学校に行かない妹オタクと学校に行っている兄オタク
「我が妹よ、学校に行く気は無いのだろうか?」
「ふふ、我が兄よ、そんな事わかりきっているだろう?行くわけがなかろう!」
「かっこつけて行っても、かっこよくねーよ!」
「いやいや、お兄ちゃんから吹っかけてきたよね?」
「う、確かに・・・」
なんで、こんな話をしているのかと言うと・・・
「誠、真奈は学校にまだ行っていないのか?」
「そうなんだよ親父。あいつ一生学校行かないぞ、今のままじゃな。」
俺は昨日、親父と妹の学校行かない問題について話合っていた。
「何とかして、真奈を学校に行かせられないか?誠」
「無理だな。」
「即答か、もっと考えられないのか?」
「俺は、あいつに無理してまで学校に行かそうとは思わないから。」
「そうか、誠はシスコンだから妹を手放したくないんだな?」
少し笑いながら電話越しに話す親父。
「は?お、俺はシスコンじゃねーし!」
「そうか。」
「誠。明日真奈と一度学校について話合ってくれないか?」
「まあ、いいけど。」
そして、今にいたるのだ。
「なあ、なんでお前は学校に行かないんだ?勉強が嫌なのか、コミュ障だからなのか、はっきり言ってくれないとわからんのだが?」
「ただ単に、めんどくさいからですが何か?」
「そんな理由だったら、いつまでも学校行けないだろうが!」
そう言った俺に、面倒くさそうに妹が
「だってさ、家にいたらなんでもお兄ちゃんがやってくれるし、好きなことやってやれるから。」
こいつ、思ったよりクズになってやがる・・・
俺はそんなことを思いながら、コーヒーを入れに台所まで行った。
その間、妹は溜め取りしていたアニメを見ながら
「いやー、このアニメのヒロインは可愛いな~。可愛すぎて犯したくなる!」
・・・うちの妹は完全なるオタクである・・・
普通だったらオタク気持ち悪いwになるが、俺は人のことを言える立場ではない。なぜなら、俺は妹により完全なオタクにされてしまったのだ。
初めは、妹がどんなものが好きなのか気になって深夜アニメを見てしまったが、面白くて朝まで見てしまったのである。
それからと言うもの、妹とアニメの話で盛り上がりすぎて学校に遅刻することも何度かあった。
「なあ、真奈。いくらなんでもヒロインが可愛くたって、百合の方向へは進まないでくれないか?」
「な、なに言ってるのお兄ちゃん!そんなの冗談に決まってるじゃん?」
「だよな!真奈はお兄ちゃんのお嫁さんになるもんな!」
「そんなわけないじゃん!シスコン兄貴!変態は消えなさい!!」
「そんなに否定することはないだろう?」
内心泣きたい俺をほっといて妹はアニメを見ていた。
「お兄ちゃんのお嫁さんになるぐらいなら、百合になるほうが良いかも!」
その言葉で俺の心は完全に逝った。
そんな他愛もない日常に、とんでもない出来事が起こるとは思いもしなかった。