表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
まおう!!  作者: 犬犬
16/41

16

“まずは、ウサエルの角で手を刺してもらおうか。”


“・・・・・・はい?”


今、チョット物騒な言葉を言わなかった?


すんごく何気無い感じで、ポロっと言われた気がしたんだけど…。


ちらっと女王様に目を向けたけど、何の変化も無いですね。


うん、見事な黒い笑顔。


えっ…えっと、僕の聞き間違えだったのかな。


首を傾げて、えへって笑ってみたら、黒い笑顔の濃度がググゥッと増加。


ピロリン♪ってレベルアップの音が鳴りそうな感じ。


なぜ?


それにしても、まだ黒さを濃く出来るのかぁー…。


ハッハッハッ!!


って、やっぱり怖いんですけど〜この人!?


その黒さに涙ビチョビチョだよ!!


ううぅ〜…耐えられない。


もう心が限界だよ〜。


僕に至高の癒しを!!


心の潤いを!!


歓迎マイナスイオン!


ウサエルぷりーず!


おぉ!?


僕の気持ちが届いたのかな?


なんと!可愛いウサエルから反応(お返事)が!


美しく“キラリン!!”って輝きました。


角が…。


うん…思ったより太くて、スッゴク鋭いなぁ〜…。


これで僕の手をグサリ!!


って無理だよ!!


そんな事したら手に穴が空いちゃうじゃないか!?


向こう側が見えちゃうんだぞ!!


そんな覗き穴なんて要らないよ〜…。


それにさ、それって大怪我だよ!!


ねぇねぇ、わかってる?


僕、大きな衝撃には強いんだ。


自動で防御魔法が起動するし、体が強いからね。


でもさ、逆にちょっとした事には弱いんだよぉ〜。


それに可愛いウサエルが癒しに成らない…。


逆に追い詰められている気がするよ!!


って感じで、僕は自分の心の叫びに気を取られてたんだ。


たけど、ビビビ!!って何かを感じたんだ。


これって所謂、生存本能って奴だったのかな?


このままじゃダメ!危険!危険!!って感じたから、咄嗟にクイッと体を動かしたんだ。


結果としては…完全には避けきれなかったんだけどね。


ん?


って事は…もしかして、僕の生存本能って反応がチョット鈍い?


・・・・・まぁ、この事は後で考えるとして、僕は今、初期魔法で攻撃を貰ったようです。


パシュ!!


これ魔法命中した音だよ。


“うひゃ!!”


つ、つめたいぃぃ!!


頬っぺたがぁ!!


ガピガピしてジンジンしてるんですけど!?


触るとヒンヤリつるつる…って、何で僕の頬っぺたに氷が貼り付いてるのー!


って言うか、避けなかったら顔一面氷漬け?!


窒息しちゃうよ!!


あぶないアブナイ…。


まぁ、誰が?何で?は分かるんだけどさぁ!


女王様、解凍をお願いします!!


あれ…ギロ!!って擬音がピッタリな眼差しですね…。


ははっ…、視線がブッサブッサ突き刺さるよ。


結構な勢いで、遠慮なくグッサリ深く。


これって、針の筵って奴?


あ…なんか、解凍する気なさそうだね、女王様…。


だってさ、女王様の目が

“ハ・ヤ・ク・シ・ロ!!”って言ってるしぃ!!


でも、自分で グサッ なんて出来る訳無いじゃないか!!


“はぁぁぁ・・・。”


なっ、何ですか!?


そのメチャクチャ深そうな溜め息は!?


それにこの場合はさ、溜め息着くのって僕の方じゃない?


“全く情けないガキだなぁ。この位の事でオロオロしおって。”


この位?


どう考えても、この位で片付けられる事じゃないんだけどぉ!!


って僕がオロオロしてる間に、女王様に手を掴まれました!!


ひぃ!!刺される!!!


体ってさ、心に正直なんだなぁ〜って、この時実感したよ。


まず、盛大に“ビクッ”てした。


多分この時、体が浮いたんじゃないかな。


んで、反射的に手をグッと引っぱった。


スッポーン!!って感じで掴まれた手は抜けたんだけど。


そしたら、ピッって何かが引っ掛かった感覚と、ピリッとした痛みを感じた。


何が起きていたかって言うと、僕の手は見事にウサエルの角に引っかかってたんだ。


ぴぃーっと真っ直ぐな線状の傷がついて、じわぁ…って浮かんできた血液がポタリってウサエルに垂れた。


顔の部分をつぅーっと伝って落ちていく血液。


あー、汚しちゃったなぁ〜綺麗に拭かないとなぁ〜なんて思ってたんだけどね。


その必要は無いみたい。


だって、ウサエルが長〜い舌でベローンっと舐めちゃたから・・・。


びっくりした。


本当に色々と。


もう血の跡なんて全然着いてないよ。


ウサエルは何故か口をモゴモゴ動かし続けている。


それをボォーっと見ながら僕は更に頭を傾げた。


生き物じゃ無かったはずなんだけどなぁ。


実は…生きてる?


いやでも、装置って言ってたし・・・。


“ウサエルは物だ。生きてはおらん。”


“!!”


え?えぇ?えーっ!?


・・・僕、声に出してた?


出して無いよね!


何故分かったんだろう?


女王様の特殊能力だったりする?


他人の心が読めるとか!?


僕、魔王だけど出来ないよそんな事!!


“何を驚いているんだ?全て、お前の顔に書いてある事だぞ。”


“!”


どうやら、僕の顔には思っている事が書き出されているらしい。


初めて知ったよ。


そう言えば、カイゼが大事にしていたクリスタルの黒薔薇をコッソリどぴんく色に変えた事があったんだ。


どんな顔をするかワクワクしながら様子を見てたんだけど、すぐ僕の仕業だって分かっちゃって、“いくらなんでも、あの色は無い!!”って、しこたま怒られた。


あの時は何で直ぐ分かっちゃったんだろう?って不思議だったんだけど、そう言う訳だったんだね。


ん?・・・・・あっ!


って事は、今まで色々考えていた事も全部、顔に書かれてたって事…だよね?


うんわぁ・・・、ハズイ。

すんごいハズイ!!



それに、それって魔王としてマズイよね!


致命的だよね!!


どうしてカイゼは教えてくれなかったんだろう!?


取り敢えず、今考えても仕方ないかぁ。


帰ったらキッチリ聞きだそう。


キッチリとね。


一先ず、目の前の事を優先しなくちゃ。


女王様が痺れを切らしちゃうからね。


可愛くモゴモゴしていたウサエルの口は、もう動いていない。


何だったんだろう?って思いながら、視線を上に上げたら、まともに女王様と目が合いました。


あれ?目が据わってる?


何・・・はっ!!


ちっ、ちょっと待って!!


その宙に浮いてる魔法陣は何ですか!?


え?もう完成するから、直ぐに分かる!?


何か完成したら非常にマズイ気がするので、もういいです!


僕は気にしません!


気にしない事にしたんで!!


僕のプチプチパニックの様子を見て、女王様の口許が更なる曲線を描いたのを、…見てしまいました。




“召喚!”




うひゃあぁぁ〜!!


女王様のバカァ〜!












評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