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チーバノ大学日本語クラス自己紹介

ここは、チーバノ大学。


以下、同文っ!


主に宇宙人留学生が履修する日本語クラスでは、先週できなかった自己紹介が行われています。


やはり目立ったのは新入生代表挨拶を任されたターマくんでした。


ターマくんは、波打つ金髪を全身でなびかせながら、新入生代表挨拶の時のセリフを再び口にしたのです。


「僕の名前は、大宇宙一の王家一族直系ターマ第一王子です」


えっ?それって名前だったんだ…


 ターマくんは「本当はターマじゃないんだよ。僕の星の発音を訳そうとしたら誤作動起きちゃって」と、ニコニコ笑いながらそう説明してくれました。


「チャットGPTって原始的なAIに、どう名前を日本語風に表現したらいいか、質問してみたんだ」


「地上では画期的なAIなんですが…」


帰国生徒の日本人学生であり、日本語クラスのただ1人の地球人学生であるシュウくんは何かカチンときましたが、黙っていることなく思いっきり本音を口に出しています。


ターマくんは言葉を続けました。


「地球で最も有名な王子の名前で、しかも1番人気のある名前を和風にしたらどうなるかな?って聞いてみたんだ」


「古代インドのラーマ王子と、日本の人気アニメの人気者の名前タマを組み合わせたんだね、きっと」


心の中では『タマって、猫の名前だけど、それは許容範囲なのかな?』と、つぶやいていましたが。


「よく分かったね!チャットGPTにも、そう説明されたんだ。とても、ポピュラーなんだね!」


更に「称号が付くんだよ、正式な名前には」と、ターマくんが得意げにのたまいます。


「どんな称号なの?」


シュウくんがターマくんに尋ねました。


日本語クラスの学生全員が、NASAの宇宙言語翻訳機を持ち身構えています。


ターマくんが自分の星の言葉で発音しました。いっせいに、翻訳開始ボタンが押されます。結果は…


「えぇっとね、和訳すると…血統書付きの長毛種の金髪ネコ」


えっ?全然、称号じゃないじゃん、それ。


まったくもって、日本語を通じての会話によるコミュニケーションが取れていないことに苛立ちを新入生たちは感じていました。


「NASAに行って宇宙言語翻訳機をバージョンアップしてもらってくるね」


そう言うと、テレポーテーションができる宇宙人留学生が一瞬にして消えてしまいました。


まだ、日本語クラスの 2回目の授業は終わっていません。


皆んなで、NASAに行ってしまった学生の帰りを待っていましたが、あと10分で終了のチャイムが鳴ってしまいます。


もしかして日本語クラスの2回目で、早くもエスケープ、つまり授業放棄扱いになってしまうのでしょうか?


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