涜的な背徳感漂う美少女(♂)である。
「トパーズと同室」
「そう、よろしく」
特に気にもせず流すパールを、逆に呼び止めたのはアラバスターだった。
「パール、もしかしてパール伯爵のご子息?」
パールは頷く。
アラバスターはかすかに表情を明るくした。
「お父様に感謝。この寮は私にとって、私が私でいられる大切な場所」
パールも、鋭い眼差しを少しだけ弛めて微笑んだ。
「ありがとう。父に伝えておきますわ」
「これで安心して、好きな人とだけセックスできる」
・・・
爆弾発言に、場に沈黙の帳が降りる。
アラバスターの視線の先には、ジェットの姿が。
しかし、パールより先に反応したのはトパーズだった。
「ちょっと、ちょっとまってよ! ボクだってジェットとシたい」
さらなる燃料が投下される。
しかしアラバスターは澄ました顔で、しれっ、と宣う。
「トパーズは、機動歩兵科のガチムチとヤってればいい。私はムサいのに犯されて感じさせられるのはイヤ。ジェットみたいに優しい男の子がいい」
アラバスターは、多淫症である。
そのことが原因で、これまで周囲と様々なトラブルを起こしてきた。
具体的に言えば、彼女(♂)に誘惑された(と誤解した)男に襲われることしばし。
本人の意志としては嫌であるにもかかわらず、体が反応する。
「身体は正直」なのではなく「身体が裏切る」。
しかし、行為に至れば無意識の誘惑も避けられると知った彼女は、ただただ「心も身体も」委ねられる相手を探していた。
ジェットとは、パールが来る前に一言二言言葉を交わしただけ。
それでも彼は、彼 女の性癖を正確に見抜いた上で、彼女が嘗て出会ったことがないほど暖かく言葉をかけてくれた。
上から目線でもなく、蔑みでもなく、あからさまな欲望の目線でもなく、親しみの態度で。
たったそれだけのことで、雪 花の心は融け堕ちていた。
だが、だからといってそれを素直に受け入れるトパーズではない。
「先輩たちは別腹だよっ! ボクもジェットを味見したいっ。いや、しっかり食べたい!」
既に同じやり取りが行われた後だったのか、ブレッシアは憮然として、マイカは苦笑している。
この寮にいる以上、ほぼ少年のように見えてもトパーズの性向が同性向けであることに不思議は無い。
しかし、ジェットが瞬時に見抜いた構われたがりの性質は、本人が中心でない限り、和が乱れまくるだろう。
と、ここでターコイズがいきなり前に出て宣言する。
「ジェットはパールのもの。パールの許可なくジェットをどうこうできない」
そして、ドヤ顔で続ける。
「ワタシもパールのもの。パールと一緒なら、ジェットといちゃいちゃできる」
これに対する二人の反応は正反対だった。
「ジェットを独り占めするなんてずるいっ! そんな権利は誰にも無いっ!」
「今日から私もパールのもの。だから、私も可愛がってほしい」
トパーズはともかく、アラバスターの反応にはブレッシアが驚いて窘めようとする。
「アラバスター、いくらなんでもそれは・・・」
しかし、ジェットと同じく観察眼の化け物であるパールは、余裕で頷く。
「あたくしは良くってよ。アラバスター、あなたも一緒に可愛がってあげる」
「いいのかっ!?」
目を剥くブレッシアを余所に、そそそ、と嬉しそうにパールに寄り添い、その手に口づけるアラバスター。
「感謝しますご主人様」
「ええ、ジェット、ターコ、いいわね?」
不思議なことに、ジェットもターコイズも素直に頷く。
数奇な境遇をたどるターコイズが安らぎ、ジェットが一目惚れした、パールの持つ計り知れない包容力だ。
「パール、君の意のままに」
「アラバスター、仲良くしよう」
あっさりと仲間に受け入れられるアラバスター。
治まらないのはトパーズだ。
