チーバノ大学幻の生協の駅弁
スターメシヤが生協の駅弁コーナーにテレポーテーションした時、お昼に食べる駅弁を買い求める宇宙人留学生達が長い列を作っていました。
「これはっ!とても、駅弁を買えないかも…」
スターメシヤは列の1番前にテレポーテーションで割り込んでしまおうか、と考えましたが危険だと判断しやめました。
なぜ危険かは、後でご説明しますね。
時間と共に長い行列は短くなっていき、スターメシヤの前ふたりめで駅弁は後3つありました。
スターメシヤは心の中で「やった!これで、(あの面倒くさい)ネズミ先生に日本語クラスの授業をしてもらえる!」と大喜びしていました。
ところが…
スターメシヤの前の宇宙人留学生が、生協の地産地消の駅弁を2つ買って行ってしまったのです!
スターメシヤは半ば呆然とし「自分の今までの苦労は何だったのだろうか、」と、目には薄っすら涙まで浮かべていました。
ちなみに生協の販売員は地球人であり日本人でありました。
スターメシヤの番になり、生協の販売員にお願いしてみました。
「追加で駅弁を作ってもらえないでしょうか?」
「それはできません」
販売員さんは容赦なくスターメシヤの要求を退けました。
スターメシヤの実家は、銀河星団をテレポーテーションで行き来し出前をする巨大なレストランチェーン店を経営しています。
スターメシヤは、そこの御曹司です。お客様のご要望を第一に考えるよう、後継者として教えられているのです。
地球に留学して、初めて自分の非力さを痛感しました。
しかし、次の生協の販売員さんのセリフに助けられました。
「生協の食堂で駅弁のメニューが食べられますよ」
と、うれしいニュースを教えてくれたのです。
スターメシヤは、とても喜びました。
正直、駅弁の存在意義とその意味をなくすニュースではありましたが…
「わかりました!ありがとうございます!」
スターメシヤは大喜びで、となりの生協食堂にテレポーテーションしました。
やはり、歩くのは苦手なようですね。
その頃、日本語クラスでは、スターメシヤの帰りを待ちわびていながら、何処にいるか確認できない米粒サイズのネズミ助手を踏み付けてしまわないよう、みんなが硬直したまま動けないでいました。
その次の瞬間…
右手と左手の手のひらの上に、生協食堂のトレーを日本語クラスの新入生20人プラス、ネズミ助手のためのトレーを頭に載せたスターメシヤが姿を現しました。
「みんな、お待ちどうさま!」
スターメシヤの実家が経営する、銀河星団をテレポーテーションで行き来し出前をする、巨大なレストランチェーン店の新人研修では、まずこの出前スタイルを習得しなければならないそうです。
さすが、そこの御曹司だけあって、なかなか堂に行った技でした。