僕が見た人魚は・・・
息が苦しい。けど、僕には藻掻く気力は無かった。それに生け贄として海に落とされたから、僕はもう地上に帰る事は出来ない。……深くまで沈んでいるからか、夜空が見えない。最後にあの星々を見たかったなぁ…………。
──聞き覚えのある声が聞こえる。
『あ……はいき……て』
その声で僕が眼を開けると、よく岩の上で唄を唄っている人魚がいた。けれど人魚の身体は泡となり、海と同化して消えてしまった。その泡を掴もうと手を伸ばすが、届かず僕の意識はそこで途絶えた。
気付くと僕は見知らぬ砂浜に横たわっていた。見たことのない魚が僕の足を突いている。どうやら起こしてくれたみたい。ありがとうとお礼を言うと、言葉が分かったのか、珊瑚礁の方へと泳いでいった。どうやら僕は、あの人魚に助けてもらったみたいだ。お礼を言いたいけど、もう彼女には逢えないだろう。でもいつか空の上で逢えたら、お礼を言って彼女と語り合うんだ。
end
オマケ
『僕』の設定:性別は多分男の子。海辺の村で両親と住んでいたけど、父親は漁の最中に海に落下し行方不明、母親は流行り病で亡くなりました。口減らし&海神の生け贄として海に落とされました。父親が居なくなってから村八分の扱いをうけ、一人砂浜で夜空を見上げていた時に人魚の歌声を聞き、そっと影から人魚を見ていました。
人魚の設定:女性(?)で、いつも砂浜に夜空を見に来る『僕』を哀れみ、唄を唄って『僕』の悲しみを癒していました。実は『僕』の母親の生まれ変わりですが、本人にはその記憶が無いものの、『僕』を残したという未練で人魚になりました。『僕』が海に落とされた後、人魚は唄を唄い『僕』の魂をあの世から現世へと誘って『僕』を助けて泡となり消えました。
裏話:人魚達の世界では、死者の魂を現世へ誘い呼び戻すことは禁忌とされており、泡となり消えたものの、特例として生き返りました。(人魚は全員前世で未練を残して亡くなった為、他の人魚達が海神に頼んで生き返らせてもらった)
『僕』はあの後近くの村で村長の養子になり、幸せになりました。それを知った人魚は、自分が『僕』の母親だった事を思い出し、光輝き天へと昇って行きました。
初めましての方は初めまして、そうでない方はお久し振りです。以前は某サイトや某blogに書いていましたが、これからは小説家になろうを中心に物語を書いていく予定なので、これからよろしくお願いします。
本編を30分以内に書いたからか、読みづらかったかもしれません。ごめんなさい(´・ω・`)
次からは気を付けたいと思います。
それでは、閲覧ありがとうございました!