本章‐1
あれから五年、私は高校を卒業して社会人になっている。
あの三か月半の出来事は、今となっては正直夢みたいな気がしている。
証拠品とか証拠写真とかがあるわけじゃないし、毛とか羽根とかも落ちてなかったし、あの子あの後そのまま消えちゃったし。
思春期的なちょっと乙女チックな妄想の類みたいな気がするんだよね。
だって、あまりにも現実離れしてるでしょ?
それでも忘れられないのは、あの時の幸福感がもう一度味わいたいからなのかも知れない。
ところで、こないだのコンパで知り合った人に何か霊感強い系の人がいて、どうしても会わせたい人がいるって言われたんだけど、なんかそっち方面とかってイマイチ信用できないっていうか・・・ホントかな?って思っちゃう。
まるっきり嘘だって思ってるわけでもないんだけど、嘘かホントか確かめらんないし。
たとえ客観的事実じゃなくても本人が信じ切ってるなら、嘘ついてることにはならないでしょ?だったら霊感持ちの言葉は霊感持ちにしか確かめられないってことだと思うし、私霊感無いからそういう話信じきれないんだよね。
まあとりあえず実害はなさそうだから、会うだけなら会ってもいいかもだけど。
と思って約束の場所に来たんですけど。
どういうこと?いないって。
初対面の乙女を待たせるとは、なんと無礼な、殴っていいですか?
あ、来た。
・・・。
えっと、この人って、結構有名な方では?
私の記憶違いや見間違いでなければ、たぶん只今絶賛世界進出中の、あの方ですよね?
なぜにこの人がこの場に?
この人が貴方の会わせたかった人ですか?
てか二人知り合い?驚きだわ、どこでどうやって知り合ったんだか。
あ、いや待て、そういや大学の同期だって言ってなかったかな?
へぇ、てことはこの人もあそこの大学なんだ。
コンパの彼が途中一年余計にかかってるって言ってたから、この人は去年卒業したってことね。
あの仕事量の中卒論仕上げたのか、やるじゃん。




