13
ハイ!魔王だよ。
あれから、僕を囲う光はどんどん強くなっていったんだよ。
あんまりにも眩しくなりすぎちゃってさ、皆、目を開けられなくて、動けなくなったんだ。
もし無理矢理に目を開けたら、多分、失明しちゃったんじゃないかな。
それほどキツイ光だったんだよ。
それでね、更に困った事に僕自身も動けなくなってたんだ。
光に呑み込まれて、僕の目に写ったのは一面の白。
とにかく、真っ白。
一応言っておくけど、失明してないからね、僕。
所謂、ホワイトアウト的な状態だったんだと思うんだ。
原因は雪吹じゃ無くて光でだったけどね。
んで、
困ったなぁ〜…どぉーしよう…。
って途方に暮れてたら、突然グィッて手を引かれたんだ。
ひょへぇ!?
ちょっと間抜けな声を出したけど、もちろん許容範囲。
だから気にしないよ。
誰だって視界が効かない中で、いきなり手を引かれたら驚くでしょ。
ビックリでしょ。
慌てて引かれた手を、クイッて引き返したら、カケル何倍かの力でグィッと引き戻された。
お陰で思いっきりバランス崩した僕は、引かれた方向に体がダイブ。
・・・?
衝撃、無し。
痛み、無し。
浮遊感・・・有り。
って事は多分、床とご対面する直前に急停止して、そのまま持ち上げられてプラーン…。
そして現在に至る…って
感じ。
もうちょっと手加減してほしいって、かなり本気で思った一瞬だった。
さて、そんなこんな状態だった僕は、結局、そのまま手を引かれて一人隔離されたんです。
“迷惑”の一言を添えられて!
見事な《ハリセン》捌きを披露したのは僕じゃ無いのに!
第六感の美女がクリティカルヒットさせたのに、“迷惑”って言われるのが僕だなんて、絶対間違ってるよ!
ん?
僕を隔離したのが誰か気になるって?
もちろん第六感の美女だよ。
ハスキーボイスだったから分かったんだ。
すっごい特徴的だよね。
はい?
美女は失明したのかって?
失明なんてしてなかったと思うけど?
《ハリセン》に自分の魔力込めて攻撃して、自分に影響が跳ねっ返るような半端な事、するわけないって僕思ってるし。
だって、魔王(僕)の第六感が、怒らす危険!って訴えてるんだから、絶対只者じゃ無い。
ねっ、そうでしょ。
そー思うでしょ。
意外な事実がワカリマシタ…。
第六感の美女は、窓口担当の受付嬢だそうです。
・・・誰か僕に人間界の常識を教えて下さい。
受付嬢がギルドマスターに“お茶!”とか
“それ片付けといて”とか“汚れてるから掃除!”
とか言ってるのって普通?
ねえねえ、普通なの?
何かが違うって気がするのは僕だけでしょうか!?
はぁ〜……。