不思議な子。
「朝ごはんできたぞー。」
「にぃおはよう!!」
「くうおはよう!」
空歌は相変わらずだな。
「にぃが友達いなくても、くうかはずーっとにぃの味方だよ!!にぃが友達いなくても、にぃはにぃだよ!」
グサッ。あ、なんだか心が痛い。くうか、二回言わないでくれ...。泣きそう。
「くう、ありがとな〜」
「うん!!」
「よま兄さん、おはよう。」
「こいは、おはよー」
シーン...。
空気重っ!
「よまにぃ!大丈夫!よまにぃが今は友達いなくても、私が何とかするからさ!」
グサグサッ。またまたその言葉...。しかも妹に何とかするって言われた...。情けない.....。あー、もう泣いちゃっていいっ!?
次女の霧香を起こしに行く。
「きりー、朝ごはんいるかー?」
「兄貴...。」
ガチャ...。
おぉ、きりが開けてくれた!自分から!
とっさに腕を掴まれ、部屋の中に引きずりこまれた。
バタンッ。
「きりー、どうしたんだ?」
「兄貴...。兄貴のことは僕しかしらない。僕は、兄貴が友達いないことなんてすぐ分かったんだ。」
「お、おぉ、そうか。」
きりも同じだから分かんのかなぁ。
「兄貴は僕と同類だ。だから、兄貴一緒に家を出て暮らそう...!」
ちなみにこいつは女なのに僕とか、兄貴とか言ってる。魔力とか、封印したとか...。いわゆる中ニ病というやつだ。可愛い顔でよくそんなことを...。
「きりぃ...。何を言い出すんだ急に。はやく朝ごはん食べるぞー」
「嫌だ!僕は兄貴と二人がいいんだっ!」
困ったぁ...。とにかく出よう。
ガチャ。
「うぇーーーーーん!おにいちゃぁぁん!なんでそんなひどいことするのぉ!きりはお兄ちゃんのこと大好きなのに〜!」
急に泣きじゃくる霧香。まだなおってなかったのか!きりは弱ったらすぐ泣くし、「僕」が「きり」になり、「兄貴」が「お兄ちゃん」になる。ちなみに中ニ病もなおる。 不思議なやつだ。
「ごめんって〜!お兄ちゃんもきりのこと大好きだからなー?」
「ほんと...?」
涙を拭いながらきりが問いかける。
「おう!だから一緒に朝ごはん食べよ?な?」
「うん...!」
よし!解決!けど俺はほんとにきりが大好きだ。
今日は休日か...。あっそっか!アニメイタ行こうって思ってたんだった〜。今お金あるし!
ご飯をモグモグ食べながら、俺はニヤニヤしていた。
「よまにぃなんで笑ってんの。こわい」
「あははー!にぃ気持ち悪い〜!」
「兄貴...。何かに取り憑かれたのか!?すぐに僕が救うぞ!」
本当の小悪魔だったくうはやっぱりサラッと毒舌なことを...。
ご飯を食べ終わり、準備をする。
「俺ちょっと出かけるから、ちゃんと家にいるんだぞー」
「行ってらっしゃーい」
いい天気だなー
楽しみで、歩く足も軽くなる。あれも欲しいしー、あれも欲しいな、あとあれ!
笑みがこぼれる。
ようやく到着。
中に入ると、たくさん人がいた。今日は休日だからなー。
若い男女、子ども、外国人...。おしゃれな子も、かっこいいやつだってたくさんいる。アニメは、幅広い人たちに人気がある。日本の文化なんだ。この光景を高校のやつらに見せてやりたい。
アニメをバカにするやつはやっぱり許せない。
ん?あの子あやしーなー。何してんだろ。マスクと帽子、服が明るいからよかったものの、下手したら不審者扱いだぞ!?
ソワソワしていたその子は、アニメイタの中に入った瞬間、ホッとしているようだった。そして、小走りしながらあっちの方へ行った。きっと買いたい物のところに行ったんだろうな...。
今日は好きなアニソンのCDと、マンガを買った。あー、嬉しい!はやく家に帰って...。
「あっ...!!!!」
あれ?さっきの子だ。俺を見てびっくりしている?何でだ?
彼女は走って逃げていった。
「ちょっと!」
俺は立ち止まった。
何だったんだ?