マシュマロ
夢を見た。
ずいぶん古い記憶の夢だ。
幼い私と姉、ママとパパでキャンプに来た夢だ。
しあわせそうな笑顔でマシュマロを焼いている私と姉を、ママとパパがBBQをしながら幸せそうに見つめている。
「ねえ、あかね。これチョコかけたら絶対美味しいよね?!」
髪をお団子にした私によく似た姉のひかりが楽しそうに提案してくる。
「お姉ちゃん、天才!いっぱいかけよ!」
小さな手で器用にマシュマロにチョコをかける。とてもおいしそうだ。
「ひかり、あかね~。そろそろいいんじゃないのー?」
穏やかなママの声。安心するなぁ。
「たしかに!これ以上やったらべとべとになっちゃうよ」
「お肉もあるしね!」
素直に顔を見合わせてるところも、お肉の前にマシュマロを食べようとしてるところも子供らしくて我ながら可愛いなと思う。
「火傷するなよ~」
お肉を焼きながら笑っているのはパパだ。まだ笑えてる頃のパパだ。
マシュマロを片手に楽しそうな私たちがだんだんぼやける。
夢から覚めそうなのだろう。
このしばらくあとに、母と姉は亡くなったんだったな。
そんなことを思うと視界が開ける。ここが車の中なのと心配そうな翔太君がいることを認識する。
なんでそんな心配そうなの?と言おうとして止まる。
自分の目から涙が落ちてるのがわかった。
夢と現実がリンクして泣いちゃうなんて私にしては珍しいな、と思う。
「ごめーん、ちょっと懐かしい夢見ちゃってたみたい」
口の端氏を持ち上げる。
「そっか」
ポンポンと頭をなでられたのがわかる。それが無性にうれしかったのと同時にパパもよくこんな風に頭をなでてくれたな、なんて考えてしまう。
改めて幸せがどんなに貴重なものかわかる。
手でフレームの形をとって写真を撮るみたいなポーズをとる。
写真に写るものはいつか消えて写真に写らないものは変化しやすいな、と思う。
手のフレームの中に翔太君が映ってちょっぴり悲しくなる。
お互いの気持ちが変わらないまま保存できてしまえれば、と考える。
ー今日は感情ジェットコースターだな。




