序章‐1
プロローグ
昨日みた夢の中では 私はどこか大きな図書館で 調べ物をしていた
何を調べていたのか 覚えてはいないけれど ずいぶんと焦っていたようだった
目覚めた時 知ることのできなかった何かに なぜかとても不安だった
今日の夢では どこか広いお屋敷の明るい庭で 大きな白い鳥に 抱かれるように寄り添っていた
春色のよく手入れされた芝と どこかから香ってくる花の香りに とても満たされた気分になっていた
二つの夢が何を示すのか 今の私には判らない
今日は新学期の始まりの日。
いつもより少しだけ気合を入れて髪を整え、制服もきっちりと着こなす。
朝ごはんはサクサクのクロワッサンにコーンスープ、ベーコンエッグにサラダ、そのうえフルーツヨーグルトもついた洋朝食。
今日はいつもより少し早いから、途中で神社にお参りして行こうかな。
いつもはそれほど信心深いってわけじゃないけど、何しろ今日は新学期初日、良いクラス良い担任良い座席を念入りにお願いしておきたい。
とは言っても、本当はもうとっくに決まっていることだから今更どうこうなったりしないんだけど。
神社に寄ってお参りをした後、まだ少し時間がありそうだったので、何の気なしに社殿をぐるりと回ってみることにした。
どうせ後ろの方なんて何もないだろうし、そんな気になったことなんて無かったのに。
ところが予想外に予想外の物が(者が?モノが?)あった。(いた?)
生まれたての子猫のような大きさの其れは、輝くほどに真っ白で、羽とも毛ともつかないものに覆われていた。
姿形も何とも言い難く、獣のような脚をしているのに翼のようなものが生え、顔は獣と鳥の中間のような・・・とにかく私の知り得る限りこの世のものではない感じだった。
あまりの事に暫し呆然と立ち尽くしてしまったけど、今日は新学期初日、いきなり遅刻はマズい。
そのままにしておこうかとも思ったけれど、どうしても放っておけなくて、仕方なくハンカチに包んで鞄に忍ばせて登校した。
そしてその日貰った新しい教科書は別の袋に入れて、友達の誘いを断りつつ急いで帰って来たわけ。
で、これ何?
とりあえず手に入る限りのミルクを買って来たけど、どれも飲んでくれない。
考え付く限りの食べ物を差し出してみるけど、どれにも反応なし。
困った末に手に入る限りの水をあげてみた。
そうしたら一つだけ飲んでくれた。しかもペットボトルの。
何でソレ?と思ってよく見たら飲むやつは硬度とかいう数値が低いやつだった。
そうか、いわゆる軟水ってやつなら飲むんだ。