「ジェット、君はそれでもいいの? 君の意志は?」
ジェットは、反らし続けていた視線を、初めてしっかりとトパーズに合わせた。
ジェットをまっすぐに見るトパーズの瞳は、しかしてその中にジェットを映してはいない。
彼女は、自分が気に入った人に構われたいだけ、なのだ。
「僕は悦んでパールの下僕になった。けど、君の奴隷になる気は無いよ」
自分の衝動を止められないアラバスターより、よほど危険な「貪欲さ」。
気に入ったものを、全て自分のものにせずにはいられない。
そんな粘液質な執着を、ジェットはトパーズを見た時から感じていた。
一見少年っぽい姿、サバサバした爽やかな笑顔を見せながら、その実はオスを求める飢えた野獣。
直情では手に入れられぬと知った野獣は、強かに戦法を変更する。
「ふふふ、なら今はいいや。『闘神同好会』には入るんでしょ?」
「そのつもりだよ」
「じゃぁ、今度は完膚なきまでに君を叩きのめして、君を虜にしてみせる」
「構わないよ。試合ならいつでも大歓迎」
睨み合うジェットとトパーズ。
一体何がおこっているのか理解できないブレッシアは、目を白黒させている。
そしてパールは、ターコイズとアラバスターを侍らせて、くつろいでいた。
§
巨大な天幕の中に、体長十メートルほどの鉄身の巨人が横たわっている。
「王立騎士団」配下の衛士が数名、武器を手に見守る中、メガネをかけた白衣の女性が、その周囲を空中浮遊で飛び回りながら、調べていく。
やがて、巨人の横に仁王立ちする二人の男の前に降り立ち、首を降った。
「ウラナイト様、コレは見ての通り単なる鉄の人形です。機甲巨人のような駆動装置はおろか、魔法陣の一つも見当たりません」
二人の男は、いずれも筋肉を纏った巨漢だが、その中でも短髪でやや若く見える方が首を振る。
王立騎士団団長、ウラナイト侯爵である。
「エンクリナイト博士、このデカブツが動いているのを、辺境騎士団団長が確認しているのだ。あいつは思想信条はともかく、妄想を見たり虚偽報告を上げたりする男ではない」
「確かに動いたと思しき地上の痕跡は拝見しましたし、かなり強大な魔力の残滓も残っております。しかし、もし動いたというのであれば、コレは抜け殻でしょう」
「うむぅ」
「監視の外れたわずかな間に、中身が首の穴から抜け出したのではないでしょうか?」
「とすると本体は、不定形の土偶のようなものか?」
「証拠はありませんが、可能性はあるかと。ただ、首は確実に外側から切断されています。外れる仕組みでもなければ、経年劣化や内圧による破壊ではありえません。この鉄巨人が自分の手で首を刎ねたのでなければ、何者かによって破壊されたとしか思えません」
「監視が外れた間に何者かが破壊した? そんなことがあり得るのか?」
「あるいは、これも推測に過ぎませんが、この鉄巨人を破壊すべき何者かが、遺跡に一緒に埋まっていた可能性も」
黙って聞いていたもう一人の男が、口を開く。
「鉄巨人は王都第六師団駐屯所に移動させる。そこで分解でもして詳細なデータを取る。ウラナイト、卿と博士はもう少し、遺跡を調べてほしい」
「わかりました、閣下」
王立騎士団団長であるウラナイトは侯爵位を持つ貴族で、王国の軍事の最高責任者だ。
しかし殊宮廷内での発言力は、王を除いて彼に敵う者はいない。
宰 相ダイオプテーズ侯爵。
亜人排斥主義の急先鋒である彼は、一部王族を巻き込んで、巨大な派閥を築いている。
当然ウラナイトも、その派閥内ではダイオプテーズの次に大きな発言力を持っている。
しかし、エンクリナイトは別である。
彼女はノンポリであり、特に亜人に敵意も関心も無い。
ダイオプテーズたちが何を考えていようが、研究が出来れば問題無い。
とはいえ、こんなガラクタや穴凹を見せられて、何か言えと言われても困る。
