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無才の少年、最底辺から虹眼を開く  作者: 久日
第4章 愚かな滅びに至るまで
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66 ラブでコメな回


話は或斗と普がサハラ砂漠から帰ってくる数日前にさかのぼる。


『暁火隊』本部ビルの食堂にて、唐揚げをつつきながら眉を寄せている女、戸ヶ森ゆに。


この1週間弱、戸ヶ森は悶々としていた。


率直に言ってしまえば、或斗が居ないからである。


数日不在なのを不思議に思って栞羽に尋ねてみれば、任務中とのことであった。


普も居ないため、そうだろうとは思っていたが、尋ねた際の栞羽の生温かいちょっと気味の悪い目つきが妙な感じだった。


最近知ったことで、出来れば知りたくなかったことだが、『暁火隊』内で陰のエースと名高い情報部統括である栞羽は奇天烈な人物であるらしい。


戸ヶ森のような戦闘メンバーの若手には情報部の活動はあまりピンと来ないというか、彼らのもたらす情報によって任務で助けられていることは分かるものの、普段何をしているのかはよく分かっていない。


ただいつ見ても本部に泊まり込んでいつ食事を摂っているのかいつ家に帰っているのか不明な、若干怖い社畜ならぬパーティ畜部隊というイメージが強い。


とはいえ情報部という一部隊、そのトップに27歳の若さで立つ見た目も愛らしい女性、ということで栞羽は『暁火隊』の若手には男女問わず人気のある人なのだが、先輩方に栞羽の話を振ると目を逸らし言葉を濁していた意味が今では戸ヶ森にも分かる。


そんな栞羽の意味ありげな視線については気になったけれども、戸ヶ森はごく一般的な感性の持ち主であるので、あまり気にしない方が良い、気がする。


そんなことより或斗の話だ。


夏のあの日、或斗を好きだと自覚した戸ヶ森であったが、正直なところ少々空回りしていた。


或斗の顔が見たくて、オフィス区画で仕事をするときはつい或斗を探してしまって、隣が空いていればそこに座って、自分の仕事をしながらも頻繁に、眉を寄せてパソコンを睨んでいる或斗の顔を見てしまう。


昼食時はわざと時間を合わせて話をする機会を作ったし、話すときの態度だって今までとは全然違う風に気を付けている。


のだが、どうにも上手く話せている気がしない。


自分でも、自分らしからぬしどろもどろの物言いで、目が泳いでいたり逆にじっと或斗の顔ばかり見てしまったり、様子がおかしくなっていると分かっている。


よく考えてみれば、戸ヶ森は思春期に普信者となってから今に至るまで、恋愛というものをしたことが無い。


『暁火隊』はパーティメンバー間の仲こそ良いものの真面目で堅い気風であって、他のパーティでよく聞くパーティ内恋愛などはあまり発生しないことが知られている。


もちろん隠れて交際しているメンバーが居たり誰が誰へ片想いしている話を聞いたりということはあるけれど、15歳になってすぐ『暁火隊』に加入し普のように強くなるため努力を重ねてきた戸ヶ森にとっては縁遠い話であった。


つまり、戸ヶ森にとってはこれが初恋なのである。


ちなみに若い普信者には普の顔を見ていれば満足なので現実の(なお普も現実である)男は要らない、と恋愛から遠ざかる女性は多い。


知らないところで勝手に罪作りな男になっている普である。


或斗が任務で本部ビルに顔を出さなくなってもう1週間が経過する。


長い、今までで一番長い任務なのではないだろうか、「カージャー」関連だろうか、やはり危険なのだろうか。


戸ヶ森は胸のもにゃもにゃした感情を消化出来ずにいた。


心配、心配ももちろんあるけれども、ぶっちゃけ或斗の顔が見たいし話もしたい。


普ファンとして普に憧れているだけだった頃は、グッズを眺め、動画やネット記事・あまね新聞で普の顔や活躍を目にしていればそれで満足だったのに、恋というものはまったく厄介なものらしい。


