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人気者。
すると、俺より先に誰かがその紙に触れた。
誰だ? その女子は俺の描いたイラストをまじまじと見つめている。
あれ? 今この子の口元が緩んだような気がする。気のせいか...。
「イラスト、上手なんだね!」
彼女はとても可愛らしい顔で俺に紙を渡す。あー、確かこの子いつも人に囲まれてるっけ。まぁ、可愛いもんな。
「別にうまくないよ。拾ってくれてありがと。」
俺とは違う世界にいる人だ。あまり俺と話さない方がいいぞ。ほらな、早速誰かが来た。
「小里ちゃん、なんでこんなキモオタと話してんの!」
「近づかない方がいいって! 早く行こ。」
案の定。悪いな、こさと?だったっけ。俺に近づくと汚れるんだとよ。まぁ俺はへっちゃらだ。
でも...。誰かに上手って言われるの久しぶりだな。素直に嬉しい。
まぁ、もう関わることはないだろうが。
この時の俺はまだ知らなかった。
まさかあんなことが起きるなんて-