(折角アンモナイトを出し抜けると思ったのに、糠喜びだったわね)
エンクリナイトはアンモナイトのかつての教え子であり、助手でもあった。
見た目は三十前後の美女だが、実際は百歳を超える若作り熟成女性である。
よくわからないこだわりを持つ師と袂を分かち、王都で大型重機などを研究していたのだが、この度、大口の依頼として昔取った杵柄である機甲巨人関連の仕事が入ってきたので「やっと老頭児を超えたか」と喜んだのは昨日のこと。
その師匠が、たった今、一万年前の神秘の扉の前に立っていると知れば、正気ではいられまい。
(まぁ報酬はいいし、暫らくは研究費稼ぎさせてもらいましょ)
昨日つまみ食いした王立騎士団長との行為を思い出しながら、にんまりと嗤う魔女。
ちなみにダイオプテーズは五十代半ば、ウラナイトは五十になったばかりで決して若く無いのだが、彼女からすればヒヨッコも同然。
財布と同時に性欲も満たしながら、安価な幸せを堪能するのだった。
§
臍を曲げたトパーズが、男子寮へ男漁りに行って戻ってこないため、夜にジェットたちの部屋に訪れたアラバスター。
乱 交を期待していたものの「性交は無し」とパールに宣言されて、いきなり意気消沈である。
しかし、パールは不敵に笑う。
「もっと気持ちのいいこと、教えてあげる。ジェット、アラバスターに優しくしてあげて」
ジェットは頷くと、アラバスターを正面からぎゅっ、と抱きしめた。
ただの抱擁。
なのに、アラバスターの心臓は高鳴った。
ジェットは少しだけ身体を離し、真正面から雪花少女を見つめる。
大きく黒い瞳。
普段は蒼白い肌と相まって、整った顔立ちながらどこか異形のような不気味さがあるが、今の彼女の顔には血色が戻り、微かにはにかむ姿は、可憐さだけが切り取られてそこにある。
目を閉じた少女の項に手を添えて引き寄せ、唇を重ねる。
口吻が触れた瞬間、少女の身体がびくんっ、と震える。
ゆっくりと重ねられた唇の隙間から、互いの舌が伸び、絡め合う。
少女の華奢な背中に添えられた手が、ゆっくりと動く。
優しい愛撫に、やがて少女の身体から力が抜け、崩れ落ちそうになる。
床に落ちる寸前で、少年は少女の肢体を抱き留める。
そのままソファに並んで座り、横から肩を抱き寄せる。
アラバスターの瞳は焦点を失い、荒く息をついている。
「パール、ジェットは何をしたの?」
アラバスターの変化に、首を傾げるターコイズ。
「そうね、あたくしの見立てだと、この子の性癖は生まれつき、ではないと思いますの」
「せいへき?」
「ええ。殿方を求めてしまう多情。おそらくは愛情やスキンシップの不足。ジェットはそれを満たしてあげただけ」
ターコイズは、頤に人差し指をあてて、しばし熟考。
「さびしがりや?」
「ええ、その言葉がぴったりね」
ぴったりと身体をくっつけたまま僅かに震えるたなごころで、ゆっくりとゆっくりと愛撫を続けるジェットに、アラバスターは完全に蕩かされていた。
頃合いと見ると、ジェットは愛撫を止め、ただただ身を寄せて肩を抱く。
やがてアラバスターの目蓋が落ち、寝息を立てる。
「寝ちゃった?」
「ええ、安心したのね。じゃぁ、あたくし達も『安心』しに、いきましょ」
「賛成」
ジェットの横にターコイズが、ターコイズの横にパールが並ぶ。
ターコイズはジェットにしなだれかかる。
「ワタシもさびしがりや。構ってほしい」
「う~ん、寂しがり屋というより、甘えん坊かな?」
「それでいい」
ターコイズが寝息を立てるのも時間の問題だった。
両方から膝枕しながら、ジェットは二人の頭を撫でていた。
「両手に花ならぬ、両膝に花ね」
「男冥利に勝るよ」
「ほんと。流石、あたくしのジェットね」