唐揚げを食べもせずつついて、ずっと或斗のことばかり考えてむすっとしてしまっている。


これではいけない、今日はこの1週間浮かない顔をしている戸ヶ森を心配してミクリが昼食に誘ってくれたのだった。


無意味におかずをつつくのを止めて顔を上げ、ミクリとのとりとめのない雑談に戻る。


奇縁であるが、ミクリは或斗経由で仲良くなった友達である。


優しく気配りが出来て、明るくて話し上手で、家事も得意、後方支援部隊では密かに結婚したい女子1位などと言われているらしいが、戸ヶ森もミクリと結婚できる男は世界一の幸運を持つ人間だと思う。


女性をランキングでどうこう言う男性陣の無粋さは気に入らないけれども、納得はある。


元々は或斗のデリカシーの欠如から始まった交流であったものの、今では戸ヶ森はミクリのことが大好きであるし、ミクリも戸ヶ森を友人だと思ってとても良くしてくれる。


繁華街の甘味のオススメだとか、新しく出来た雑貨屋の品ぞろえだとか、こうして何でもない雑談をしているだけで或斗のいない寂しさも多少は紛れた。


本当に、ミクリと一緒になれる男は幸せで……そこまで考えてから、戸ヶ森はふと真顔になった。



「ゆにちゃん?」



ミクリが不思議そうに首を傾げる。


そう、ミクリは元々或斗の友人で、或斗経由で知り合った女の子……つまり、戸ヶ森より或斗と仲が良い。


戸ヶ森は気まずげな顔で、ミクリに恐る恐る尋ねた。



「ミクリって……或斗のことが好き、だったりする?」



ミクリはその質問にきょとんとしてから、慌てて顔と手をぶんぶんと横に振って否定した。



「全然そういうのじゃないよ! 或斗くんは友達だよ!」



その言葉に安心したのは目の前の戸ヶ森だけでなく、周囲で密かに聞き耳を立てていた男性陣もであったが、そこは割にどうでもいい話であるためおいておく。


慌てて否定をしたミクリであるが、言ってからミクリの知っている事実を戸ヶ森に伝えるべきか逡巡した。


おそらく、というかほぼ100%、戸ヶ森は或斗に恋をしていると思う。


しかし或斗には「カージャー」に囚われている未零という想い人がいて、その想いは軽々しく変わりそうにもないほど重いものである、という事実。


しかし戸ヶ森の明らかに安心した、明るい顔を見てミクリは口をつぐまざるを得なかった。


友人として、或斗と戸ヶ森どちらの恋も応援したい。


好きな人がいるからやめた方が良いよと言うのは優しさでもあるけれど、確実に戸ヶ森を傷つけることにはなるだろう。


聞くところには、或斗と未零は5年以上も会っていないので、戸ヶ森にチャンスが全くないとはミクリは思わない。


戸ヶ森はとてもかわいらしく、一生懸命で、誠実で不器用だけど優しい女の子だから、望みがないわけはないのだ。


いつかは戸ヶ森も事実を知ることにはなるだろうと思うが、そのとき、その後、どうするかは戸ヶ森自身が決めることで、今ミクリがやめておいた方が良いよと恋の芽を潰してしまうのは違う気がした。


そんなわけでミクリは気をとりなおして戸ヶ森との雑談に戻り、きっと誰かさんに食べさせたいのだろうミクリオススメのお菓子レシピの話などをして昼食の時間を過ごした。







或斗はサハラ砂漠から戻って来て以降、一層訝しんでいた。


戸ヶ森の様子が、おかしい。


或斗がオフィス区画でパソコン業務に手間取っていると、親切にも操作やよりよいやり方を教えてくれるし、手伝ってもくれる。


自分には何も関係のない報告書や任務の事前調査資料作りだというのにだ。


謎である。


また、昼食時などはもっと異様だ。


サハラ砂漠から帰ってきてすぐの頃、戸ヶ森が昼食を一緒にしたいと言うので、或斗は構わないから普に許可をとってくれと返した。


これは或斗の中では9割方普から断られる前提の返答である。


此結 普ファンクラブに入っていることを公言している普ファンたる戸ヶ森と昼食を一緒にすると、面倒が多いと普は考えるだろうから……そう思っていたのだが、サハラ砂漠から帰ってきて以降の勤務日の昼食には、何故かいつも戸ヶ森が同席している。


