序章‐3
びっくりした!
ホントびっくりしたよ!
なんでよ!
何で急に巨大化?
明日から夏休みだから、みんなと少し遊んで帰って来て、遅くなったからすぐお風呂入って夕飯食べて、少しだけ家族で夏休み中の事話して・・・
で、部屋に戻って来たらいきなり目の前が白いんだもの、そりゃあ驚くでしょ?
ここんとこずっと大きくならなかったから油断してたのは確か。
でも、いきなりこのサイズ変化はおかしくない?体高が私の目線位なんですけど。
どんな進化を遂げたらこうなるのよ?
脱皮だってここまで一気に巨大化しないでしょうに。
でもどうしよう、本当に困った。
こんなに大きかったら絶対隠しておけないよ。
足音だってするだろうし・・・って、してない?
歩いてるよね?なんで?忍者みたいだなぁ。
でもなんでかなぁ、怖くはないし不安もない。
よく考えればすごく困った状況だし、不安になって当然な気がするんだけど…
ふとその目を見つめると、其れが鳴いた。
他の人には聞こえない位の微かな声で。
とても優しい声。
とても温かい声。
とても懐かしい声。
愛しさが滲み出してくるみたいな声。
とても不思議な感覚の中で、悟った。
‟其れ"は世界の根源に係わるモノ。
私は‟其れ"と唯一繫がる魂を持つ者。
‟其れ"にただ一人心から愛されるもの。
そして‟其れ"は約束を置いて行った。
いつの日か私の魂をただ一人の相手として求め、愛する者が現れる。
その者に生涯添い遂げよ。
その者は私の全てを愛し、私に全てを捧げるだろう。
そして死後、私の魂は‟其れ"の創り出した世界で、永遠に生きることになる。
全てを与えられ、何者にも侵されず、たった一人で。
その世界は‟其れ"に満ちていて、一人でも寂しくはない。
だからただ穏やかに、幸福に存在し続けよ。
それが私の役目。
そしてその者を確かめるための暗号を残していった。
・・・これって約束って言うのかな?
何かものすごい幸福感に惑わされて、あんまり色々考えられないんだけど。
つまりはあれだよね、一人っきりで永遠に閉じ込められて生きる代わりに、死ぬまではとことん愛されて幸せに生きられますよ、ってこと?
う~ん、喜ぶべきか悲しむべきか悩む。