二人の身体に持ってきた毛布を掛けながら、ジェットの額に軽くキスするパール。
「ところであの子、トパーズだけど」
「うん」
「ターコのこと、話せそうですの?」
「う~ん」
ジェットは首を捻る。
「感情が暴走したときが恐いかな。悪い子じゃないし、僕らに悪意があって口外することは無いとは思うけど、誘導されて漏らしちゃう可能性はあるかも」
「そうね」
思えば、ブレッシア、マイカ、アラバスターと、この寮の他の四人の内三人までが信用できそうというのができすぎだった。
「トパーズはとりあえず保留、ね」
「クロアさんにも言っておかないと」
「ええ、あと関係者は教授くらいかしら」
「そうだね。トパーズだって機甲巨人科志望なのに、一人だけ別扱いとなると、確実に怪しまれる」
「教授と口裏を合わせておく必要があるわね」
寮内だけでなく、一緒に同じ授業を受ける可能性があるトパーズに、人造天使のことを不審に思わせないよう、細心の注意が必要になるだろう。
「設定は『中央学院からの交換留学生』でいいんだよね」
「一般向けの説明ね。そこを変更するとややこしくなるから、それでいいと思うわ」
「それじゃ、とりあえずそのことを教授にメールしとくね。クロアさんには、パールがしといて」
「ええ」
二人して腕時計型高機能石盤を起動させ、メールを打ち込む。
「こちらは終わったわ。・・・? どうしたのジェット?」
メールを送信して顔を上げると、厳しい顔をして、腕から投影された仮想操作画面のホログラムを睨んでいるジェットの姿があった。
「パール、教授のトコの回線、盗聴されてる」
「え?」
§
クリノクロアは一日の報告書をようやく書き終えようとしていた。
入学式に始まり、ジェットの魔神召喚、巨大混沌の襲来、教授の『秘密基地』の見学(ただし、クリノクロア本人は外で待機及び監視)。
その後、ターコイズとパールと一緒にショッピング。
仕事ではあるのだが、少し前に感じていた焦燥感は失せて、妙な充足感に満たされていた。
そこへ、メールが。
パールからだった。
(そっか。トパーズはとりあえず様子見、と)
確かに、寮内全てが「内情を知る関係者」とするのは難しいかもしれない。
(アラバスターが信用できそうだとわかっただけでも良しとしよう)
そして、レポートを仕上げようと卓上石盤に向かった直後、ジェットからの緊 急 通 信が。
直ぐに腕輪型石盤を操作して相手の顔を映し出す。
いつもどこか楽しそうなジェットの顔が、緊張で少しひきつっている。
これは只事ではない、と気を引き締めるクリノクロア。
「どうしましたか? パールのメールは届いてますよ?」
ジェットの話は、彼女の予想を超えていた。
『上の安全解析で、アンモナイト教授の学院用一般通信回線を調査してください。今繋いだ時、脅威度レベル・スリーで情報漏洩ソフトウェアが差し込まれている可能性を検知しました』
顔から、血の気が失せる。
「それは・・・」
『僕の石盤には、オブシダンとアメシスト師匠が開発した、特製検知ソフトがインストールされています。今、ターコにスキャンしてもらったところ、どうやら教授が誰からか通信を受けた際にそのデータの中に紛れ込んでいたようです。それ以上はシステムに影響が出る可能性があるので、ネットワークを統括管理している「天界」から特定及び対策をお願いします』
「わかりました。では、こちらから連絡するまで、ジェットは待機していてください」
『了解です』
通信を切ったクリノクロアは、大きく息をついた。
(まだ、情報が漏れていると決まったわけではない。取り返しがつかなくなる前にジェットが見つけてくれたと考えよう)
そして、天界へのチャンネルを開く。
まず気づいたのは、上司フローライトの不在だった。
(一体どこへ?)