つまり普の許可が下りたということだ、不可解である。


昼食時の普の機嫌は良くない、が何故なのか或斗を睨むばかりなのである。


それは流石に八つ当たりが過ぎやしないか? と思ったが普の八つ当たりは今に始まったことでもないので諦める他ない。


救いがあるとすれば、昼食中、戸ヶ森は不機嫌丸出しの普ではなく或斗の方へよく話しかけて来てくれて、意外にも話が弾んだことであった。


ミクリという共通の友人もいるし、以前の『暁火隊』での任務の話なども勉強になる。


ただ、或斗が戸ヶ森と楽し気に話をしていると、本当に何故なのか普の機嫌はより悪くなった。


どういう原理なのか不明であるが、そのうち爆発が起こることを覚悟しておくべきかもしれない。


日本に帰ってきているので、最終日明シェルターにお世話になることが出来る、死ぬことはないだろう。


それでも対話は必要だ。


一応、帰りの無人タクシーの中で普へ、「どうして昼食中あんなに機嫌が悪いんですか?」と尋ねてみた。


すると、普は呆れかえった顔でため息をつき、「俺はお前の修羅場なんぞ知らないからな」と言って話を打ち切った。


意味不明である。


そんな以前とは違う日常の中、ある日の任務で或斗は戸ヶ森と同行することになる。


春先のいつかの再現……にはならないだろう。


最近の戸ヶ森は全然吠えない懐っこい小型犬であるし。


ただ任務内容は以前と同じく都市圏に出来た中規模ダンジョンの調査である。


戦力としては普がいれば、そして或斗もいるので2人でまったく不足はないはずだ、親睦は何故か最近深まってはいるし、そこも以前とは違う。


不思議に思った或斗は戸ヶ森が同行するに至った経緯を日明に尋ねてみた。


それで聞いたところによると、今回の中規模ダンジョンには近くにアンデッド系モンスターの出る小規模ダンジョンが存在しており、調査対象のダンジョンにもアンデッド系モンスターが出てくる可能性がまあまああるとのことで、戸ヶ森本人が自分が同行すれば万一の際の負担を減らせるのでは、と手を挙げてくれたらしい。


或斗の視魂の虹眼でアンデッドモンスターを倒すには魂に負担がかかるという代償があるので、そういう話なら実際助かるけれども、戸ヶ森はどうして或斗の向かう任務の内容や近くのダンジョンの傾向なんて知っていたのだろうか。


