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こんにちは、魔王です。
僕は今、人間界にいます。
門番にポイってされて〜空間を落ちて〜、出た所はお空でした。
はぁ〜もぉ、ビックリした。
だって又、落ちていくんだもん!
僕が魔王じゃなかったら死んでたかも…良かった、魔王で。
そうそう、魔王なのに飛べないの?とか聞かないでね。
聞いたら泣くからね、僕。
絶対、泣くから!!
・・・・・・。
うっ…うんでね、落ちた僕を受けとめてくれたのが、ちょうど通りかかった馬車だったんだ。
ヒューン…ドッカーン!!って感じで大穴空けちゃった。
皆、スッゴイびっくりしたみたいで、馬車から飛び出して右へワラワラ、左へウロウロ、真ん中でトッテンって腰抜かしてヘタッてた。
ごめんね、驚かして。
でも、僕だって驚いたんだよ。
馬車の中に人がいっぱいいて。
ぎゅ〜うってなって乗るのが普通なのかな?
帰ったらカイゼに聞いてみよ。
……うぅ、、、魔王城(お家)に帰りたいよぉ〜。
グスグス…。
・・・・・・。
とりあえず、魔王(僕)はリアルドナドナ状態なんです。
あっ!!ドナドナって知ってる?
馬車に乗ってお出掛けするって歌だよ。
人間界で一番人気なんだって!
人間なら誰でも知っている歌なんだよ!
カイゼが教えてくれたんだ。
んで、何で魔王(僕)がドナドナなのかって言うとね、奴隷商人の馬車に乗ってるからだよ。
落ちて大穴空けた馬車の持ち主が奴隷商人(その人)だったんだ。
穴空けちゃったけど、不慮の事故だから気にしなくていいって言ってくれたんだよ。
そんでね、頼る人がいないなら、面倒をみてあげるよ。
だって!!すっごい良い人なんだよね。
そう言えば、奴隷商人って何する人だと思う?
実はね、お仕事紹介してくれる人達なんだよ。
これもカイゼが教えてくれたんだ。
何でも知ってるカイゼって凄いよね!!
ほらほら、魔王(僕)が動くとジャラジャラって音がするでしょう。
これってね奴隷の証の鎖なんだ!
僕は特別にクッション付きの手枷足枷をしてるんだよ。
魔王(僕)の肌に傷を付けない様にしてるんだって。
何か良く分からないけど、小さくて・白くて・可愛い魔王(僕)はタカネデウレルって奴隷商人達が言ってた。
タカネデウレルってどんなお仕事の事なんだろう?
まぁ、いっか。
そのうち教えてくれるだろうし。
それにスッゴク嬉しそうな顔してたから、それってとっても良いことなんだろうな。
魔王な僕だけど、良いことするって何か良いよね。
でも、それよりも僕、ずっと気になってる事が有るんだ。
チョット不思議なんだけどさぁ、馬車の中の雰囲気がスッゴク暗いんだけど…皆どうしたの?
泣いてる人もいるみたいだし。
お仕事紹介してもらえるだけだよね…。
あんまりに暗いから僕まで不安になってきちゃったんだけど…。
キュッて膝を抱えてキョロキョロしてたら、頭をポフポフされました。
隣にいた魔族(一族)のお兄さんがポフポフって撫でてくれたんだよ。
そしたら、心がホッとしたんだ。
何でかな?
お兄さんが、はぁ〜…って溜め息しながら
『お前もついてないな。』
だって。
うーん?僕、ついてないの?
どっちかって言えば、優しい人達に出会えたんだし、運、良い方だと思うんだけどなぁ…。
って魔王(僕)、呟いてたんだ。
そしたら皆あんなに元気が無くてドンヨリしてたのにスッゴイ速さで僕を見たんだよ。
うわっ!!!?
なんだ!!皆、元気だったんじゃん!!
うん!!良かった。
僕、馬車の中の雰囲気も少し変わって嬉しいや。
んー…?でも何だろう?
皆の眼差しが、何か言ってる気がするんだけど…。
あ、あれ?
僕、憐れまれてる?
えっ!?何でー!?