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今回はお仕置きを回避出来ました。
正直、ホッとしてます。
女王様曰く、これ以上時間を取られたく無いとの事。
何でも今日はダーリンとお食事の約束をしているそうで、ちょっとだけノロケられました。
何か幸せそうです。
んー…でも何故でしょうか?
僕、消化不良で砂を吐きそうな感じです。
・・・・・・。
とにかく、今回の事で口…じゃなくて思考は災いの元だって、しっかり身に染みました。
気をつけます。
でも、不用意な思考をどうやって気をつければ良いのか分かりません。
目下悩み中の魔王です。
さて、やっとギルド登録の工程が進みました。
ウサエルとの痴話喧嘩も誤解が解ければスンナリ。
無理矢理捩じ込もうとした事を平謝りしてウサエルに許してもらいました。
白紙のギルドカードをウサエルに見せるように掲げれば、長〜い舌がベローンと伸びて来て、カードを拐って行きました。
今までのは何だったの?って位呆気なくカードはウサエルの口の中…。
なんとなくだけど、ウサエルの顔が満足そうです。
いや、気のせいなんだろうけどね。
あ!!
女王様からの次の指示が飛んできました。
えー…っと、ウサエルの角に指を回すようにして、頭に手を置く………はい、出来ました。
OKです。
次、お願いします!
ん?後は質問に答えていくだけだそうです。
グッと心を引き締めました。
バッチリ臨戦体勢完了です。
さぁ、何でも聞いて下さい。
“まずは名前。”
まおうです。
僕はちゃんと答えたよ。
ほら、答えてるよね。
なのに、可笑しな事が起きたんだ。
“マオ・ウデス”
って文字がポワンっと浮かび上がったんだ。
誰デスカ?ソレ?
エ!?僕ノ事…!
ちがう!!間違ってるって言う前にカードに定着しちゃいました。
はや!!
女王様に違うって訴えたんだけど、“定着したんだから間違いじゃ無い”って断言されました。
あっ、言い忘れてたけど、ウサエルが僕の血を吸収した事で、一時的に僕の魂と繋がっているんだ。
だから、魂の情報と答えた内容が一致すれば、それがギルドカードに刻まれて定着するようになってる。
だから嘘をついたり、不一致があればカードは刻まれない。
はずなんだけど!?
なぜか“マオ・ウデス”で定着しちゃいました。
つまり、今から僕の名前は“マオ・ウデス”って事になるみたいだよ。
って、そんな簡単に認められる訳ないでしょ!!
僕は“マオ・ウデス”じゃなくて“魔王”なんだってば!!
うん?
“魔王”は名前じゃ無いでしょう。って?
いや、名前でしょう?
だって、僕、いつも“魔王様”って呼ばれてたよ。
“魔王”っていうのは、職種でしょ。って…えっ!!
職種なの!?
じゃ、僕の名前は何?
もしかして・・・無い…とか言わないよね?
言わないよね!!
まさか、だよね?