そう考えて、或斗は戸ヶ森の過去を思い出す。


人の生活圏に突如出現し、それまでの生活を壊していくダンジョン災害。


彼女は自分の過去から、そういった事例には今も常に気を配っているのかもしれない、根っから勤勉な戸ヶ森らしい。


そう思い直している或斗を前にして、日明は何故か複雑な顔をしていた。


最近はたまにミクリも似たような複雑な顔をしており、皆やはりバル=ケリムの余波で疲れているのだろうかと或斗は心配しきりである。


日明へ、たまには休んでくださいねと声をかけ、苦笑しつつありがとうと言われて見送られ、日明の執務室を出る。


その足で或斗は普に戸ヶ森が一緒に任務へ行くことになったと伝えに行くと、普はほとほと呆れたと書いてあるような顔をした。



「何ですか? その顔」


「お前に呆れてる」


「それは見れば分かりますけど」



普はため息をつき、それ以上の説明はしてくれないようであった。


或斗は疑問符を浮かべながら、任務へ向かう前に戸ヶ森を呼びに行った。


さて、任務は春先のいつかのものよりもずっと楽に進んだ。


或斗の胃も痛くない。


以前と違うところといえば、ダンジョン前で炊き出しが行われていないことであった。


巳宝堂がやっていたようなダンジョン被災者救済事業は元巳宝堂財団の混乱が治まっていないために再開されておらず、全国の企業や慈善団体が散発的に行っているため、救済措置を得られる人とそうでない人とでその後の生活の質がハッキリ分かれてしまっていて、政府の対応だとかが責められているらしい。


或斗の場合、住んでいる普のマンション近くにダンジョンなど出来ようものなら普がその日のうちに攻略して消滅させるだろうから危機感が薄いが、残念なことに一家に一台普は居ないため、多くの日本国民にとって救済事業の再開は他人事でない心配事だろう。


必要があったとはいえ巳宝堂を潰した人間として、何か出来ることはないだろうか、とダンジョン近くで段ボールの死きりの中、毛布に包まる人々を見て或斗は苦い気持ちになった。


それはそれとして任務である。


流れ自体は以前とほとんど変わりない。


或斗が調査の記録をつけている間に戸ヶ森がモンスターを倒してきて、普はほとんど引率役となっている。


ただ以前と違って、戸ヶ森はモンスターを倒しても或斗を馬鹿にすることはなく、何だか嬉しそうに或斗を見ていたりする。


何か良いことがあったのだろうか。


普は面倒くさそうな顔で周囲を警戒しているくらいで、以前の任務での胃の痛さを思うと天国のようにやりやすかった。


そういうわけでこれもまた以前と違い、ハプニングも起こることは無かった。


中層半ばの調査中に戸ヶ森が隠されていたトラップを踏みかけたが、その前に或斗が気づいて声をかけ、止めることが出来た。


戸ヶ森は嬉しそうに或斗の方へ駆けて来て「助かった、ありがと」と言ってくれた。


或斗はその蛍光ピンクの丸い瞳に、懐いたチワワの瞳を思い浮かべる。


同僚と仲が良くなると、こんなにも任務がやりやすいのか、或斗はコミュニケーション能力欠落人間として、対人関係の大切さをしみじみと再認識した。


調査任務は深層前までであり、それは無事終了した。


3人共に怪我も無い。


本部ビル前に辿り着いて安堵で気が抜けていた或斗へ、突然戸ヶ森が険しい顔で向き直る。


何だ? さっきから今までの間に何かしたか? と身構えた或斗であったが、戸ヶ森は「今日の業務終了後、休憩室に1人で、ひ・と・り・で! 来て!」と、やたら1人でを強調して言い放ち、本部ビルの中へと駆けていった。


