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“ふっ…、何を言うかと思えば、随分と愚かな事だな。”
何か、僕、馬鹿にされてますか?女王様に。
いや、馬鹿にされてますよね…確実に。
取り敢えず言っておくけど、僕はそんな愚かな事は聞いてないよ。
多分。
だってさ、僕が聞いたのは“僕がお仕置きされた理由”についてなんだし。
それで女王様のこの態度って、どう思う?
やっぱりさ、僕とは性格的に合わないんだと思うんだ。
何と無く気圧されながらもじぃぃぃーーって見てた。
そんな一寸だけ抗議の眼差しをした僕を見て、女王様は、またニヤリとした。
“そんなに気になるのか?全く、仕方ないのぉ〜。”
し、仕方ないって…!
違うでしょ!?
僕の当然の権利だよ!!
そうだよね?
“決まっているではないか!私を余りにも待たせた事に対してだ。”
何だろうなぁ、すんごく当たり前って感じで言われちゃった。
そんでもって、思わず“なるほど”って頷きそうになったじゃないか!!
違うよね!?
女王様、間違ってるよね!!
どう考えても、僕は悪くない!
きもち息巻いて女王様に抗議をぶつけようとした僕は、当の女王様が振るった“ビシュ!!”っと言う切れの良い手の一振りで沈黙を守る事になった。
“何を言うつもりだったか知らぬが、これ以上時間(手間)を取らせるな。言うことが聞けぬなら、今度は究極のお仕置き精霊を呼ぶが?お前はどうする?”
うわぁ〜…、僕、しっかり脅された!
しかも目が本気だって語ってるから、反抗なんかしたら究極が呼ばれちゃうのは、もう必然だ!!
アルカイック・スマイルが真っ黒ですよ、女王様!!
こうして皆、牙を抜かれて従順な冒険者に成ったんだね。
不満タラタラながらも、口を引き結んだ僕は、女王様からツイッと視線を反らした。
“まぁ、その位の態度は許してやる。”
ククッ…!という笑い声を挟んで言葉は続いた。
“さて、散々待たされたからサクサク登録を済ませるぞ。”
ちょっと、カチン!って来た。
待たせたのは確かに僕だけど、原因は女王様のハリセンだよ!!
うぅ〜…、究極が恐くて何も言えないけどね。
僕が心の中でグチグチ言っている内に、女王様は例の彫像型装置を取り出した。
片手で軽々と扱ってたけど、見た目よりも軽いのか?
置いた音もコトンって鳴ってたし、やっぱり軽そう。
其にしても相変わらず可愛い〜♪
“ウサエルが可愛いのは当然だが、今度は大人しくしていろ。話が進まないからな。”
・・・ウサエル?
僕がしたキョトン顔に、女王様は自慢気な感じでカエル顔のウサギのような物をトントンっと叩く。
あぁ、言われて見れば確かに…ピッタリの名前だ。
単純な命名だけどね。
ウサギのカエル顔を略してウサエルなんだろうなぁ。
“では、始めるぞ。”
女王様の声に僕は静かに頷きを返した。