チーバノ大学日本語クラス
チーバノ大学では講義がはじまりました。
大学一回生には、第一宇宙言語の授業が必修となっています。
第一宇宙言語は、少人数のクラスに分けられ、NASAが開発した宇宙言語翻訳機に頼ることなく、ナチュラルに会話できるよう指導されます。
ちなみに母国語は原則履修できません。
ですから、日本人が日本語を、アメリカ人が英語を履修できず、宇宙人留学生が日本語や英語を選択可能なのです。
さて、日本語の授業の教室を覗いてみましょう。
1限目がはじまる時刻となり、チャイムが鳴り渡りました。
そこで、突然、西チーバノキャンパスにアナウンスが入りました。
「ただいまから、緊急時に備え、テストをします。流れてくるアナウンスに動揺せず、冷静に対処してください」
日本語クラスの新入生達は、黙ったまま着席していました。
「ここは、チーバノ、チーバノ、チーバノ、大学、大学、大学…」
思いっきりエコーが効いているようです。
「チーバノ大学は国立二期校、いわゆる駅弁大学です。
チーバノ大学は国立二期校、いわゆる駅弁大学です(エコー1)
チーバノ大学は国立二期校、いわゆる駅弁大学です(エコー2)」
少し、間がありました。
「生協で地産地消の駅弁、売ってます。
生協で地産地消の駅弁、売ってます(エコー1)
生協で地産地消の駅弁、売ってます(エコー2)」
緊急時のためのテストアナウンスが終わりましたが、帰国生徒の日本人学生1名を含む日本語クラスの新入生たちは、最初のアナウンスで指示されたとおり、動揺せず冷静に着席したままでした。
いつ、この「動揺せず冷静に対処する」状態を解除して良いのかを判断しかねていたからです。
みんな、動揺を隠して冷静にしているように我慢しましたが、内心では生協で売っている駅弁を食べたくなり、動揺し冷静でいられなかったのです。
実は、すぐに売り切れてしまうため、まだ、誰も生協で売っているという駅弁を食べるどころか見たことさえありませんでした。
これだけ、大学の総力をあげて宣伝しているのですから、そりゃあ、売れるでしょう。