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龍を買うならお安くしておきます

作者: 谷口創

 龍ブームはすっかり終わってしまった。飼い方を記した本が飛ぶように売れていたのも過去のことだ。とはいえ、ペットと呼べるものは子供の頃に飼っていたカブトムシくらいの私にはどうでもいい話のはずだった。

 その日は興味などなかったペットショップに何故だか入ってやろうという気になった。

 店内をふらついていた私はあるケージの前で止まった。龍だ。掌サイズで愛くるしいとされる、否、されていた容姿がおがくずの上に座っている。

「どうです? そちらの龍」

 店員が声を掛けてきた。「凄い人気で中々入荷できなかったんですよ。少し前にやっときたんですよ?」

 言われてみればテレビで何度か見かけた気がする。そんな龍から視線を下げると、ケージに値札が貼り付けてあった。十二万五千八百円、二本線を引かれた三十数万円の下にそう書かれていた。思わず顔をしかめた。龍がびくっと反応し、じっとこちらを見つめる。

「いやあ、気に入られたのならどうですか、この子! 熱帯に住んでいるので湿度管理も楽ですし――――」

 店員は噛みつく勢いで説明を始める。

「いえ……結構です」

 私は一言刺して出口へ向かった。一度、龍を顧みようかと思ったが、店員に引き留められるのも嫌だったのでそのまま店を出た。去り際に店を一瞥すると、『意外と可愛い? 爬虫類流行の兆し!』という広告が窓に貼ってあった。

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