どうやらこちらとは反対の東の辺境、アゲイト辺境伯領へ降臨したらしい。
(あちらは今、混沌教団の絡みで立て込んでる。となれば、フローライト様に頼るのは無理か)
クリノクロアは素早く思考を巡らし、一人の名前をはじき出した。
早速、コールする。
『はい、こちら天使デンドライト』
「デニィ、緊急で頼みがあるっ!」
『セラフィ? こんな時間に、一体なんの用だ?』
言葉はぶっきらぼうだが、天界での短くない付き合いで親しくした仲だ。
多少の我儘なら、聞いてもらえるだろう。
「私は今、スピネル辺境伯領で仕事してるんだけど、今から言うアドレスの通信ログをスキャンして!」
『一体何事だ? お前は『魔神』復活関係で、シトリンの息子のジェットの警護をしている筈だろ?』
「その件だっ! アドレスは秘術師専門学院機甲巨人科主任教授、アンモナイト博士の学内メールだ。どうやら、盗聴ソフトがねじ込まれてるらしいとジェットからの通報だ。対策と、ログの漏洩の調査を頼むっ!」
『わかった、任せとけ。結果はこちらから連絡する』
デンドライトはそう言うと通信を切った。
彼女はジェットの育ての親、修道院長シトリンと浅からぬ関係にある。
自 分の頼みでもあるので、全力で対処してくれるだろう。
果たして、五分後には連絡があった。
『盗聴ソフトは消去し、盗聴ソフトに残っていた通信ログは回収した。送信される前だったようなので、とりあえずは大丈夫だ』
「そうか、ありがとう」
ふぅっ、と力が抜ける。
自分でも知らないうちに、かなり緊張していたらしい。
「感染源はわかったか?」
『それなんだが、アドレスを特定すると、どうやらスピネル辺境伯のホットラインから、となっている』
「え?」
この西の辺境の領主である、女装辺境伯の名前が出て、クリノクロアの頭が一瞬白くなる。
「そんな・・・莫迦な」
『ああ。彼女は私も知っているが、どちらかといえばこちら側の人間だと思ったが』
デンドライトのいう通り、辺境伯がアンモナイトを監視する意味が無い。
となれば、考えられることは唯一つ。
「間諜か」
『だろうな』
「となると、私が通信で彼女に知らせるのは悪手だな」
『当然、彼女の通信自体が掌握されていると考えた方がいい。内容が内容だ。私が降臨る』
「手数を掛けて申し訳ない」
『気にするな、お前と私の仲だろう。それに、これは放置すればヤバい件だ。フローライト様にもこちらから連絡しておく』
「頼んだぞ」
予想以上の展開に、クリノクロアは身震いした。
(この闇、一体どこまで深いんだ)
念の為、ジェットに「対処しました。詳細は直接会ってお話します」とメールを打ち、天井を見上げた。
ジェットがターコイズを介して召喚した『魔神』。
あの迫力は、予想以上に凄まじかった。
あんなモノが万が一亜人排斥派の手に渡れば、とんでもない量の血が流れるのは火を見るより明らかだ。
(ジェット、パール。『魔 人』を護って『魔神』と共存する未来への道は険しい。その道を歩む覚悟はあるのか?)
二人が声を揃えて「当然」と言う言葉が幻聴えて、クリノクロアは笑った。
(ああ、そうだろう。ならば『初代勇者』は、君たちの未来を守る剣となり盾となろう)
かつて果たせなかった使命を、この平和を守ることで果たす。
そう再び誓うクリノクロアだった。
かなり遅れてしまいましたが、第五回です。
さて、このまま最後まで走れ・・・るかなぁ・・・