業務終了後となると、帰る時間が遅れてしまうが……或斗が隣の普を見上げると、普は蠅でも見るような目で或斗を見下ろしている。



「俺は、お前の修羅場なんぞ知らないからな」



前にも一言一句同じことを言われた気がする。


本当に何なんだ、と或斗は首を捻るも、まあ許可は下りたようなので良いかと流した。


普の情緒不安定も意味不明さも理不尽さも、これまたいつものことであるため。







17時過ぎ、或斗が本部の休憩室に来ると、人気のない休憩室の奥のテーブルに戸ヶ森がそわそわとした様子で座っていた。


テーブルの上には休憩室で売っているココアと緑茶と、他に店売りのものより模様がちょっと歪んでいるクッキーがある。


或斗がちゃんと1人で来たことを確認した戸ヶ森は嬉しそうに椅子と茶とクッキーを勧め、或斗は勧められるがままに椅子に座り緑茶を飲みつつクッキーを食べる。


戸ヶ森はそわそわとした雰囲気ながらも上機嫌に見える。


或斗はここで話題に困った、コミュニケーション能力欠落人間だからだ。


戸ヶ森と2人きりで話すのはいつかのエレベーター以来である。


あの頃の戸ヶ森は本当に或斗を敵視していて、何かにつけて高い声で或斗を詰って大変だった……クッキーの甘さが過去の苦労と今日1日の疲れにしみいる。



「このクッキーおいしいね。何て言うんだっけ、こういうやつ」



とりあえず深く考えず、何気なく口にしているクッキーの話題を振ると、戸ヶ森はパッと晴れやかな笑顔になって「アイスボックスクッキー!」と答えてくれた。



「この渦巻き模様とか、すごいよな。どうやって作るんだろう」



素朴な疑問を零した或斗に、戸ヶ森は得意げな顔で1からレシピを説明してくれる。


ここで流石に或斗も察した。



「このクッキーって戸ヶ森さんが作ったんだ?」


「な、何で!?」


「いや、さすがに分かるよ俺でも……」



なるほど、急にどうしたのかと思ったら、お菓子作りが上手くいってそのおすそ分けということか、或斗は勝手に納得をした。



「よく出来ててすごいよ。ミクリもそう言ってたんじゃない?」



と続けると、戸ヶ森は不思議そうに目を丸くして「ミクリは食べてないけど」と言う。


はて? となる或斗。


ミクリと戸ヶ森は傍目に見ても仲が良いので、おすそ分けなら先にミクリがもらっていそうなものだが……などと考えていると、戸ヶ森はこころなしか冷たくなった目線で眉を寄せて或斗を軽く睨んだ。



「これは、アンタにしか、食べさせてない」



余計に事情が分からなくなった或斗は素直に「何で?」と問うと、戸ヶ森は途端に挙動不審に目を泳がせた。



「ま、まあアレよ……ゆに、今まで態度悪かったし」



そんな内容のことをしどろもどろに口にする。


再び或斗はなるほど、と思った。


バル=ケリムの件では或斗に命を救われた形になったので、今までの態度の件を含めて改めてのお礼ということなのだろう。


ミクリあたりが見ていたら頭を抱えただろう、すんなりとした行き違いによって或斗は納得してしまった。


それでもコミュニケーション能力欠落人間たる或斗は戸ヶ森と2人きりの時間で間がもつか心配であったが、それは杞憂であった。


そもそも昼食時だってほとんど或斗と戸ヶ森が2人で話しているようなものであったし、今は普が目の前に居ないので、普トークが出来るのである。


戸ヶ森は或斗の知らない普の過去の活躍やグッズ、本人出演イベントなるファンクラブの謎の催しでの普の様子を語って聞かせてくれたし、或斗は或斗で家での普の様子だとか普の訓練の鬼畜さだとかを言葉少なになりつつも色々と話して、時間はあっという間に過ぎていった。


今回は戸ヶ森が怒って帰るということもなく、業務終了後の2人きりのお茶会は和やかに終わる。


帰り際、普の待つ1階ロビーへ向かう途中で、戸ヶ森が不安げに或斗を見上げた。



「……ねえ、またこうして一緒にお貸とか、食べてくれる?」



或斗はお菓子は嫌いではない、そもそも嫌いな食べ物は存在していないが。


カロリー管理の鬼である普にも一応事前に申告さえしておけば問題ないだろう。


そう考えて、或斗は頷いた。



「うん。今日は誘ってくれてありがとう」



そう返すと、戸ヶ森は今日一番、あるいは出会ってから一番かもしれない笑顔を見せた。


或斗は自分のコミュニケーション能力も多少は向上しているのかもしれないな、とカスの勘違いをして嬉しく思った。


帰りの無人タクシーでそのように普に話すと、何故かため息を吐かれたが、或斗は良い一日だったな、と嬉しくなって、やはり無言の普に色々と話し続けるのだった。







翌日の朝、『暁火隊』本部に急報がもたらされる。


足立区安全区域の内側に、大型ダンジョンが出現した、と。


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